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ダニエル・リカルドの波乱に満ちたF1キャリア。14シーズン258戦、通算8勝の歩み

2024年9月27日

 日本時間9月27日、RBは次戦となる2024年F1第19戦アメリカGPより今季残る6戦において、ダニエル・リカルドに代わりリアム・ローソンをレギュラードライバーとして起用することを明らかにした。


 ここではシーズン途中にF1のレギュラーシートから離れることになったリカルドの、F1を中心としたこれまでのレースキャリアを振り返る。


 2005年に地元オーストラリアでシングルシーターキャリアをスタートさせたリカルドは、フォーミュラBMWアジア、フォーミュラ・ルノー2.0イタリア等を経て、2008年にレッドブルの若手ドライバー育成プログラムである『レッドブル・ジュニアチーム』に加入した。

ダニエル・リカルド
2006年フォーミュラBMWワールドファイナルでBMWモータースポーツディレクターのマリオ・タイセンから表彰されたダニエル・リカルド

レッドブル育成加入前の2007年にはオーストラリアチームからA1GPのプレ・シーズンテストに参加したダニエル・リカルド
レッドブル育成加入前の2007年にはオーストラリアチームからA1GPのプレ・シーズンテストに参加したダニエル・リカルド


 レッドブル育成加入まではシリーズタイトル獲得の経験がなかったリカルドだったが、同年にSGフォーミュラから参戦したフォーミュラ・ルノー2.0西ヨーロッパで4輪キャリア初のタイトルを獲得。また、フォーミュラ・ルノー2.0屈指の激戦区であったユーロカップでバルテリ・ボッタスに次ぐシリーズ2位という成績を残すと、2009年はカーリンからイギリスF3に参戦しチャンピオンに輝いた。


 イギリスF3でのタイトル獲得もあり、2009年12月にスペイン・ヘレスで行われたF1ヤング・ドライバーテストにおいて、レッドブルからF1初ドライブの機会を得た。若手だけが参加する冬季のテストとはいえ、最終日に3日間全体のトップタイムをマークしたことで注目を集め、ここからリカルドのF1参戦へ向けた動きが加速する。

ダニエル・リカルド
2009年12月に行われたヘレステストにて、F1初走行の機会を得たダニエル・リカルド。3日目にトップタイムをマークし翌年のリザーブ就任に繋げた

ダニエル・リカルド
2010年フォーミュラBMWパシフィック第1戦セパン/同シリーズの卒業生として激励に訪れたダニエル・リカルドと、ゲストドライバーとして参戦したカルロス・サインツとダニール・クビアト


 2010年よりレッドブルとスクーデリア・トロロッソ(現RB)のリザーブドライバーを務めつつ、フォーミュラ・ルノー3.5に参戦。ただ、リザーブ就任2年目の2011年シーズン途中、第9戦イギリスGPよりナレイン・カーティケヤンに代わり、HRTからF1デビューを飾ることになった(第17戦インドGPのみカーティケヤンがビタントニオ・リウッツィに代わり参戦)。


 HRTは資金難が続くテールエンダーだったこともあり、リカルドの最高位は18位だったが、シーズン途中の参戦、かつF1初年度ながら元レッドブル/トロロッソの先輩に当たるリウッツィと遜色ない走りを見せた。

2011年F1第15戦日本GP ダニエル・リカルド(HRT)
2011年F1第15戦日本GP ダニエル・リカルド(HRT)


 2012年にトロロッソのレギュラーシートを掴むと、レッドブル昇格の座をかけて同じくフル参戦初年度だったジャン-エリック・ベルニュとの激しいチームメイト対決を繰り広げた。2012年はポイントランキングでベルニュの後塵を拝するも、2013年はベルニュを上回り、同シーズンをもってF1を離れた同郷の先輩マーク・ウエバーの後任として2014年のレッドブルのシートを得た。


 ただ、2014年シーズンより1.6リッターV6のパワーユニット(PU)規定が導入され、メルセデスが躍進。2010年から4シーズンにわたって続いたレッドブル・ルノーが王座から引き摺り下ろされるという苦しいシーズンでの昇格となったこともあり、それまでセバスチャン・ベッテルが見せていたような圧倒ぶりを再現することはできなかった。


 それでもリカルドは第7戦カナダGPでの初優勝を含む3勝を上げ、チームメイトのベッテルを下しドライバーズランキング3位の座を掴む走りで、自身のレッドブル昇格は正しかったことを証明した。

ダニエル・リカルドとセバスチャン・ベッテル/レッドブルの2014年型マシン『RB10』のアンベイルにて
ダニエル・リカルドとセバスチャン・ベッテル/レッドブルの2014年型マシン『RB10』のアンベイルにて


 2015年はベッテルのフェラーリ移籍により、チームメイトはダニール・クビアトに変わった。これでリカルドはレッドブルのエースドライバーとなったが、シーズン後半で失速し、ドライバーズランキングでクビアトに3ポイント負けてしまう。追う立場でリウッツィ、ベッテルというベテランを破ったリカルドだったが、ルノーPUに起因するマシントラブルをはじめとする不運もあり、望むようなレースを戦えない時間が続いた。


 2016年シーズン序盤にアクシデントが多発したクビアトがトロロッソに降格。これでリカルドとクビアトのチームメイト対決は幕を閉じる結果となったが、代わってF1参戦2年目で当時18歳だったマックス・フェルスタッペンがレッドブル昇格を果たす。このフェルスタッペンの突然の昇格が、その後のリカルドの運命に大きな影響を与える。

2016年F1第5戦スペインG Pよりレッドブルに昇格したマックス・フェルスタッペンと、トロロッソに降格したダニール・クビアト
2016年F1第5戦スペインGPよりレッドブルに昇格したマックス・フェルスタッペンと、トロロッソに降格したダニール・クビアト


 翌2017年はフェルスタッペンを上回るドライバーズランキング5位で終えたものの、2018年はメカニカルトラブルが多発し、フェルスタッペンにも先行を許してしまう。かつて自身がレッドブル昇格を果たした際の状況を再現するかのように、若く、勢いのあるフェルスタッペンがレッドブルのエース格としての地位を固めつつあった。そんな状況で迎えた2018年8月に、リカルドは翌年のルノー(現アルピーヌ)加入を発表し、自らレッドブルを離れる選択をした。

ルノーF1の2019年型マシン『RS19』発表会
ニコ・ヒュルケンベルグ、アラン・プロスト(ルノーF1スペシャルアドバイザー)、ダニエル・リカルド


 ただ、新天地ルノーでの戦いはリカルドが望んだ展開にはならなかった。ニコ・ヒュルケンベルグをチームメイトとするルノーのエースとして臨んだ2019年は表彰台にすら立つことができずに終わった。この初年度の成績に嫌気がさしたか、続く2年目の2020年シーズン開幕前(コロナ禍により7月開幕となった)に今度はマクラーレンへの移籍を発表する。


 そのマクラーレン初年度となった2021年には、第14戦イタリアGPで3シーズンぶり、そして結果的にはキャリア最後の勝利を果たした。しかし、シーズン後半にリタイアが続いたことが響き、チームメイトのランド・ノリスに45ポイントもの大差をつけられてしまう。


 当初3年契約でマクラーレンに加入したリカルドだったが、2年目の2022年8月に同年をもってマクラーレンを離れることを発表。ルノーに続いて、マクラーレンもリカルドにとって安息の地ではなかったようだ。

2021年F1第14戦イタリアGPを制したダニエル・リカルド(マクラーレン)のシューイ
2021年F1第14戦イタリアGPを制したダニエル・リカルド(マクラーレン)のシューイ

2022年F1第22戦アブダビGPでマクラーレンとの最後の記念撮影に臨んだダニエル・リカルド(マクラーレン)
2022年F1第22戦アブダビGPでマクラーレンとの最後の記念撮影に臨んだダニエル・リカルド(マクラーレン)


 これでリカルドはF1のレギュラーシートを失い、2023年シーズンはかつて自ら離脱することを選んだレッドブルのサードドライバーという立場で迎えることになった。


 ただ、2023年にアルファタウリ(現RB)でF1フル参戦初年度を迎えたニック・デ・フリースがシーズン序盤から苦戦が続き、第10戦イギリスGP後にアルファタウリから解雇されてしまう。その代わりとして、レッドブルのサードドライバーだったリカルドがアルファタウリにレンタル移籍し、シーズン後半のアルファタウリのシートを掴むことになった。

2023年F1第11戦ハンガリーGP アルファタウリからF1復帰戦を迎えたダニエル・リカルド
2023年F1第11戦ハンガリーGP アルファタウリからF1復帰戦を迎えたダニエル・リカルド


 トロロッソ時代に在籍した古巣に戻るかたちにはなったが、アルファタウリでの走り次第では、再度レッドブル昇格への道筋が開ける可能性も少なからずあった。それだけに、角田とのチームメイト対決の行く末にも大きな注目が集まった。


 しかし、そんなF1復帰3戦目の第14戦オランダGPのフリー走行2回目(FP2)でリカルドはクラッシュを喫し、左手の中手骨を骨折。これでオランダGPの決勝を含む5レースを欠場する。


 そうして迎えた第18戦シンガポールGPではレース終盤にソフトタイヤに履き替えてファステストラップをマーク。ドライバー・オブ・ザ・デーも獲得したが、レース後の取材対応の際にこれがラストレースになる可能性にも触れ、目に涙を浮かべていた。


 14シーズンで258戦(決勝出走257戦)、移籍5回(決勝出走チームのみ/アルファタウリとRBは同一チームと集計)、通算8勝を飾ったリカルドは、最後のレースでファステストラップ記録を17に伸ばし、F1のレギュラーシートに別れを告げた。


 明るい笑顔が印象的な、記録以上に記憶に残るF1ドライバーだった。

■ダニエル・リカルド F1での主な記録

表彰台:32
総ポイント:1329
グランプリ出場:258
決勝出走:257
優勝回数:8
ポールポジション:3





レース

9/20(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
9/21(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
9/22(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※シンガポールGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン331
2位ランド・ノリス279
3位シャルル・ルクレール245
4位オスカー・ピアストリ237
5位カルロス・サインツ190
6位ルイス・ハミルトン174
7位ジョージ・ラッセル155
8位セルジオ・ペレス144
9位フェルナンド・アロンソ62
10位ニコ・ヒュルケンベルグ24

チームランキング

※シンガポールGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム516
2位オラクル・レッドブル・レーシング475
3位スクーデリア・フェラーリ441
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム329
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム86
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム34
7位マネーグラム・ハースF1チーム31
8位ウイリアムズ・レーシング16
9位BWTアルピーヌF1チーム13
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

レースカレンダー

2024年F1カレンダー
第18戦シンガポールGP 9/22
第19戦アメリカGP 10/20
第20戦メキシコシティGP 10/27
第21戦サンパウロGP 11/3
第22戦ラスベガスGP 11/23
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