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F1技術解説:メルセデスがカナダで速かった理由(2)課題克服のため再設計したフロントウイング
2024年6月18日
F1第9戦カナダGPでメルセデスはポールポジションと表彰台を獲得、今季ここまでで最高のパフォーマンスを見せた。その飛躍の理由を、F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルが分析、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。
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モナコGPで導入されたフロントウイングのアップデートが、なぜメルセデス復活の鍵になりうるのか。より具体的に説明しよう。
すでに昨年のW14も、フロントウイングが大量のダウンフォースを発生していた。しかしマシン後部が生み出すダウンフォースとのバランスから言えば、明らかに大きすぎた。その結果、リヤに相対的に十分な荷重がかからず、特に高速区間で挙動を乱すことが多かった。
そこでメルセデスのエンジニアたちは、マシン後部での十分なダウンフォースを確保するべく、新しいコンセプトを採用した。その目玉が新設計のフロントウイングで、フロア下の流速を増すことでリヤのディフューザーやビームウイングによるダウンフォース量を増やそうという狙いだった。高速コーナーに限れば、W15は前モデルよりも安定しており、目標はほぼ達成できたと言っていい。
一方、低速コーナーでは、このユニークな形状のウイングは十分なダウンフォースを生成できず、そのためハミルトンはシーズン初めに「運転が遅くなればなるほど、車が曲がらなくなる」と、不満を述べていた。
彼らのフロントウイングの設計思想は、グラウンドエフェクトでダウンフォースが生成される分、フラップの角度を減らせるはずというものだった。しかし実際には、車高が高くなる低速区間ではグラウンドエフェクトが想定したように機能せず、この考えは通用しない。その結果、ドライバーたちが不満を抱くようなアンダーステアが発生していた。早くも3月の時点でアリソンが認めていたように、「高速と低速のバランス」が欠如していたのだった。
つまりこのウィングは高速では多くのダウンフォースを生成するものの、低速ではアンダーステアが発生してしまう。あるいはアンダーステアを減らそうとすると、高速コーナーでの安定性が低下するマシンになっていたのだ。
そこでメルセデスが再設計したのが、リヤのダウンフォースを損なうことなく、低速でより多くのフロントのダウンフォースを生み出す、汎用性の高いフロントウイングだった。
F1では、すべてが妥協であり、相反する二つの要素を、いかに高いレベルで両立させることができるかが重要となる。このフロントウイングに先立ち、モナコではベンチュリトンネルの上部入口を改良した結果(上の画像参照)、フロア下の流れはさらに加速し、より多くのダウンフォースを生み出している。
さらにそれ以前のマイアミでは、フロアエッジのディフレクターが中国までの2つから5つに増えている。そして2週間後のイモラでは、ベンチュリトンネルの入口とフラットボトムのディフレクターが形状変更された。これらの連続的なアップデートは以下のグラフを見る限り、どうやら効果的に機能しているようだ。開幕戦のバーレーンから今回のカナダまでの9GPでの平均ラップタイムを示したこのグラフによれば、メルセデスはライバルたちに比べて少なくともコンマ数秒速くなっているのだ。
それはつまりシルバーアローが、今後再び主役を狙えるということなのだろうか? その答えは、より伝統的なサーキットで戦われる次戦スペインGPで出ることだろう。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 219 |
2位 | ランド・ノリス | 150 |
3位 | シャルル・ルクレール | 148 |
4位 | カルロス・サインツ | 116 |
5位 | セルジオ・ペレス | 111 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 87 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 81 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 70 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 41 |
10位 | 角田裕毅 | 19 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 330 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 270 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 237 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 151 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 58 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 28 |
7位 | BWTアルピーヌF1チーム | 8 |
8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 7 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 2 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |