FIAがF1アブダビGPの調査報告書を発表。リスタート手順は不適切だと認めるも、チーム代表らの無線の影響も指摘
2022年3月22日
FIAは2021年F1第22戦アブダビGP終盤に起きた出来事についての調査を終え、詳細な報告書を発表した。調査の結果は、土曜日に世界モータースポーツ評議会(WMSC)が承認しており、詳細な文書が一般に向け公開されている。
FIAの調査結果における重要な点は、レースディレクターのマイケル・マシがセーフティカー終了後のレースのリスタート時に適切な手順をとらなかったことを認めているものの、彼が“誠実に”行動したと主張していることだ。
「レースディレクターは、F1競技規則に定められている追加の周回を完了させることなく、セーフティカーをピットレーンに呼び戻した」とFIAは声明のなかで指摘した。
「今にいたるまで周回遅れのクルマを確認する作業は手作業で行われているため、ヒューマンエラーにより、実際にはすべてのクルマが周回遅れを解消できないという事態になった」
マシのとった手順は誤っていたものの、FIAはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2021年F1世界選手権の王者であるという最終レース結果を変更しないことを明確にした。
「2021年アブダビGPとFIA F1世界選手権の結果は有効で最終的なものであり、今後変更することはできない」
「規則にしたがってメルセデスは、レース後にスチュワードに抗議し、レース順位を変更するよう求めた」
「スチュワードは抗議を却下した。メルセデスはその後、FIA国際裁判所に裁定について申し立てを行う機会を得たが、彼らは申し立てを行わなかった。規則は、レース順位を修正できるような他の仕組みを備えていない」
詳細な報告書では、事実関係、重要な問題点、調査結果および議論の争点であるセーフティカーの導入中に行われた無線通信まで、正確な時系列に沿った分析が行われている。
無線通信については、ある時点でマシが外部からの要求に圧倒されたため、そのことが彼のレース運営に“マイナスの影響”を与えたことが報告書に明記されている。
「詳細な分析と解明作業に携わったメンバーの総意は、2021年アブダビGP終盤のラップ中に行われたレッドブル・レーシングとメルセデスそれぞれのチーム代表とのコミュニケーションが、終盤のラップの円滑な運営にマイナスの影響を与えたということだ。レースディレクターは、困難で時間的制約のある決断に集中する必要があるときに、そうしたやり取りによって気をそらされたからだ」
「こうしたコミュニケーションは、円滑なレース運営に必要でも有益でもなかったことが分かった。むしろ、彼らは重要なタイミングにあるレースディレクターにプレッシャーを与え、レースディレクターによる決定に影響を与えようとしていた可能性があるということで意見が一致した」
報告書ではまた、セーフティカー導入中の周回遅れ解消に関する競技規約の表現について、混乱があることが明らかだと強調されている。
「第48条12項および第48条13項は、異なる解釈ができる可能性があることが、分析により分かった」
「このため、セーフティカーによる周回遅れ解消の手順に、一部混乱が発生したと見られる。したがって、F1競技規則のこれらの条項を明確化することが有益であると考えられる」
報告書では、マシは「誠実に」行動したとされており、「以前の(F1 SAC、F1コミッション、F1チームマネージャーを含む)話し合いにおいて、F1チームはセーフティカーでレースが終わるよりも、安全であればグリーンフラッグのレースコンディションでレースが終わることを望んでいると明らかになった」ことも考慮していたという事実から、彼のミスは多少和らげて表現されている。
「2021年シーズンを通して掲げられていた、グリーンフラッグのレースコンディションでレースを終えるという目標と相まって、レースディレクターは困難な状況のもと、特に決定までの時間的制約とチームからの計り知れないプレッシャーを認識しながらも、誠実に自身の知識の及ぶ限りの行動をした」
「F1ドライバーによる協議では、レースをグリーンフラッグのレースコンディションで終わらせることが望ましいことに変わりはないが、常に安全が最優先されるべきだと確認された」
「安全上の理由でセーフティカーを撤回できない場合、レースをセーフティカーの下で終了することを受け入れることを、F1各チームは確認した」
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(autosport web)
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