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F1技術エキスパートによる新車評価(1)フェラーリが完全復活か。メルセデスとレッドブルはスロースタート
2022年3月9日
スペイン・バルセロナにおいて2022年初のF1テストが行われ、全10チームが新世代マシンを走らせた。まだまだ実際のパフォーマンスは見えてこないが、formula1.comでの解説でもお馴染みのF1ジャーナリスト、サム・コリンズ氏に各マシンの第一印象、また2022年F1マシン自体の評価を語ってもらった(全3回)。
第1回はトップチームのフェラーリ、メルセデス、レッドブルのマシンについての分析だ。
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バルセロナで行われた2022年F1プレシーズンセッションでは、得られた答えよりも浮かび上がってきた疑問の方が多かった気がする。ほとんどの点において、どのチームが強く、どのチームが弱いのかが不明瞭であるが、ひとつ、際立ったチームがあったことは確かだ。速さがあるだけでなく信頼性も高いマシンを持っていたフェラーリだ。
■フェラーリF1-75:第1回テストでは最強のマシン
F1-75は発表された瞬間から大きな注目を集めた。フェラーリのニューマシンは、他チームのどこにも見られない、魅力的な空力コンセプトのもとで作られている。発表会で見た時、ボリュームが大きく、ハイドラッグのエアロコンセプトのマシンという印象を受けた。
そのサイドポッドの奇妙な形状のくぼみには、多くのライバルチームが驚かされた。F1のスポーツ部門ボス、ロス・ブラウンは、フェラーリF1-75は予想外の方向性を採っており、極めて興味深いと語っている。この独特のサイドポッドに興味を引かれ、2022年型マシンの基本CADモデルを自作し、CFDでさまざまなコンセプトを試してみた人々がいる。もちろんそれによって完全に正確な結果が出るわけではないが、フェラーリのサイドポッドコンセプトは、ドラッグを大幅に減らし、マシン全体のダウンフォースをわずかに増加させるだろうことが分かったという。
コース上でフェラーリは、“ポーパシング”と言われる空力的な現象に悩まされた。“ポーパシング”というのは、1980年代にマリオ・アンドレッティが初めて使った言葉だ。シルバーストンでロータスのテストをしていた際に、アンドレッティは、サスペンションの上下の動きを、波間をジャンプするイルカの動きに例えた。
フロアが大きなダウンフォースを発生させるとマシン全体が路面に吸い寄せられる。しかしリヤのフロアが路面に近づきすぎた時点でストールし、ダウンフォースが失われて、マシンが浮き上がる。そうするとダウンフォースが再び発生し始め、また路面に吸い寄せられる。これにより激しい振動が起こり、マシンにダメージを与えたり、パフォーマンスを低下させることになるのだ。
車高を上げることでこの現象を回避することは可能だが、そうすると1周を通してのパフォーマンスが低下してしまう。ポーパシングに悩まされたのはフェラーリだけではないが、フェラーリF1-75にはより顕著にこの現象が見られた。しかし彼らはバルセロナテストのなかで、問題解決に向かっていったようだ。
他のチームよりポーパシングに苦労していたフェラーリだが、F1-75がバルセロナテストにおいて最も強力なマシンだったことは明らかだ。タイヤ種類別では一貫して最速で、その上、周回数の上でもトップだった。フェラーリ復活と言っていいかもしれない。
■メルセデスW13:開発の遅れが目立つが、深刻な問題はなさそう
2021年、というかここ数年、トップ2に位置していたふたつのチームは、フェラーリほど印象的ではなかった。
王者メルセデスもポーパシングにひどく苦しんでいた。さらに、W13は、比較的保守的なコンセプトを踏襲しているように見える。2020年、2021年のF1で最強のチームだったために、メルセデスには、レギュレーションにより認められる空力テストの量が、他のどのチームよりも小さい。その影響が出てきているようだ。
メルセデス自体が、2021年のタイトル争いと2022年型マシン開発に注ぐ力のバランスを取るのは非常に難しかったと認めている。おそらくその結果、メルセデスW13は少し開発が遅れているように感じられるのだろう。とはいえ、このマシンが何か問題を抱えているようには見えないし、バルセロナテストでの最速タイムも記録した。ただしこの時に彼らは燃料を軽くし、ソフトタイヤで走っているので、フェラーリをはじめとするライバルと直接比較することはできない。
メルセデスは3日間を通して、自分たちのテストプログラムに集中し、ライバルたちにほとんど目を向けず、ひたすらスケジュールをこなしていた。そのため、全体的な印象ではやや地味に見えた。ドライバーがピットから出て行く際には必ずスタート練習を行っていたのも目を引いた。そういうチームは他にはほとんどなかったからだ。
W13において最も注目が集まったのはフロアのデザインだ。2021年初期に見られた波状のエッジが復活、他のマシンに見られるフロアのリヤとミッドエリアのエレメントはない。明らかに、この部分のソリューションを開発する風洞およびCFDの時間が、足りなかったのだ。
メルセデスのフロアは高速でたわむという指摘もあり、テスト期間中には、急きょ補強のためのステーを装着することになった。
メルセデスにとってテストは大成功とは程遠く、両ドライバーともマシンに若干の不満を訴えていた。しかしながらメルセデスは、バーレーンテストに大幅なアップデートを予定していると述べており、次回登場するマシンは、見た目もパフォーマンスも一変しているかもしれない。
■レッドブルRB18:革新的なデザインを採用も、明らかにオーバーウエイト
レッドブル・レーシングのマシンには革新的なアイデアが詰め込まれており、風洞作業に使える時間が少なかったことを感じさせない作りになっている。フロントエンドにはプルロッドサスペンションを採用。それがパッケージング上のメリットをもたらしているが、過去に大きな成功を収めていないシステムであり、ある程度のリスクはあるだろう。だがこれは、ビークルダイナミクスというよりエアロダイナミクス上の理由で採用されたアプローチなのだ。
レッドブルが最も力を注いだのは、前輪とサスペンションの後ろ側だ。サイドポッドのインレットの先端が長く伸び、アンダーカットとフロア周辺の気流をコントロールしている。ふたつに分かれたフロアフィンを備えたフロア先端、スロットの入った中間セクションも興味深い。より多くの風洞作業時間を許されたチームのマシンに見られるような先進性はないが、効率性は高そうであり、そこはメルセデスより優れている部分と言えるだろう。
レッドブルはRB18を最低重量795kgに近づけるのに苦労しており、具体的な数値は明らかになっていないものの、オーバーウエイトであることは間違いない。コストキャップの制限額ぎりぎりで運営しているレッドブルは、予算の関係で重量を減らすのに苦労しているのかもしれない。
さらに、レッドブルに関して期待外れのパフォーマンスだったのは、レッドブル・テクノロジーズが全チームに提供しているホイールカバーである。標準パーツ供給の契約を勝ち取り、3Dプリントにより同一のパーツを全チームに供給しているわけだが、多数にクラックが入っているのが発見された。これはシーズンを通して問題になる可能性がある。
全体的に見て、レッドブルは比較的速いものの、メルセデスほどではなさそうだ。
バルセロナテストで判明したことは、確実だと言えることは何ひとつないということだった。とはいえ、2021年のトップ3チームが今年、そのままの序列で並ぶことはないだろう。
(第2回に続く)
(Sam Collins)
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9/20(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
9/21(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
9/22(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 331 |
2位 | ランド・ノリス | 279 |
3位 | シャルル・ルクレール | 245 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 237 |
5位 | カルロス・サインツ | 190 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 174 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 155 |
8位 | セルジオ・ペレス | 144 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 24 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 516 |
2位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 475 |
3位 | スクーデリア・フェラーリ | 441 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 329 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 34 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 31 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 16 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 13 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第18戦 | シンガポールGP | 9/22 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |