F1シンガポールGPの開催契約が2028年シーズン終了時まで延長された。これはF1が年間のグランプリ開催数をさらに増やし、最低でも各チームとF1商業権保有者との間で既に合意済みの25レースという上限まで引き上げようとしていることを示唆するものだ。
カレンダーに加わった2008年以降、シンガポールGPはF1にとって大成功したグランプリであり続けている。マリーナベイ・ストリート・サーキットでF1史上初のナイトレースが始まると、そこで展開される華々しい場面の数々は、すぐにF1を象徴するシンボルとなっていった。最初の開催契約で民間人投資家のオン・ベンセンが資金を提供した後、シンガポールGP主催組織の運営はベンセンを会長に置いたままで政府の手に移り、小さな島国の観光政策における重要なツールとなった。
グランプリ開催前後の約3週間にわたり生活を邪魔されるシンガポール中心部の住民や勤労者たちからは延長に反対の声も上がっていたものの、最終的に政府は長期にわたる投資の実施を決め、F1とのあいだで非常に長期の開催契約を結んでいるカナダ、オーストラリア、ハンガリーといった国々の仲間入りをした。
F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリにとって、シンガポールGPの開催契約が延長できたことは、シーズンあたりのレース数を増やすうえで重要な一歩となった。現時点では、ポール・リカール・サーキットとの現行契約が2023年末で切れる予定のフランスGPのみ、その後の開催継続が難しい状況となっている。ただし、仮にフランスがF1世界選手権の開催地から外れることになっても、中国とカタールが来年のカレンダーに復帰すれば、年間24グランプリは必ず開催できることになる。
今後数年間で、さらにいくつかの長期契約が締結される予定だ。オースティンとの開催契約が今年後半の更改に向けて進んでおり、スパ・フランコルシャンとバルセロナも同様の状況にある。さらに、ドメニカリは、ラスベガスの地元当局と条件面で合意でき次第、アメリカ国内で3つ目となるレースを加えたいと望んでいるほか、アフリカでのレース数を増やし、2024年にマレーシアを復活されることも視野に入れている。
彼の動きはこれにとどまらない。ここ数カ月間、南アフリカとの交渉ペースも加速されている。1993年まで毎年グランプリを開催していた国でのF1復活を目指しているのだ。ドメニカリにとって重要なのは、毎年30に上る主催者を確保し、1シーズンあたり25というグランプリ数の上限を守りながら持ち回りの開催を可能にすることだ。そのために、彼はさらに多くのコースを求めて探し続けている。
次のステップとして、彼はグランプリの開催期間をわずか2日間にまで縮める案を、各チームやプロモーターに受け入れてもらおうとしている。年間のレース数をさらに増やし、今後5年から10年のうちにフォーミュラワン・グループが生みだす収益を最大化する財政的な礎とするためだ。
(Grandprix.com/Translation: AKARAG)