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【F1第17戦無線レビュー(1)】「早く順位を返して。何を調査してるんだ!」コース外からの追い抜きにアロンソが不満

2021年10月29日

 2年ぶりの開催となったF1アメリカGP。決勝当日は例年以上に気温が上がり、バンピーな路面と相まって厳しいレースになることが予想された。アメリカGP前半を無線とともに振り返る


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 決勝当日は午後になると晴れ渡り、気温は30度近くまで上がった。南東の風も前日の予選時以上に強い。グリッドに着く前のレコノサンスラップを終えた角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が、マシンの印象を担当エンジニアのマッティア・スピニに伝えた。


角田:FP2で予想した通り、ちょっとアンダーステアが強いね。追い風の影響もあると思う。ターン6が特にひどい。セクター3は大丈夫だ
スピニ:ターン11のブレーキングに注意しろ
角田:そうだね。ちょっと攻めすぎた

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第17戦アメリカGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)


 セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はレコノサンスラップ中から、ドリンクシステムにトラブルが出ていた


ヒュー・バード:ドリンクをテストしろ
ペレス:ドリンクの漏れが止まらない。バラクラバ(耐火マスク)を替えないと。びしょびしょだよ


 しかしトラブルは解消されず、ペレスは「僕のキャリアで一番ハードなレース」を戦うことになる。


 スタート直後、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)とランス・ストロール(アストンマーティン)が接触、ラティフィはフロントウイングを壊してしまう。


ストロール:後ろからぶつけられた。ダメージをチェックしてくれ
ラティフィ:ハースにサンドイッチされた! ウイングにダメージだ


 その前方ではエステバン・オコン(アルピーヌ)もフロントウイングにダメージを負っていた。


ジョシュ・ペケット:フロントウイングにダメージがある。感じないか?
オコン:いや、感じないね。大丈夫だよ


 しかしオコンは結局3周目にピットイン、フロントウイングを交換、最後尾まで落ちてしまう。


 一方上位勢では、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がスタートで首位を奪ったものの、3周目前後には早くもタイヤが垂れてきているようだった。


フェルスタッペン:彼のスライドがひどいぞ!

ルイス・ハミルトン(メルセデス)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第17戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)


 1秒以内の差をキープするマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を、ハミルトンは振り切ることができない。 


ハミルトン:彼の方が速い
ピーター・ボニントン:わかった


 しかしハミルトンに接近しすぎて周回した影響もあったのか、8周目あたりからフェルスタッペンのタイヤもタレ始めていた。


フェルスタッペン:タイヤがすごく熱くなっていて、僕らはそんなに速くない


 フェルスタッペンはアンダーカットを狙って、予定よりはるかに早い10周目にピットに向かった。メルセデス陣営にしてみれば、ハミルトンのピットインをできるだけ遅らせて、首位をキープする戦略が定石だ。フェルスタッペンもそこは十分警戒しており、チームにこんなメッセージを送った。
 
フェルスタッペン:チェコと(協力して)、ハミルトンがこれ以上走り続けないようしてくれ!


 11周目の時点で、首位ハミルトンと2番手ペレスの差は5秒余り。ペレスがアンダーカットを狙って12周目にピットインしたことで、ハミルトンも次周にピットに向かわざるをえなかった。これでフェルスタッペンが首位に立った。


 直後の14周目、すぐ前を走る角田を追い立てていたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が、緊急にピットに入っていった。


ガスリー:問題がある。マシン後方だ
ピエール・アムラン:リヤサスペンションだ。ボックスだ


 ガスリーはそのままリタイア。アルファタウリの期待は、角田ひとりにかかることになった。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第17戦アメリカGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)


 エスケープゾーンが広く、ほとんどがアスファルト舗装されているCOTAでは、コースからはみ出しながらのオーバーテイクが頻発した。


リカルド・アダミ:レースディレクターから指示が来た。1周目のターン12の追い抜きで、ランドに順位を戻さないといけない
カルロス・サインツ:いやだよ。ターン16でリカルドに譲ってるし


 結局、順位の変更はなく、カルロス・サインツ(フェラーリ)へのお咎めもなかった。一方16周目のキミ・ライコネン(アルファロメオ)とのバトルでは、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)があからさまな不平を漏らした。


アロンソ:ライコネンがターン1でアウトから抜いて行った。ポジションを返してほしい


 しかしそれから2周経っても、チームから返事はない。


アロンソ:早く順位を返してくれ。何を調査してるんだ!
カレル・ルース:今、見てるところだ
アロンソ:何も見ることなんてないだろう!


 しかしライコネンのオーバーテイクは問題ないとされ、アロンソの順位挽回はかなわなかった。すると今度はライコネンのチームメイト、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)を20周目のターン12でオーバーテイク。しかし大きくコースオフしてしまう。
 
アロンソ:よし、やったね!


 アロンソは大満足だが、抜かれたジョビナッツィはあからさまな不満を漏らした。


ジョビナッツィ:おいおい、なんだよ、あれは!

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)&アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)
2021年F1第17戦アメリカGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)&アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)


 アルピーヌのスポーティングディレクター、アラン・パーマメインだろうか、FIAのマイケル・マシとこんなやりとりを交わしていた。


パーメイン:マイケル、アウト側から行ったんだったら、コースオフしながら抜くのはいいよね?
マシ:いや、コース外での追い抜きはできない
アルピーヌ:でもライコネンは、それをやったんだよ
マシ:わかった
アルピーヌ:じゃあ、いいんだね?
マシ:いや、だめだ
アルピーヌ:ライコネンにはいいのか?
マシ:いや、誰でもダメだ


 それを受けてチームはアロンソに、順位を譲れと指示した。


ルース:ジョビナッツィに順位を譲るんだ。でないと、5秒ペナルティを受けてしまう


 渋々順位を下げたアロンソ。しかしこれであきらめるはずもなく、ジョビナッツィに果敢に仕掛けていく。24周目にはターン12でインを刺して前に出かけたが、ジョビナッツィはアウト側にはみ出しながら11番手を死守した。しかし今度はジョビナッツィに非があると判断された。
 
ベッカー:順位をもどすんだ
ジョビナッツィ:あいつが僕を押し出したんだ
ベッカー:いいから戻すんだ


 今回のレースは特に、コースをはみ出してのオーバーテイクについて、微妙な判定が多いように思えた。エスケープゾーンがグラベルだったら、ドライバーたちもコースから出ることなく、オーバーテイクを仕掛けるのだろうが。


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(2)に続く



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


レース

4/18(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
4/19(土) フリー走行3回目 22:30〜23:30
予選 26:00〜
4/20(日) 決勝 26:00〜


ドライバーズランキング

※バーレーンGP終了時点
1位ランド・ノリス77
2位オスカー・ピアストリ74
3位マックス・フェルスタッペン69
4位ジョージ・ラッセル63
5位シャルル・ルクレール32
6位アンドレア・キミ・アントネッリ30
7位ルイス・ハミルトン25
8位アレクサンダー・アルボン18
9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール10

チームランキング

※バーレーンGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム151
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム93
3位オラクル・レッドブル・レーシング71
4位スクーデリア・フェラーリHP57
5位マネーグラム・ハースF1チーム20
6位ウイリアムズ・レーシング19
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム10
8位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム7
9位BWTアルピーヌF1チーム6
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー6

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