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【動画】ノーカットで見る20分間。レッドブルのメカニックが見せた驚速「左前サスペンション修復」の一部始終
2020年7月26日
F1第3戦ハンガリーGPでマックス・フェルスタッペン(アストンマーティン ・レッドブル・レーシング)はレコノサンスラップでのクラッシュから一転、自身のカーナンバーと同じ33回目のF1表彰台を獲得した。
この表彰台獲得はご存じの通り、メカニックたちの素晴らしい仕事があってこその結果だった。F1の公式サイト(Formula1.com)では国際映像では流れることのなかったシーンも含めて、フェルスタッペンがクラッシュを喫した瞬間からフォーメーションラップをスタートするまでの20分間の映像が公開されている。
フェルスタッペンがターン12でクラッシュした瞬間が国際映像に捉えられたとき、レッドブル・ホンダとフェルスタッペンのハンガリーGPは終わったと、誰もが思ったはずだ。
事実、映像でも確認できるとおり、マシンのフロントウイングは外れ、左フロントサスペンションは大きなダメージを負っていた。
マシンをドライブしていたフェルスタッペンもコクピットからでは破損した部分を確認することはできないが、ステアリングが思うように効かない状況に無線で「I’m bringing it back to the pits I hope!(ピットに戻ったほうがいいよね)」と、ピットで修復する必要があると考えていた。

少なからず一瞬はピットスタートになってしまうこともやむを得ないと覚悟していたはずだ。しかし、それに答えたエンジニアの言葉は予想を反するものだった。
「Go to the grid.(グリッドに行くんだ)」
かつて日本人F1メカニックとして活躍し、現在はジャーナリストとしてF1に携わっている津川哲夫氏はこのときの状況をこう分析する。
「いまのF1はマシンのさまざまな部分に多くのセンサーが付いています。クラッシュしたあと、フェルスタッペンのマシンはすぐに動き出しました。マシンが動けばチームにはセンサーを介してデータが即座に飛んでくる」
「そこでサスペンションはトラックロッドとプッシュロッドだけが壊れており、他のサスペンションには問題がないことを確認していたはずです。それだけであればグリッドで修復できるとエンジニアは判断したのでしょう」
それにしても、フェルスタッペンがクラッシュしてから、エンジニアがグリッドへ来るように無線で指示を出すまで約14秒。たったこれだけの時間でグリッドでフロントウイング、トラックロッド、プッシュロッドの交換・修復ができると判断したことに驚きが隠せない。だが、その理由のひとつにはF1チームの徹底した準備が関係していると津川氏は言う。
「レースウィークではフリー走行を走り出してから決勝が始まるまでの間にマシンのセッティングを調整しますが、F1ではその際にスペアのパーツもレースカーと同じようにその都度セッティングを変えています」
通常、レーシングカーは破損などによってサスペンションに関わるパーツを交換すると、アライメントをとるなどして交換後の状態を確認してから再び走り出す。
しかし、F1ではレースカーと同じセッティングが施され、アッセンブリー交換が可能な状態ですべてのパーツがユニットごとに用意されているため、今回のような有事でも交換さえできてしまえば、ほぼ破損前と同じように走れるというわけだ。
ゆえにメカニックたちは取り乱すことなく、グリッドにマシンが止まったと同時に作業を進めることができた。とはいえ、マシンを触ることができるタイムリミットまではその時点で残り約15分。いくら準備が万端でもとても無理なように思えた。
「メカニックたちも当然、クラッシュした瞬間はドキッとしたでしょう。でもすぐに切り替えて作業をしていた。そこがさすがレース屋だなと思いました。慣れているというか、ああいうときは焦って何かをやろうとしても早くできるわけではないということを彼ら自身が一番よく分かっている」
「それよりも冷静にちゃんとやるべきことをキチッとやることに集中していました。きっとメカニックもエンジニアも“15分しか”ないではなく、“15分も”ある、と考えていたはずです。そのあたりがさすがプロですね」
今年はテストの段階からリヤのナーバスな挙動に悩まされている部分があるレッドブル・ホンダ。開幕3連戦だけを見れば王者メルセデスとの差を痛感させられる結果だったことは否めない。しかし、第3戦ハンガリーGPでは世界最高峰で戦うレーシングチームとして、そのレベルの高さを見せてくれた。

(Yuka Fujii / autosport web)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 99 |
2位 | ランド・ノリス | 89 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 87 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 73 |
5位 | シャルル・ルクレール | 47 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 38 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 31 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 20 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 10 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 188 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 111 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 89 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 78 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 25 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 10 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 8 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 6 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

