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F1技術解説:フェラーリ後退の原因の7割はパワーユニット由来のもの。パワーを補うためにやるしかない必死のアップデート
2020年7月17日
マッティア・ビノット代表が言明しているように、レッドブルリンクでライバルたちに1秒近い後れを取ったSF1000は、空力とエンジンパワーに深刻な問題を抱えている。
フェラーリの昨年型パワーユニットに重大な規約違反疑惑が出たことから、今季、FIAはエンジンマニュファクチャラーに対して特にオイル燃焼に関してかなり厳しい制限を課した。
今季のフェラーリ製パワーユニットがその変更にうまく対応できず、失速しているのはほぼ間違いない。
ビノット代表は「1秒近い遅れのうち、70%はパワーユニット由来だ」と言明。フェラーリのパワーユニットを搭載しているハースのロマン・グロジャンも、フェラーリ製パワーユニットについてこんな驚くべきコメントをしている。
「予選モードに切り替えたら、去年よりはるかに少ないパワーしかでなかった。去年より全然少なかったよ」
現地で取材しているイギリス人ジャーナリスト、マーク・ヒューズもこんな分析をしている。
「全開モードを使わないQ1では、メルセデスとのタイム差は0.4秒程度だった。それがQ2では0.7秒に、そしてQ3では0.9秒まで広がった。単純に計算しても25馬力ほど劣っていたことになる」
一方でSF1000はコーナリングスピードに関しては速さを見せた。しかしストレートで一気に遅れている。パワー不足とドラッグの大きさが原因であろう。
フェラーリがSF1000の開発を開始したのは2019年3月頃で、当然、昨年のサマーブレイク明けに投入したあのパワフルなパワーユニットを念頭に置いていた。
そのため、ストレートで少しぐらいドラッグが大きくても、大した影響はないと考えていた。ドラッグ軽減で失敗したSF90の轍を踏むまいと、ダウンフォースの増大を優先したのである。
そのおかげで確かにコーナリング性能は向上した。しかしドラッグは大きい。頼みのパワーも出ていないため、結果として最高速は顕著に落ち込むことになった。
今季はパワーユニットの性能由来のアップデートは禁じられているため、今後フェラーリ製パワーユニットがパワーアップすることはない。フェラーリはその意味でも非常に厳しい状況に置かれている。
できることといえば、空力側のコンセプトを可能な限り変更するしかない。そこで出てきたのが、第2戦に投入した新型フロアである。
リヤタイヤの前部に起きる乱流を少しでも整えてディフューザーへと空気を向かわせる必死の工夫が見てとれる。


この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ:Kunio Shibata)
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