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F1技術解説レビュー トロロッソ・ホンダ編:飛躍のカギとなったホンダPUの継続性とハース型の開発手法

2020年1月8日

 2019年シーズンのトロロッソSTR14はこの5年間で初めて、テクニカルディレクターだったジェームズ・キーが設計に携わらなかったマシンだ。彼らはその代わりにレッドブルとの開発協力をいっそう緊密化させたが、独自路線も決して捨てたわけではなかった。


・飛躍のカギは、ホンダとの関係継続?
 2019年シーズンのトロロッソはコンストラクターズ選手権において、前年の9位から6位に躍進。しかも5位ルノーとは、わずか5ポイント差しかなかった。さらに彼らが一度も上がれなかった表彰台をドイツ、ブラジルと、二度にわたって獲得している。


 成功のポイントは、ふたつあった。まずホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)を2年連続して供給されたことだ。それまでトロロッソのパワーユニットは、2014年にフェラーリからルノーに替わって以来、2016年にフェラーリに戻し、翌17年に再びルノー、そして2018年にホンダと、ほとんど毎年搭載PUが変わっていた。そのため車体開発には、多大の妥協が払われていた。それが2019年シーズンのSTR14は、ホンダ製PU搭載を念頭に開発されており、そのメリットは当然ながら非常に大きかった。


・ハース型の開発手法


 そしてもうひとつが、レッドブルとの関係強化である。これもまた、レッドブルがトロロッソ同様にホンダと供給契約を結んだからこそ可能になったのだった。


 レッドブルとトロロッソの密接な協力関係は、フェラーリとハースのそれを彷彿とさせる。トロロッソはミルトンキーンズのレッドブルテクノロジーから、次のようなパーツの供給を受けている。2018年型ギヤボックス(内部機構+カーボン製ケーシング)、油圧システム、電気システム、サスペンション内部パーツ。さらにリヤアクスルはほぼレッドブルRB15のままだし、一部のパーツはRB14から移植されている。


・どの分野を独自開発したのか


 現在の技術部門を統括するのは、ジェームズ・キーの右腕だったジョディ・エディントンである。上記のパーツをレッドブルテクノロジーから供給されたとはいえ、彼のチームが独自開発した部分も多岐にわたっている。冷却系、パワーユニットの車体への完璧な組み込み、フロントサスペンション、そしてもちろん車体全体の空力設計である。


「リヤサスペンションは、マシン全体の空力に大きな影響を及ぼす。その意味では、その部分の設計を自由にやらせてもらえなかったことに、部下たちはひどくがっかりしていたよ」と、エディントンは言う。


・さらに頑丈になった雄牛
 実際、トロロッソの開発テンポは非常に速く、バージボードひとつ取ってもシーズン中に3回のアップデートを果たした。これはマクラーレンと同じペースである。さらにホンダ製PUも、素晴らしい信頼性を発揮した。レース中に壊れたことは一度もなく、シーズン全体で88%という非常に高い完走率を達成したのである。


 かつてレッドブルの風洞が置かれていた英国ビスターにあるトロロッソの空力部門はここ数年、素晴らしい独創性を発揮し続けている。


 たとえばSTR14が開幕戦で披露したフロントウイング翼端板外側下部のボード状のパーツは、スペインでフェラーリとマクラーレン、さらにドイツでメルセデスが追随した。


 以下の表は、各マシンの全21戦平均の速さを示したものである。トロロッソは各GPにおける最速マシンから平均して2.15%、1周80秒に換算すると1秒61遅く、全10チーム中7位の成績にとどまっている(にもかかわらず実際には、選手権6位を獲得した)。

各チームのマシン最速マシンからの平均速度差1周(80秒換算)辺りの差
1メルセデスW10+0.17%+0.13秒
2フェラーリSF90+0.33%+0.25秒
3レッドブル・ホンダRB15+0.65%+0.49秒
4マクラーレンMCL34+1.66%+1.24秒
5ルノーRS19+1.91%+1.43秒
6ハースVF-19+2.13%+1.59秒
7トロロッソ・ホンダSTR14+2.15%+1.61秒
8アルファロメオC38+2.21%+1.66秒
9レーシングポイントRP19+2.38%+1.78秒
10ウイリアムズFW42+4.3%+3.22秒

・トロロッソ・ホンダ:シーズン中の主なアップデート一覧
1)バーレーン=バージボード
2)モナコ=リヤウイング
3)カナダ=リヤビューミラー、バージボード
4)ドイツ=バージボード、フロア
5)ハンガリー=Tウイング
6)イタリア=モンツァ専用フロントウイング
7)メキシコ=フロントウイング、エンジンカウル



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ:Kunio Shibata)


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