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メルセデスの二冠達成にホンダF1田辺TDが抱く、ほろ苦い思い

2019年11月14日

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が持つ、他のF1ドライバーよりはるかに優れた資質のひとつに「俯瞰でレース展開を見下ろせること」がある。物理的にそんなことはあり得ないのだが、しばしば見せるスタート直後の混乱のなかでの位置取りの巧みさ、抜群の危機回避能力は、そうとしか言いようのないものだ。


 ところがここ数戦のフェルスタッペンは、鈴鹿とメキシコで連続して接触事故を繰り返すなど、らしくないレースが続いていた。メキシコ後のアメリカGPでもターン1でバルテリ・ボッタス(メルセデス)と接触し、フロントウイング翼端板を破損。それ以外にもフロアに大きな損傷を受けていたことがレース後に確認できたが、それでも走り切って、9月のシンガポールGP以来となる3位表彰台を獲得した。


 レース終盤にはルイス・ハミルトン(メルセデス)を激しく追い上げた。黄旗が振られたためにオーバーテイクはできなかったものの「あれがなければ、まちがいなく2位だった」と本人は言っていた。その可能性は充分にあっただろう。


 一方でホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、この表彰台を手放しで喜んでいる風ではなかった。むしろメルセデスとの実力差に、少々打ちのめされているようにすら見えた。


 ハミルトンが6度目のタイトル獲得を決めたことへのコメントを求めた際に出たのも「本当にすごいことです。おめでとうございます」という、率直な称賛の言葉だった。しかしそれ以上に興味深かったのは、次に続いた以下のような言葉だった。


「チームの首脳陣はみんなかつての仕事仲間ですが、いまだに『何かあったら即対応する。それはいまも欠かさずやってる』と言ってました。そういう企業文化的なところ、そして優れたPU(パワーユニット)、車体、すべてが合わさって、この偉業を達成したのだと思います」


 ハミルトンの6度目の戴冠の前には、メキシコでメルセデスが6連覇を決めている。そのメルセデスF1のファクトリーは、2009年末にブラウンGPから完全買収したものである。そのブラウンGPは言うまでもなく、第三期ホンダF1が母体だった。そのため現在のメルセデスの中枢で活躍する人々には、ホンダF1時代のスタッフが数多くいる。


 たとえばレース週末のあらゆる問題に対処するスポーティング・ディレクターのロン・メドウズは、BARホンダでF1の現場キャリアをスタートした。ホンダF1最後の年にスポーティング・ディレクターに抜擢されて、経験を積んだことが「いまの仕事の基礎になった。あらゆることをホンダ時代にたたき込まれた」と語る。


 チーフレースエンジニアのアンドリュー・ショブリンは、BARホンダF1時代にはジェンソン・バトンの担当レースエンジニアを務めていた。同じくバトン担当だった田辺TDとは、とくに親しかった。そんな昔のよしみでいまもメルセデスの面々と田辺TDとは、パドックで言葉を交わしているのだろう。


 田辺TDがいまのメルセデスの活躍を、本心ではどう思っているのか。もし2008年いっぱいで撤退していなければ、ホンダはいまもコンストラクターとして、F1の表舞台で活躍し続けていたのではないだろうか。そんなほろ苦い思いを、いまも胸に抱いているのかもしれない。




(Kunio Shibata)


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