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【F1オーストリアGP無線レビュー】タイヤカスによるグリップ低下に苦しむドライバーたち

2017年7月12日

 何度もテレビのモニターに大写しになるタイヤのスロー映像。前後タイヤの表面からゴムが剥がれたような筋状のものが見える。オーストリアGPでは多くのドライバーが無線でタイヤのブリスターについて不満を言っているように見えた。 


 14周目、ルイス・ハミルトンは早くもリヤタイヤのグリップ低下を訴えた。


メルセデス(以下、MGP)「タイヤのフィードバックをしてくれ」


ハミルトン(以下、HAM)「とてもオーバーステア傾向だ。リヤタイヤが良くない」


 24周目には首位を走るバルテリ・ボッタスもフロントタイヤにブリスターが見えると報告する。


ボッタス(以下、BOT)「左フロントの内側に少しブリスターが出てきている」


 タイヤに掛かる負荷が大きい上位マシンだけでなく、ザウバーのマシンでもこの現象は起きていた。


ザウバー(以下、SAU)「タイヤはどう?」


マーカス・エリクソン(以下、ERI)「左フロントにブリスターが出ている」


 しかしペースが落ちるわけではない。ピレリのフロントタイヤ内側にできるブリスターは、タイヤの接地面ではないためパフォーマンスには影響しないからだ。事実、ブリスターが出ていながらもボッタスはペースを維持して40周目まで走り続けた。



2017年F1第9戦オーストリアGP バルテリ・ボッタス
2017年F1第9戦オーストリアGP バルテリ・ボッタス

MGP「このまま走り続けてもタイヤは問題ない?」


BOT「僕的にはOK、タイヤに問題はないよ」


 34周目にそう報告していたボッタスだったが、40周目になってタイヤの性能低下を以下のように報告してピットに飛び込んだ。


MGP「とても良い仕事をしているよ。タイヤの状況は常に伝えてくれ」


BOT「もうタイヤにはあまり残っていないよ」


 スーパーソフトでスタートしてウルトラソフトに履き替えたハミルトンは、レース終盤の61周目になってフロントタイヤのブリスターを訴える。


HAM「フロントタイヤにブリスターが出てきた」


MGP「それは何も気にする必要はないよ、ルイス。RIC(ダニエル・リカルド)のペースは8.2、ギャップは2.3秒だ」


 ハミルトンはファステストラップを連発して3位のリカルドを猛追しながらも、タイヤに不安を抱えていた。しかしそれは杞憂だった。レースエンジニアのピーター・ボニントンはその旨を伝える。


HAM「タイヤを注意して見ておいてくれ、ちょっと心配なんだ」


MGP「何も心配はないよ、内圧も大丈夫だ」


 何台かのマシンにはリヤタイヤにブリスターが出ているような映像が映し出されていたが、ピレリのマリオ・イゾラによれば、これはタイヤカスが付着してよじれてブリスターのように見えていただけだ。


「フロントにはブリスターが出ていたが、内側ショルダー部であり性能や安全性に影響を及ぼすものではない。リヤに筋状に見えていたのはタイヤカスを拾ったピックアップで、それが走行中によじれることでああなるんだ。ブリスターが起きるとすれば接地面に起きるはずだが、あの筋は接地面の外側に細く出ていただろう? それがタイヤカスである証拠だよ。事実、ウルトラソフトで40周にわたって走行しているマシンもあったわけだから、性能にも耐久性にも問題はなかったんだ」



2017年F1第9戦オーストリアGP セルジオ・ペレス
2017年F1第9戦オーストリアGP セルジオ・ペレス

 チーム側はタイヤの温度センサーでブリスターが起きていないことを把握しており、性能に心配はしていなかった。


セルジオ・ペレス(以下、PER)「ブリスターが出ているよ」


フォース・インディア(以下、FIN)「チェコ、それは(タイヤカスの)ピックアップだと思うよ」


 ハミルトンはリヤのグリップ不足と不安定さを訴えていたが、フロントのグリップが低下することで前後バランスが取れてフィーリングは改善する。レース後には「タイヤには特に問題は無かった」と語り、リヤの不安定さは一時的なものであったことを明かしている。


 ウルトラソフトに換えた直後の38周目にも同じようにリヤの問題を訴えたが、メルセデスAMG陣営は特に心配はしていなかった。


HAM「リヤエンドのフィーリングが良くない」


MGP「さっきのスティントのようにしばらくするとバランスは取れてくるよ」


HAM「フロントウイングを上げすぎたと思う」


 ハミルトンはキミ・ライコネンをアンダーカットするためにフェラーリの動きを見て31周目に急きょピットに飛び込んだ。そのためウルトラソフトに合わせたフロントフラップ調整を細かく話し合う時間がなく、その調整に不安を感じていたのだ。それがレース終盤のフロントタイヤに関する再三の無線につながったが、完璧な調整ができていれば3位を奪い取ることができたのかどうかは神のみぞ知るところだ。


 いずれにしても、中継映像でフィーチャーされたようなタイヤの問題は実在しなかったということになる。



(Mineoki Yoneya)


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