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【津川哲夫の私的F1メカ】メルセデスを悩ます”ロック&ロール”

2017年7月6日

 波乱万丈だった前回のアゼルバイジャンGP。クラッシュによるパーツの残骸、そしてセーフティカーと赤旗、ペナルティがレースに渾沌をもたらし、予選の順位と大きく異なる結果となった。その中でも、このバクー市街地コースではメルセデスが速さを取り戻したが、メルセデスW08が抱えている問題はまだまだ深刻なようだ。


 このバクー市街地コースでも、メルセデスW08はピレリタイヤとのマッチングがどうしても馴染んでいなかった。リヤタイヤのオーバーヒートに加え、バクーではフロントタイヤに熱が入らない事態に。これらの現象は予選で一度解消したように見えたが、ルイス・ハミルトンの言葉を追うと、ハードロールバーとフロントグリップの関係性が伺えた。


 通常ならロールバーが硬ければマシン特性はアンダーステアになりがちで、特にハードタイヤで高い内圧を要求するピレリタイヤは温度の適性域が狭く、その狭い温度領域に至らなければ十分なタイヤグリップは得られない。


 バクーは長い高速ストレートが特徴で、1コーナーの進入には時速350km超えから90度ターンで80〜90kmまで急激な減速が要求される。当然、タイヤがグリップしなければ、このコーナーをきれいに曲がりきることはできない。もしアンダーステアなどを出そうものなら……狭いエスケープの中でリバースギヤのお世話になってしまう。


 ストレートエンドではタイヤのグリップに加え、ブレーキングは素早いターイン(回頭)への重要なツール。当然、フロントグリップは極めて重要になる。ところが、バクーの長い直線はダウンフォースを嫌う。


 そのため、エアロのセッティングはハイスピード&ロードラッグ型になり、低速域ではダウンフォースが少なくなる。そして、そのロードラッグ型のエアロの場合、足回りは硬いながらもよく働くサスペンションでメカニカルグリップを造る必要がる。


 そこで中心になるのが、ヒーブサスペンションとアンチロールバーだ。


 メルセデスは昨年までは油圧のトリックサスペンション(通称FRIC)で4輪を姿勢制御して最上のセッティングを得ていたが、今シーズンは油圧式は使えず、アナログメカニカルな仕様となった。そのため、今季のメルセデス陣営の苦労は計り知れず……。


 バクーだけでなく、今シーズンの各サーキットでロールバーを頻繁に交換する姿が、メルセデス陣営のセッティングの難しさをうかがわせる。



(Tetsuo Tsugawa)


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