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手厚いチームのサポートを受け、新人ストロールが母国カナダGPで初成果【今宮純の視点】

2017年6月13日

 2017年F1第7戦カナダGPは、ルイス・ハミルトンがグランドスラムを達成し完璧な勝利を収めた。そして母国GPに挑んだ新人ランス・ストロールがファンの期待に応え見事9位入賞を達成。ニッポンのF1のご意見番、今宮純氏がカナダGPを振り返り、その深層に迫る──。 
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 ルイス・ハミルトンによるハミルトンのためのカナダGPだった。土曜には65回目PPを、日曜には4回目のグランドスラム(PP・ウイン・全周回リード・最速ラップ)を達成。二日続きで故アイルトン・セナが遺した記録に並んだ。キャリア10年、195戦、特別な日――。

ルイス・ハミルトンはグランドスラムを達成
ルイス・ハミルトンはグランドスラムを達成

 ジル・ビルヌーブ・サーキットにわたるブリッジ脇には歴代ウイナーのフォトが飾られている。最多7勝ミハエル・シューマッハー、5勝ハミルトン、ちなみにセナは2勝。


 この国の人々にはスポーツが育む文化や伝統を重んじるマインドがあり、その象徴がF1英雄ジル・ビルヌーブ、ブラジルにおけるセナと同じような存在だ。


 金曜からほぼ満員のスタンドにいつも以上にフェラーリの赤が目立っていた。今年の躍進ぶりにさらなる期待をこめて。


 それとウイリアムズ。モントリオール育ちの新人ランス・ストロールが母国デビュー、ジルの息子ジャック以来だ。ここまで苦戦つづきの彼であっても見届けないわけにはいかない……。売店ショップで買ったばかりのウイリアムズ・グッズを着込み、彼らはFP1から励ました。


 チームにとってイギリスGPに匹敵する最重点レース、ストロールへの配慮があった。FW40のエアロパッケージをアップデート、その効果確認はすべてフェリペ・マッサが担当。


 6戦したメルセデスPUコンポーネント全部をフレッシュに交換、彼はここまで何も代えていない。最新スペックはより強力なバージョンなので、そのベースセッティングもマッサが務める。


 これだけマシンが変化するとドライビング・フィールが異なり、コース上でアジャストするのは本人しだいになる。


 パディ・ロウ監督はとにかく走り込みを徹底させ、FP1=36周、FP2=40周、合計76周、ハミルトンの77周に迫る。タイヤ比較もマッサが行いウルトラソフトは全く履かせなかった。「ベストタイムは気にせず、アベレージ・ペースを自分自身で感じ取れ」ということだ。


 チャンピオンだって壁にぶつかる、タイム次元が上がると一層難易度が高まるコース。それは子供のころから観戦してよく分かっている。土曜からウルトラソフトを履き、そのグリップ感覚を感じとっていざ予選へ。攻めようとする彼の意志がブレーキングに現れていた。


 突っ込みすぎ→リヤがぶれてコントロール→アンダーになって加速(トラクション)が鈍る→リズムがとれない。結果は17位。


 ミスせずクラッシュしなかったことと、セクター3のタイムがトップ10に接近できたことは悪くない。十分なトップスピード332.1KMHはマッサ332.5KMHと同等なのだから、落ち着いて仕掛ければオーバーテイク・チャンスは作り出せる。

2017年F1第7戦カナダGP フェリペ・マッサはスタートの接触に巻き込まれリタイア
2017年F1第7戦カナダGP フェリペ・マッサはスタートの接触に巻き込まれリタイア

 コーナーを二つまわっただけで7位マッサはカルロス・サインツJr.に体当たりされて終わった。17位からスタートした新人は後方にいたからしっかり周りを見て、あの混乱に巻き込まれずにすむ。


 幸運かもしれないが、それだけではないだろう。予選アタックにこだわらず下位からでもチャンスは作れるとコーチングされた彼は、15番手から初陣を開始する。


 ジョリオン・パーマー、ニコ・ヒュルケンベルグらを抜き、25周目10位からピットへ。静止時間2秒1、これは今年彼の最短ストップだろう(落ち着いて集中できているのを直感)。いったん17番手に下がるがそこから挽回に転じていく


 激しい中団バトル・グループから入賞圏に迫るストロール、46周目にフェルナンド・アロンソをかわし10位へ。



2017年F1第7戦カナダGP フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)、10位フィニッシュ目前にしてリタイア
2017年F1第7戦カナダGP フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)、10位フィニッシュ目前にしてリタイア

 しかし、新人相手に王者はしつこく揺さぶり63周目に1分15秒853(最速ラップ4位相当)、受けて立ち64周目に1分15秒979(同6位相当)を。このバトルの直後、アロンソはトラブルにより8コーナーで止まってしまう。

F1カナダGP フェリペ・マッサからもお祝い
F1カナダGP フェリペ・マッサからもお祝い

 マシンとPUの力を最後まで出し切る69周、9位初入賞には結果以上に得るものがたくさんあったに違いない。カナダ人で3人目、ジルとジャックに次ぐ成果を上げたのだから。


――フェラーリ勢がいない初めての表彰台、1-2フィニッシュ初めてのメルセデス勢、これが今シーズンの変革を象徴していた。粘り強く3戦連続3位を獲得したのがダニエル・リカルドに付け加えると、スタートで見せたフェルスタッペンと彼のダッシュ力も秀逸だった。
 個人的にルノーPU(TAGホイヤー)はニューバージョン投入を控えても、制御系アップデートに最新デバイスを次々に入れているのではないか(と想像する)。彼らだけでなくそろってルノー・ユーザーはポジションアップしているからだ。


 これでシーズン3分の一が終了。次は2年目アゼルバイジャンGP、苦しんだバクーでハミルトン雪辱戦なるか?



(Jun Imamiya)


レース

4/18(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
4/19(土) フリー走行3回目 22:30〜23:30
予選 26:00〜
4/20(日) 決勝 26:00〜


ドライバーズランキング

※バーレーンGP終了時点
1位ランド・ノリス77
2位オスカー・ピアストリ74
3位マックス・フェルスタッペン69
4位ジョージ・ラッセル63
5位シャルル・ルクレール32
6位アンドレア・キミ・アントネッリ30
7位ルイス・ハミルトン25
8位アレクサンダー・アルボン18
9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール10

チームランキング

※バーレーンGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム151
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム93
3位オラクル・レッドブル・レーシング71
4位スクーデリア・フェラーリHP57
5位マネーグラム・ハースF1チーム20
6位ウイリアムズ・レーシング19
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム10
8位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム7
9位BWTアルピーヌF1チーム6
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー6

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