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【津川哲夫の私的F1メカ】シャークフィン&Tウイングの役割とメルセデスの排熱口
2017年3月29日
今シーズンからレギュレーションが変わり、F1マシンの見た目も大きく変わった……と言っても、マシン各部の大きさ、寸法の問題で、見た目で「鬼が蛇に変わった」わけではない。
4つのタイヤ(もちろん昨年までより幅広くなった)はあるし、前のウイング(これも拡幅され、先端が尖って外側に後退角がついた)も、後ろのウイング(拡幅され搭載位置が低くなった)も変化はしたが見た目には同じようなものだ。
その中でも外見の分かりやすい大きな変化、あるいは今までになかった新しい空力デバイスとしては、インダクションボックスの背中に背負われ、後方にまっすぐ延びるドーサル・フィン(魚等の背びれの意)、別名シャーク・フィンとも言う巨大な板の存在が挙げられる。
このフィン自体は過去にもあったが、今シーズンになって再び登場。冬季テストから多くのチームが搭載している。コーナーリング中にこの部分を斜めに乗り越える空気流を制御して反対側の空気流への干渉を防ぎ、低く幅広となったリヤウイングヘ流れるエアフローがより効果的になるように設置されている。実際には、直進時と高速コーナリング時での安定感が増すそうだ。
このシャークフィンと同等に今季のマシンで面白いのは、いくつかのチームが電車のパンタグラフの様な細いウイング状の整流器をシャークフィンの後部に搭載してきたこと。F1のパドックでは、このウイングは「Tウイング」と言われている。チームによって搭載位置は異なり、フェラーリ型はシャークフィンの後端に、メルセデスは独立したピラーに設置。さらにメルセデスは複葉機状の2段重ねのものを搭載してきた。
メルセデスがTウイングを独立させた理由は、このTウイング自体からのダウンフォースとシャークフィンの後端が煙突になっているオプションがるためと思われる。横から見ても分からないが、メルセデスのシャークフィンを上から見ると上端部後方にエアアウトレット(排熱口)が開いているものが開幕戦のレースで使われていた。
このアウトレットから排出する排熱空気流とシャークフィンの後端の空気流をこの複葉Tウイングで制御し、その下方でリヤウイングへ向かう空気流への干渉を弱めて空力効率を上げるアイデアのひとつだと思われる。個人的見解としては、見た目にあまり恰好よくないのが難点だが……。
(Text:Tetsuo Tsugawa)
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