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変わるのはシャシーだけではない。ピレリタイヤも設計思想を刷新【F1マシン2017大革命】

2017年1月23日

 あと1カ月ほどで登場する2017年型F1マシンのルックスは、ワイド&ローなスタイルに変貌を遂げる。シャシーの全幅が2000mmに拡大されるだけでなく、タイヤに関してもフロントタイヤが245mmから305mm、リヤタイヤが325mmから405mmと約25%も拡大されるからだ。だが、新規設計されるピレリタイヤは、ルックスだけでなく性能と特性も大きく変わるとみられている。


 グリップ不足や耐久性不足が批判されることの多いピレリだが、2017年型のワイドタイヤでは、設計思想を完全に刷新したという。ピレリのレーシングマネージャー、マリオ・イゾラはこのように説明する。


「タイヤの設計コンセプトを完全に刷新して、レギュレーションに合わせワイド化しただけでなく、コンパウンドもコンストラクション(構造)も完全に違うフィロソフィで設計した。端的に言えば、接地面積が広くなり、車体側のダウンフォースが増えてタイヤに掛かる負荷が大きくなるため、それに対応できるように設計している」とのことだ。

ピレリの2017年F1タイヤ
ピレリの2017年F1タイヤ


 ピレリタイヤについてのひとつの懸念事項としては、従来のように、タイヤマネジメントのために決勝でプッシュできず、わざとペースを抑えて走るような事態にならないかということだ。


 ニコ・ヒュルケンベルグは「新しいタイヤの特性がどう変わったかは、実際に走ってみないと分からないと思う。もしくは数戦みてみないとね。もちろん、パドックで予想されているように、タイヤマネジメントが今ほど必要なく、もっと自由にプッシュできるようになることを願っているよ」と語っていた。


 シミュレーターで2017年仕様を想定したタイヤのデータを試したというバルテリ・ボッタスも、まだ全貌はみえてこないと言う。


「(シャシーのダウンフォースが増えることもあり)グリップが高くなっていることは明らかだし、ドライバーにとっては良いことだ。ただし、シミュレーターではフィーリングや磨耗状況の詳細まで感じ取ることは難しいし、おおよそのことを推測するくらいしかできないんだ。2016年までは、タイヤを良いコンディションに保ってタレさせないことと、コーナーの立ち上がりでリヤをスライドさせてダメにしないことが最大のチャレンジだったけど、2017年はそれも変わるかもしれないし、個人的には変わってくれることを願っているよ」と明かす。


 もともとピレリは、ピットストップとオーバーテイクの回数を増やし、レースを面白くするために、FIAやチーム側からの要請に従ってデグラデーション(性能低下)の大きなタイヤを用意していた。しかし2017年の開発思想は違うとイゾラは説明する。


「我々は2017年に向け、大幅な性能低下やオーバーヒートが起きないタイヤを作り上げた。それが彼ら(FIAやチーム)からの新たなリクエストだったんだ。2017年はタイヤが安定したパフォーマンスを発揮し、ドライバーたちはこれまで以上にプッシュできるはずだ」


「もちろん、前走車の背後に着いて走れば乱気流によりダウンフォースを失い、同時にタイヤのパフォーマンスも失うことは忘れてはいけない。しかし、乱気流から抜け出てダウンフォースレベルが戻れば、すぐにパフォーマンスを取り戻すことができるようなタイヤに仕上げたつもりだ」と述べていた。

パフォーマンスのほかに、安全性に関する課題はクリアされるのだろうか
パフォーマンスのほかに、安全性に関する課題はクリアされるのだろうか


 ピレリは、2016年8月から11月末まで10回にわたって実走テストを行なっており、その結果はおおむね想定どおりだという。ただし、実戦に投入される最終仕様が登場するのは、シーズン開幕前の合同テストであり、これまでのテスト車両ではなく、2017年型のマシンに装着して走行してみるまで予測は難しいとの見方が強い。


 フォース・インディアの松崎淳エンジニアは「2017年型のタイヤがどんなグリップレベルなのか、どういう性格なのかはまだ分からないことが多いです。タイヤがどういう形をしていてどういう歪み方をするか、ゴムの化学組成などのデータは提供されているので、おおよそのことは把握できるのですが、具体的なグリップレベルなどは、新車に装着して初めて分かることですから」


「テストカーのダウンフォースレベルというのは、2016年仕様のマシンのプラス10%程度でしかない。2017年に投入するマシンとは、大きく異なりますからね」と述べていた。

3チームが代表して実走テストを重ねていた
3チームが代表して実走テストを重ねていた


 また、2016年に、10回の実走テストを担当したのはテスト車両を用意できたメルセデス、レッドブル、フェラーリの3チームだけであった。その作業内容はすべてピレリが決定し、詳細はテストを行ったチームにも一切知らされないブラインドテストだとはいえ、テストを行なっていないチームからは、不公平だとの声も挙がっている。


「詳細が分からないとはいえ、データロガーには走行データが残っていますから、テストを行なった3チームは新型タイヤの特性をある程度は推測することができます。もちろん、テストのレポートは後日、全チームに提供されるんですが、それがレポートになっていないようなレポートなんです。データが羅列されているだけで、どういう条件でテストをしたのかも分からないし、どう整理されているのかもよく分からないようなシロモノなんです」と松崎エンジニアは明かした。


 実走テストを行ったトップ3チームはある程度のデータを有しているとはいえ、ダウンフォースが大きく増すニューマシンに装着した2017年型ワイドタイヤがどのような特性なのかを詳しく知るためには、2月末の合同テスト開始を待たなければならないだろう。  



(Mineoki Yoneya)


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