4月18日（火）、2023年F1第3戦オーストラリアGPの決勝レースにおいて、カルロス・サインツ（フェラーリ）へ科されたペナルティをめぐり聴聞会が行われた。フェラーリは再審請求を行ったが、スチュワードはこれを棄却した。

　オーストラリアGPの終盤、レースは2度目の赤旗中断となり、57周目にリスタートを迎えた。4番手のサインツは3番手のフェルナンド・アロンソ（アストンマーティン）に接触し、アロンソはスピンを喫してポジションを落としてしまった。この件についてスチュワードは、サインツに非があったとして5秒のタイムペナルティを科した。

　その後レースは3度目の赤旗中断となり、最後はセーフティカー（SC）先導のもとでフィニッシュ。各車のギャップはなかったため、4位でフィニッシュしたサインツは入賞圏外の12位に降格となった。これを受けて、オーストラリアGPの翌週にはフェラーリのフレデリック・バスール代表が再審を求める権利を行使するためFIAに請願書を提出したことを明らかにした。

　バスールは、サインツとアロンソの接触と同じ周に起きたピエール・ガスリーとエステバン・オコン（ともにアルピーヌ）、ローガン・サージェント（ウイリアムズ）とニック・デ・フリース（アルファタウリ）のアクシデントについて、スチュワードの対応が異なったことを問題視した。アルピーヌ勢の接触は関係者の話を聞いたうえで審議が行われ、レース1周目のアクシデントとしてペナルティは出なかった。そしてサージェントとデ・フリースの件については審議対象にもならなかったのだ。

　ペナルティの判定について見直しを求めるフェラーリは、スチュワードがこの請求を検討し、決定やインシデントについて、関連があり重要な新しい要素があるかどうかの判断を行うことを要求した。現地時間8時CET（日本時間15時）よりバーチャル聴聞会が行われ、その結果オーストラリアGPのスチュワードはフェラーリの請求を棄却するという結論を下した。

　発表によると、スチュワードは、サインツが国際競技規則の付録Lの第4章第2条d)に違反していて接触の責任があるとレース中に判断した。スチュワードはこの接触がリスタート1周目のターン1で起きたことを考慮したが、サインツには衝突を避けるための措置を取る十分なギャップがあったと考え、したがって5秒のタイムペナルティを科したということだ。

　フェラーリの請願書では、スチュワードが決定を下した時点では入手できなかった、新しい重要な関連要素があると主張されていた。それは2度目のリスタート後のサインツ車のテレメトリーデータ、サインツの証言、他のドライバーの証言（アロンソや他のドライバーらによるレース後インタビューの記録に相当するもの）などに依拠するものだ。

　だがスチュワードは、テレメトリーデータ自体は衝突の責任が誰にあるのかを決めるために必要な重要かつ関連性のある新しい要素ではないと主張。彼らの見解によればサインツの無罪を証明するものではなく、衝突の責任は全面的にサインツにあるという判断を裏付けるものだという。またサインツの書面による証言や他のドライバーらの証言も同様に、重要かつ関連性のある新しい要素ではないということだ。

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