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「これを見る覚悟があるかわからなかった」グロージャン、バーレーンでのクラッシュ時に被っていたヘルメットを再び手に

2026年1月14日

 これまで多くのF1ドライバーが危険と直面してきたが、現代F1において記憶に長くとどまるもの、あるいは奇跡として残るものはほとんどない。しかし2020年のバーレーンGPにおいて、ハースのロマン・グロージャンが炎上するマシンから脱出したのは、まさにそれにあてはまるものだ。


 あの決定的な瞬間から5年が経ち、グロージャンは、グランプリ史上最も恐ろしい事故のひとつで自身を守ったヘルメットと再会した。焼け焦げて傷だらけのそのヘルメットは、もはや単なる安全装備ではない。生存者の静かな証人である。

■「このヘルメットは、いかに人生を大切に生きるべきかを思い出させてくれる」

 バーレーンでのあの夜、レースは始まったばかりだった。決勝レースの1周目にターン3の出口で他のマシンが接触したのに続いて、グロージャンはガードレールに突っ込んでしまった。その後起きたことは想像を絶するものだった。ガードレールへの衝突でマシンは真っ二つになり、燃料から引火した猛火が砂漠を照らすなか、バリアの反対側に押し出されたコックピットは炎に包まれた。しかしグロージャンは、手に火傷を負ったものの、マシンから脱出することができた。

2020年F1第15戦バーレーンGP
2020年F1第15戦バーレーンGP ロマン・グロージャン(ハース)のマシンはガードレールにクラッシュし炎上。グロージャンはここから自力で脱出した

 それから数年が経った今、あの夜にグロージャンが被っていたヘルメットが再び手元にやってきた。グロージャンはインスタグラムに「2020年11月29日から5年を経て、僕はヘルメットと再会した」と投稿した。


 この再会はグロージャンが積極的に求めたものではなく、実際は、彼自身がそれに向き合う準備ができているかどうかも確信が持てなかったと認めている。


「見る覚悟ができていたかどうか、わからなかった。でも僕の子供たちが、どうやって僕が炎のなかであれほど守られたのか、あの夜何があったのかを知りたがっていた」


 グロージャンは、自身の家族にどうやって生き延びたのかというメカニズムを説明することで、彼と想像を絶する事態の間にあった素晴らしいエンジニアリングを主張した。それは、何よりも命を優先するデザイナーやマニュファクチャラーなど、このスポーツの見えない守護者たちへの深い感謝の瞬間だった。


「あの瞬間に僕をこれほどまでに守ってくれたベルとアルパインスターズには永遠に感謝する」とグロージャンは述べ、家族の元へ帰ることを可能にしてくれた安全基準に敬意を表した。


 レーシングコミュニティにとって、ヘルメットは技術面で驚異的なものだ。グロージャンにとっては精神的な支えである。記憶は時と共に薄れるかもしれないが、人生の2度目のチャンスを受け取ったことに対する感謝の念は決して消えないということを思い出させるのだ。


「人生は進み、僕たちは忘れてしまう。でもこのヘルメットは、僕たちがいかに人生を大切に生きるべきかを思い出させてくれるものだ」


 バーレーンでのクラッシュはグロージャンのF1キャリアに終止符を打ったが、レース、家族、そして人生そのものに対する彼の考え方を変えた。あのヘルメットとの再会は傷口を開くものではなく、目的を再確認させることだ。恐怖ではなく、生き延びたことや回復力、そしてその後の毎日の大切さを思い出させるものなのだ。



(Text : autosport web)


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