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小松礼雄コラム第13回:大苦戦の市街地戦と数秒の判断で分かれた明暗

2017年9月28日

 ハースF1チームのチーフエンジニアとして今年で2年目を迎える小松礼雄氏。創設2年目の新興チームであるハースはどのようにF1を戦うのか。現場の現役エンジニアが語る、リアルF1と舞台裏──F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラムの第13回目をお届けします。

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■想像以上の苦戦を強いられたシンガポール。判断を誤ったピットイン

 シンガポールGPでは残念ながらマシンに基本的な速さがなく、大苦戦の週末でした。そのなかでロマン(グロージャン)が9位入賞し、何とか2ポイントを獲れたのは、良かったのではないかと考えています。そこまで苦戦してしまった原因はまず、圧倒的にダウンフォースが足りなかったことですね。

 今のチームの規模では、通常のパッケージでは戦えないシンガポール、モナコ、ハンガリーGPのようなエキストラダウンフォースのサーキットに投入するリソースがないため、グランプリが始まる前から苦戦することは覚悟していました。

 とはいえ、(決勝までの)全セッションで一度も14位以上に上がれないとは……。想定以上に悪い順位だったし、圧倒的なグリップ不足でタイヤもなかなか上手く使うことができませんでした。

 レースはシンガポールGP史上で初めてのウエットスタートになりました。最初は雨は小降りだったのですが、国歌斉唱が終わってドライバーがクルマに戻ってくるころには結構、ちゃんとした雨が降り出しました。

 通常でしたら、その雨量でも安心してインターミディエットタイヤで行くのですが、みんな前回のモンツァの予選でインターがまったく機能しなかったことが頭にあったみたいですね。モンツァではみなインターに熱を入れて作動させるのに相当苦労していて、またアクアプレーニングも酷かったんです。

 シンガポールの場合は気温・路面温度が高いし、水量もそこまで多くなかったのでモンツァとは全然違う状況でしたが、それでも高速コーナーのないコースでインターにちゃんと熱を入れられるかというのは確信が持てませんでした。

 結局、うちはドライバーとも相談した上で、2台の選択を分け、ロマンはインターミディエイト、ケビン(マグヌッセン)はエクストリームウエットで行くことにしました。

 チーム代表のギュンター(シュタイナー)はグリッドでわざわざ僕のところまで来て、「ロマンはインターミディエイトで本当に大丈夫なのか?」と心配していましたけど(苦笑)。モンツァの予選で彼はピットストレートでアクアプレーニングを起こして真っ先にクラッシュしていたので、心配されちゃうのもしょうがないですよね。

 僕が面白いと思ったのは、上位3チームは全員インター、比べて中堅・下位チームのほとんどがエクストリームウエットを選択したことです。モンツァでもフルウエットからインターに換えた時にしっかり機能させられていたのはトップチームだけで、それはダウンフォースがあるマシンだからこそ可能だった部分も大きいと思います。

 その結果を踏まえて、シンガポールではこうしたタイヤ選択になったのだと思いますが、トロロッソは果敢にインターミディエイトを選択し、それが(カルロス)サインツJr.の4位フィニッシュにつながりました。クビアトはインターでケビンを抜いたすぐそばからクラッシュしてリタイアしていたので、サインツはよく序盤をしのいだと思います。

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