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小松礼雄コラム 第17回:今シーズンを象徴するレースとハースの2017年。予選と決勝で見える、F1ドライバーの実力

2016年12月12日

 今年、ハースF1チームに移籍し、チーフエンジニアとしてチームのレース部門を統括する小松礼雄氏。チームのデビューイヤーとなった2016年もついに最終戦。アブダビGPで改めて感じたチームに不足しているもの。そして2017年の目標。F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム第17回をお届けします。

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今シーズンを象徴するレースとハースの2017年。
予選と決勝で見える、F1ドライバーの実力


 今シーズン最終戦のアブダビGP、11位、12位と目標のダブル入賞にあと一歩届かなかったのがとても残念ですが、良いレースをすることができ、ある程度満足しています。特にロマンは第2、第3スティントではとても良いペースで走ることができました。この様にコンディションにハマれば速いけど、常にその速さを引き出すことがまだできないという、良い意味でも悪い意味でも自分たちの今シーズンを象徴するレースでした。

 予選は、前々回のメキシコGPではどうにもできなくて最下位、ブラジルではこれ以上はないという7位だったので、アブダビではなるべくQ3に近い位置に行きたいとは思っていました。結果はメキシコとブラジルの中間くらいの13位、14位でした。

 クルマをそこまで上手く機能させることができなかったので、ドライバーが完璧なラップを走っても12位が限界でした。その同じクルマでレース中盤にトップ3の次のグループなかでは非常に競争力のある走りをすることができました。

 今年のシーズンを振り返ってもわかるように、2017年シーズンの目標はクルマのポテンシャルを常に安定して引き出す実力をつけることです。アブダビの第2スティント、第3スティントがなんであんなに良いかということがエンジニアリングチームとしてちゃんと把握できていれば、アブダビでも予選からトップ10に行けているはずです。

 これをちゃんと把握するというのはもちろん、簡単ではありませんが、今、まさにそのためにいろいろと人を雇ったり、「こうしよう」「ああしよう」と来年に向けて人、組織、プロセスとすべての面を改善しているところです。

 今年、ウチのチームで一番足りていないのはクルマに対する理解力です。クルマを理解するには、テレメトリーから得られるデータの解析ももちろんですが、ちゃんとした数学的なモデルが必要です。そのモデルを使ってシミュレーションを行い、クルマの挙動をいろいろと検証していくわけです。

 このモデルを正確に作るためには、クルマのいろいろな部分の基本的なデータが必要になってきます。この分野に関してはすべての部分でウチのチームは圧倒的に不足しています。そのため、走行を重ねてデータを取りながらクルマに対する理解力を深める作業がなかなか進みません。たとえば、きちんとした能力・道具を備えているチームでは、同じ量の走行データから得られるものが全然違ってくるんです。この繰り返しがとてつもなく大きな違いとなって出てきます。

 たとえば、ロマンが第1スティントと第2スティントで同じソフトタイヤを履いているにも関わらず、第2スティントの方が全然速かった(燃料の重さの違いや路面の変化を考慮した上で)。もちろん、テレメトリーのデータからどこでどれくらい速かったとか、クルマのバランスがどう変わったとか、トラクションがかかっているとか、タイヤの温度がどう違ったかということは判ります。だけども、これはすべて結果なんです。じゃあなんで、バランスが変わったのか、どうしてトラクションが良かったのかということをきちんと紐解いて理解するというのは、簡単じゃないんです。

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