2024年F1第4戦日本GP 角田裕毅(RB)

【】【F1第4戦無線レビュー】ピット作業でライバルを逆転、順位を上げた角田裕毅「みんな、ありがとう!最高の仕事だ」

4月15日

 2024年F1第4戦日本GP。スタート直後にクラッシュが発生し赤旗中断となる波乱のスタートを迎えた。再開後はマックス・フェルスタッペンが難なく今シーズン3勝目を挙げたが、後方ではホームレースを迎えた角田裕毅を含む複数のドライバーによる熾烈な入賞争いが展開された。日本GPを無線とともに振り返る。

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 スタート直後、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)に、出遅れたダニエル・リカルド(RB)が接触。2台は早々にリタイアを喫する。

アルボン:いきなり寄せてきた。防ぎようがなかったよ。

 事故現場を通過したドライバーたちが、エンジニアに安否を尋ねていた。

マックス・フェルスタッペン:みんな無事だったのか?
ジャンピエロ・ランビアーゼ:ダニエルは車から降りている。

角田裕毅:ダニエルは大丈夫?
マッティア・スピニ:あとで詳しく教えるが、クルマからは自力で降りている。

 タイヤバリアの修復の間、赤旗中断。そして3周目の再スタートで、今度はアルピーヌのエステバン・オコンとピエール・ガスリーが同士討ちしてしまう。

3周目
オコン:ピエールが横にぶつかってきた。クルマが大丈夫か、チェックして。

ピエール・ガスリー&エステバン・オコン(アルピーヌ)
2024年F1第4戦日本GP ピエール・ガスリー&エステバン・オコン(アルピーヌ)

 2台は走り続けたものの、共にマシンにダメージを受け、ペースが上がらない。

9周目
ランビアーゼ:クルマの挙動をレポートしてくれ。
フェルスタッペン:最初はアンダーだったけど、ちょっとずつオーバーステアになってる。

 首位を快走するフェルスタッペンのペースは落ちず。最初のタイヤ交換で一旦はシャルル・ルクレール(フェラーリ)に首位を譲ったものの、すぐに奪い返した。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2024年F1第4戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

12周目
ヨルン・ベッカー(→周冠宇):ギヤボックスだ。リタイアしないといけない。

 ピットインを繰り返し最下位に落ちていた周は3回目のピットインの後、そのままリタイアとなった。

 ガスリーは、オコンとの接触で絶望的にペースが上がらない。

15周目
カレル・ルース:そのまま走り続けるんだ。確かにダメージはあるが。
ガスリー:クルマが明らかにおかしい。いたるところで滑りまくってる!

 ハードタイヤでの1ストップ戦略を目論んだルイス・ハミルトン(メルセデス)。一時は4番手まで上がったものの、予想外の高い路面温度にタイヤが持たず、ランド・ノリス(マクラーレン)、セルジオ・ペレス(レッドブル)に立て続けに抜かれていった。

19周目
ハミルトン:タイヤが落ちている。右フロントが死んでる。

21周目
ハミルトン:戦略を変えよう
ピーター・ボニントン:了解だ。ただウインドウが開くのを待たないと。

セルジオ・ペレス(レッドブル)&ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2024年F1第4戦日本GP セルジオ・ペレス(レッドブル)&ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 すぐにでもタイヤを交換したいハミルトン。しかしコース復帰後にケビン・マグヌッセン(ハース)以下の渋滞にハマることが明らかで、ボニントンはピットインを先送りにせざるを得ない。23周目にようやくピットに向かうが、9番手まで後退した。

 22周目、中団でトレイン状態だった10番手マグヌッセン以下5台のマシンが、同時にピットになだれ込んだ。そして真っ先にコースに戻ってきたのは、4番目にピットに入った角田だった。

23周目
角田:みんな、ありがとう! グッジョブ! 最高の仕事をしてくれたね!

 一方ハミルトンは、9番手まで落ちたことに納得がいかない。

26周目
ハミルトン:なんでこんなにタイムを落としたんだ
ボニントン:トラフィックと(タイヤの)デグラデーションだ

41周目
カルロス・サインツ:僕、レースに加わってるの?
リカルド・アダミ:表彰台争いをしてるよ。

 この時点でサインツは5番手。しかし新品ハードに履き替えてすぐにノリスをパス。4番手に上がった。

44周目
サインツ:あとひとつで表彰台だ。

カルロス・サインツ(フェラーリ)
2024年F1第4戦日本GP カルロス・サインツ(フェラーリ)

 すぐ前にはチームメイトのルクレール。10周古いタイヤを履いており、ペース差は歴然だ。

マルコス・パドロス(→ルクレール):サインツとレースしていいけど、タイムを失うなよ。

 ルクレールは、素直に順位を譲った。

48周目
ランス・ストロール:なんでストレートで、こんなに遅いんだ!! まるで違うカテゴリーのクルマだよ!

 10番手の角田を必死に追うが、パフォーマンスに劣るはずのRBにまったく追いつけない。確かにアストンマーティンは最高速が遅いのが欠点のひとつだが、角田とは対照的に勢いに任せて走り続けたストロールのタイヤマネージメントにも問題があった。最後はニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)にも抜かれ、12位に終わった。

 前戦オーストラリアでリタイアを喫したフェルスタッペンが、完璧な走りで雪辱を果たした。

ランビアーゼ:素晴らしい。最初から最後までレースを支配したね。
フェルスタッペン:最高のレース、最高の車だったよ。
クリスチャン・ホーナー代表:ホンダのホームレースでワン・ツーフィニッシュ。いうことのない週末だ。

 そして角田は母国レースで初入賞。上位5チームのマシンとの大差を跳ね返して獲得した、意義ある1ポイントだった。

スピニ:チェッカーフラッグだ、ユウキ。素晴らしい10位だ。
角田:みんな、よくやってくれた。メカニックたちのおかげだ。最高のピット作業だった。日本のファンの応援にも、本当に力付けてもらったよ。



(取材・まとめ 柴田久仁夫)