ホンダF1 山本雅史マネージングディレクター

【】アルファタウリは「競争力がなかった」選手権でアルピーヌがリード、かつての戦友には拍手/ホンダ山本MDインタビュー

11月26日

 2021年F1第20戦カタールGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とバルテリ・ボッタス(メルセデス)にグリッド降格ペナルティが科されたため、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーがフロントロウの2番手からのスタートとなった。ところがガスリーは11位、8番手スタートの角田裕毅も13位でレースを終え入賞を逃した。

 一方でコンストラクターズ選手権5位を争うアルピーヌは、フェルナンド・アロンソが3位、エステバン・オコンは5位と揃って上位に入賞。アルピーヌとアルファタウリ・ホンダのポイント差は25に広がり、選手権ではリードを許した。ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターは「アルピーヌにやられた感がある」と振り返ったが、それと同時にかつての戦友であるアロンソの巧みな走りを賞賛した。

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──レッドブル・ホンダは7番手と11番手からスタートして2位と4位まで盛り返しましたが、アルファタウリ・ホンダのほうは2番手と8番手からスタートしたにもかかわらず、2台そろってポイント圏外に終わりました。

山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):アルファタウリ・ホンダはレッドブル・ホンダとは逆の結果となりました。個人的に金曜日からレースペースに課題がありそうで少し不安で、スタート前に角田くんには、クルマとのマッチでタイヤが厳しいかもしれないから、レースはタイヤのマネジメント次第だよと言っていたのですが、まっくその通りになってしまいました。ピエールの方が少しペースがよかったというくらいで、基本的には同じような状況でした。総じて言えば競争力がなかったなと。

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山本雅史マネージングディレクター&角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

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食事をしながら話し合いを行う山本MDと角田

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アルファタウリのスタッフも交えて話し合いを行っていた

──まさかのノーポイントでした。

山本MD:ピエールがフロントロウからのスタートで、角田くんが8番手でしたから、ふたりともポイントがないというのは、本人たちもかなりフラストレーションのたまる結果だったんじゃないかなと思います。

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2021年F1第20戦カタールGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

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角田は8番グリッドからスタート

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2021年F1第20戦カタールGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

──そんななか、今日はアルピーヌの活躍が光りました。

山本MD:本当に今日の(フェルナンド・)アロンソの走りは素晴らしかった。あの1ストップのアロンソの走りは見事。チームメイトの(エステバン・)オコンもよく頑張ったと思います。表彰台の下で、もちろんマックスの2位まで挽回したナイスリカバリーにも拍手を送っていましたが、同時にかつての戦友としてアロンソにも拍手を送っていました。チェコ(セルジオ・ペレス)も最後まで表彰台を狙っていましたが、ペースの配分が絶妙で、さすがワールドチャンピオンを2回獲っているだけあるなと思って見ていました。アロンソのうまさが光ったレースだったと思います。

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2021年F1第20戦カタールGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)

──バーチャルセーフティカー(VSC)が最後に出なくてもペレスはアロンソに追いつけなかったですかね?

山本MD:計算上は微妙でしたね。とにかくアロンソがうまかった。もちろん、チェコも頑張った。レッドブルはよく頑張ったと思います。

──同点だったアルピーヌが3位と5位で25ポイントを獲得したので、コンストラクターズ選手権でアルファタウリとの差が25点に広がりました。残り2戦で、コンストラクターズ選手権5位の座を取り返すのはかなり厳しいかなと思いますが……。

山本MD:そうですね。結果的に2台がポイントを獲って、もう一方はポイントが獲れなかったわけだから。

──残り2戦で表彰台を獲らないといけない状況となりました。

山本MD:同点だったのにここにきて、アルピーヌにやられた感はあります。

──アルファタウリは2台ともそれぞれアルピーヌの前からスタートしながら、1周目に2台そろって前に行かれたのが痛かった。

山本MD:そうですね。向こうは経験豊富なふたり。オコンはピエールとほぼ同じキャリアだから、そうなるとアロンソと角田くんの比較となるけど、アロンソは超ベテラン。とにもかくにもあと2戦しかないから、アルファタウリもしっかり頑張ってほしいです。

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2021年F1第20戦カタールGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

──ガスリーが予選の最後のアタックでコースオフしてクルマにダメージを負ってしまったのが影響していたのかもしれませんね。

山本MD:それは仕方がない。ピエールも予選までは調子が悪くなかった。セクター1とセクター2で自己ベストを更新していたので、攻めるのは当然だし、そこは認めています。ピエールがコースオフしてクルマにダメージを負ってコース上に停まったことで黄旗が出て、結果的にマックスがペナルティを受けましたが、それをピエールのせいにするのは違います。

──カタールで初めてF1をやりました。どんな印象でしたか。

山本MD:まず、カタールの人たちから、我々F1を非常に好感を持って迎え入れていただいたという印象を持ちました。また、実際にF1を見て、みなさん感動していたようです。カタールでは長年MotoGPが開催されており、私もMotoGPやWTCC(世界ツーリングカー選手権)のときに来ていますが、パドックの雰囲気はまったく違います。やはりF1は別格で、在カタール大使の方が今回ゲストでいらしていたのですが、『初めてこういうなかでF1を見た』とおっしゃっていました。スケール感、システム、プロセス、すべてにおいてきちんとオーガナイズされている。来年はサッカーのワールドカップがあるためF1は開催されませんが、23年以降は再び開催されます。在カタール大使の方も『サッカーと同じようにF1でも盛り上がっていきたい』とおっしゃっていました。

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初開催のF1カタールGP。2023年はサッカーW杯を開催するのでF1は行われないが、2023年から再び開催予定となっている

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グリッドには元サッカー選手のデビッド・ベッカムも



(Masahiro Owari)