2021年F1第1戦バーレーンGP 2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と優勝を飾ったルイス・ハミルトン(メルセデス)

【】レッドブル・ホンダ密着:予選から一転。ペレス車のトラブルにより、孤軍奮闘の接戦を強いられたフェルスタッペン

3月29日

 予選でメルセデスのルイス・ハミルトンに約コンマ4秒の差をつけてポールポジションを獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、なぜ敗れたのか。

 ひとつ目の敗因は、予選でコンマ4秒の差をつけたときに履いていたC4を、今回のレースではレッドブル・ホンダもメルセデスも使用しなかったことだ。バーレーンGPが行われるバーレーン・インターナショナル・サーキットは、リヤタイヤのデグラデーション(劣化)が大きい『リヤリミテッド』のコースとして有名だ。

 したがって、今回バーレーンGPに持ち込まれたC2、C3、C4の3種類のコンパウンドのなかから、レッドブル・ホンダもメルセデスも最も柔らかいC4ではなく、1段階硬いC3を履いて、Q2を突破していた。そのため両チームともC3でスタートし、その後もC3やC2だけを履いてレースを戦うこととなった。

 この硬めのコンパウンドはメルセデスのマシンが得意としており、レースペースは接近したものとなった。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第1戦バーレーンGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 そうなると、重要になるのがレース戦略だ。しかしレッドブル・ホンダは、フォーメーションラップ中にセルジオ・ペレスのマシンに問題が発生し、突然マシンが停止するという事態に見舞われた。その後、ペレスはなんとか再始動させることに成功しレースに参加できたが、ピットレーンからのスタートとなったため、レッドブル・ホンダはフェルスタッペンひとりで2台のメルセデスと対抗しなければならなくなった。

 それが1回目のピットストップでのハミルトンのアンダーカットを許す要因となった。

 しかし、この日のフェルスタッペンにはハミルトンをコース上で逆転できる速さがあった。そのことは53周目の4コーナーで一度はハミルトンを仕留めていることからもわかる。だが、その直後にフェルスタッペンはオーバーラン。コース外に出た後、トップのままコースに復帰したため、レースディレクターからレッドブル・ホンダに対しハミルトンへポジションを譲るよう指摘され、チームはすぐにフェルスタッペンに無線で伝えた。

 再び2番手に下がったフェルスタッペンには残り3周半でまだチャンスが残されているように思えた。だが、ハミルトンを仕留めるために53周目までプッシュし続けたフェルスタッペンのタイヤには、もうオーバーテイクを仕掛ける余力は残っていなかった。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第1戦バーレーンGP トップの座を守りきっったルイス・ハミルトン(メルセデス)。フェルスタッペンとの差はわずか0.7秒だった

 ハミルトン&メルセデスという現役最強のコンビを打ち負かすチャンスは、何度もあるわけではない。バーレーンGPではその数少ないチャンスを逃してしまった。

 しかし、開幕戦バーレーンGPで最も速かったのは、レッドブル・ホンダだったことは事実。だからこそ、レッドブル・ホンダとして開幕戦での最高位となる2位にも、スタッフたちに笑顔はなかった。そんなスタッフたちにクリスチャン・ホーナー代表はこう言った。

「もし2位で悔しい思いをするのなら、それは悪いことではなく、チームとしての決意を示すものだ。我々は戦いのまっただ中にいる。そして、今日のレースで今シーズンその戦いに勝つ準備は整ったといっていいだろう」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第1戦バーレーンGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第1戦バーレーンGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

2021年F1第1戦バーレーンGP セルジオ・ペレスとクリスチャン・ホーナー代表(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第1戦バーレーンGP セルジオ・ペレスとクリスチャン・ホーナー代表(レッドブル・ホンダ)

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第1戦バーレーンGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)



(Masahiro Owari)