「鈴鹿がドライバーたちに愛されるのは観客との一体感。インディ500と一緒」と佐藤琢磨。F1イベントでアツいトークを披露
3月25日、東京タワーで開催されたF1日本GP公式プロモーションイベント『F1 TOKYO FAN FESTIVAL』。2026年もインディ500に参戦する佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がトークセッションのステージに登壇した。
F1を7シーズン戦い、2010年からはインディカーに参戦。2017年と2020年にはインディ500を制し、2026年も3度目のインディ500勝利を目指してレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから参戦する佐藤琢磨。2019年からはホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS)のプリンシパルに就任し、精力的に若手レーシングドライバーの育成も行っている。
F1日本GPを目前に東京タワーで行われた『F1 TOKYO FAN FESTIVAL』のトークセッションでは、角田裕毅や小林可夢偉ら豪華なメンバーがステージに登壇。大トリとして登壇した琢磨は、「雨の中、大変だけどこんなに集まってくれてありがとうございます!」と集まったファンを労う。

「15分じゃ足りないな」と会場の笑いを誘いつつ、募集されたファンの質問に応えていく。
「87年に10歳で初めてF1を見て、衝撃を受けて90年台のF1ウームを一緒に応援していました。今は世代が2回も3回も変わったけど、日本GPは、全ドライバー・全チームの大好きなレースのひとつだよね。今年は裕毅が残念ながら今の時点では出ていないけど……、何があるかわかんないよね。日本GPはいろいろなドラマがあるし、温かくファンのみんなに迎え入れられているのが嬉しい」
「自分が最初に出たのも20年前、2002年だもんね。知っている人もあんまいないんじゃない(笑)」と振り返る。
当時の琢磨が乗っていたF1マシンと今のF1マシンの違いを尋ねられると「まったく別物。僕らの時代は車重が軽くて、今は150kgくらい重くなっちゃっているし、パワーもそうだよね。V10、19000回転で800馬力くらいからスタートしていたけど、今のF1は電気の力もあって1000馬力くらい? ダウンフォースが凄くてラップタイム自体は速い。僕らが走った時より5秒くらい速い」
「当時はすごい修正していたんですよ。ミハエル・シューマッハーなんか、車の軌道は変わらないのにステアリングは常に動かしていた。(アイルトン・)セナはアクセルを何やってるかわかんないくらい痙攣しているみたいだったけど(笑)。そこが凄いなというのがF1だった」
「今はクルージングしているみたいなんだよね。もちろんクルージングしているわけじゃなくて、ものすごい大変なことをやっている。タイヤの温度管理とかものすごく難しい。今のタイヤはちょっとでも滑って表面がオーバーヒートすると、あっという間にパフォーマンスが落ちちゃうから、滑らせないようにマネジメントしながら、速く走るのがすごい大変。でも、オンボードとかで見てると当時の大変さや迫力さは伝わってこないかな」
「今年はエネルギーマネジメントも難しそう。ドライバーは最初にすごい文句を言っていたけど、でも結局楽しんでいるでしょ? 抜きつ抜かれつもある。だからクルマのピュアなパフォーマンスとドライブトレインを含めたパフォーマンス、それをマネジメントするチームの戦略が、今はまだ手探り状態だから楽しい。けど、それが膠着しちゃうとどうなるんだろうね」
「でも唯一、自分が走っていた頃と違うのは音だよね。スタンドで観ていると1周1秒速い車でもわからないんだけど、あの音が反響してくるともうゾワゾワってなるじゃない? お腹の底に響いてくるみたいな。やっぱりモータースポーツは音だよ。サスティナビリティは絶対欠かせないので、eフューエルがもう始まっているけど、カーボンニュートラルが達成できるのであれば、排気量は小さくして、でも1万5000と1万8000回転でガンガン回して欲しいよね」とエンジン音の思いを語る。

インディ500とF1それぞれの魅力についての質問には、「観客との一体感かな。例えば鈴鹿がこれだけドライバーに愛されるのは、本田宗一郎さんが作った素晴らしいコースもあるけど、ファンのみんなが温かく迎えいれてくれて、熱狂的な応援をしてくれる。スポーツのいちばん美しい形。それを感じられるからドライバーもチームも嬉しいんだよ」
「インディもそうだよ。110年以上歴史があって、35万人の観客が集まる。2002年に鈴鹿で受けたのと同じように、インディアナポリスでトップチェッカーを受けるとエンジンを掻き消す地鳴りのような応援、歓声が聞こえる。これぞスポーツですよ」
「2000年にせっかく2度目の優勝をしたのに、パンデミックの影響で無観客開催で今言った地鳴りがなかったんだよ。17年の時は初めて過ぎてよくわからなかったから、もう1回あれを味わいたいんだよね。余韻に浸りたいので、もう1回勝たせてください(笑)」と応え、今年のインディ500勝利を期待してファンから大きな拍手も起きた。
色々な方向に脱線しつつも熱く語る琢磨のステージに、観客たちも熱心に耳を傾け、15分のトークセッションはあっという間に終了となった。