メルセデスの優位はフォーミュラEでの経験の賜物か。元フェラーリエンジニアが指摘
メルセデスはF1開幕戦オーストラリアGPで、予選ではフロントロウ独占、決勝でも1-2フィニッシュ達成と、圧倒的な強さを発揮した。その背景には、同ブランドが積んできたFIAの電動シリーズ、フォーミュラEでの経験があるのかもしれない。

エンジニアとして21年間フェラーリに在籍したルイジ・マッツォーラは、この優位性をもたらしているのはパッケージ全体の優秀さであるとの考えを示した上で、パワーユニット(PU)におけるアドバンテージを指摘している。
「メルセデスは、パッケージ全体として一歩前に出ている印象だ。単なるパワーユニットの優位ではなく、マシンバランス、空力、ダウンフォースといった要素も含めた総合力だ。ドライバーたちも“運転しやすいクルマだ”と言っている。つまり、マシン自体の完成度が高いということだ」
とはいえ、メルセデス製パワーユニットがライバルメーカーを凌ぐ性能であることは間違いないと、マッツォーラは言う。その中でも、特に優れているのは電力の回収と使用方法だという。
「他チームと比べて、彼らはバッテリーの充電方法と、必要な場所で最大の電動パワーを使う方法をよく理解しているように見える。予選でもそれを証明していた」
その能力の背景として、マッツォーラは「フォーミュラEでの経験が影響している」との見解を述べた。メルセデスはこのカテゴリーで元F1ドライバーのニック・デ・フリースとストフェル・バンドーンを擁し、世界タイトルを二度獲得している。メルセデス以外に、F1と並行してフォーミュラEにも参戦したメーカーは他にない。両カテゴリーに同時期に参戦したことで、英国ブリックスワースにあるHPP(ハイ・パフォーマンス・パワートレインズ)のエンジニアたちが、F1とフォーミュラEの技術的な知見を共有していた可能性は十分に考えられる。

ただしマッツォーラは、この優位性を単純にパワーユニットの性能だけで説明することはできないとも指摘する。というのも、同じパワーユニットを使用するチームが他にも存在するからだ。
「たとえばマクラーレンも、同じものを使っている。しかし彼らはバッテリーの充電能力やパワーユニット管理の面で劣っていた。アンドレア・ステラ代表も、そのことは否定していない」
さらに彼は、メルセデスの強みとしてしばしば指摘されるエンジンの圧縮比についても触れた。
「ライバルたちより高い圧縮比のおかげで、追加の出力を生み出せる。その余剰パワーを、バッテリーの充電にも使える。つまりエンジンに余力があれば、回生エネルギー不足を防ぐことにもつながる」
2026年のパワーユニットは、エンジンと電気の出力比が50:50になった。そのため電気エネルギーをどれだけ効率的に管理できるかが、今後の勢力図を左右する決定的な要素になる。それを結果で証明したのが、開幕戦でのメルセデスの圧勝だった。