2026.03.12

「続きは来週だ」キャデラック初戦はリタイア。復帰のボッタスは次戦に期待【F1第1戦無線レビュー(2)】


2026年F1第1戦オーストラリアGP バルテリ・ボッタス(キャデラック)
Other Photo

 2025年F1第1戦オーストラリアGP。最初のバーチャルセーフティカー(VSC)でダブルストップを行ったメルセデスに対し、フェラーリがステイアウトを選択したことで、優勝を争う2チームの戦略は分かれることになった。中団勢でもポイント争いが展開され、1年目のアービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)が光る走りを見せていた。オーストラリアGP後半を無線とともに振り返る。

────────────────────

 アイザック・ハジャーのリタイアで、11周目にバーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。フェラーリがステイアウトを選択するなか、メルセデスは2台を同時にピットに呼んだ。しかしジョージ・ラッセルと同時にピットインさせられ、タイムロスを喫したアンドレア・キミ・アントネッリは、ちょっと不満のようだった。

12周目
アントネッリ:これでいいのか?
ピーター・ボニントン:ああ。問題ない。

ジョージ・ラッセル&アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2026年F1第1戦オーストラリアGP 同時にピットストップを行ったジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 キャデラック初戦のセルジオ・ペレスも、ステイアウト組だった。

ペレス:このままで大丈夫?
カルロ・パセッティ:ああ。このまま行く。次のピットインで、ステアリング交換だ。
ペレス:後ろは誰?
パセッティ:(リアム・)ローソンだ。

 12周目、ペレスを抜こうとしたローソンは、ラインを塞がれたように見えた。

ローソン:これ、見ただろ?
エルネスト・デジデリオ:ああ、見たよ。大丈夫。行けるぞ。

 その言葉通り、16周目にオーバーテイクに成功した。

リアム・ローソン(レーシングブルズ)&セルジオ・ペレス(キャデラック)
2026年F1第1戦オーストラリアGP ポジションを争うリアム・ローソン(レーシングブルズ)とセルジオ・ペレス(キャデラック)

 ステイアウトしたフェラーリのシャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトンが1、2番手を走行。しかし背後から、ラッセルが遥かに速いペースで迫っていた。

15周目
カルロ・サンティ:ラッセルは10秒後ろだ。
ハミルトン:10秒しかないの?!
サンティ:大丈夫。僕らはこれでいく。プランAだ。

 フェラーリのプランAは1回ストップということなのだろう。

 18周目。バルテリ・ボッタスがコース上でストップ。キャデラックでのF1初戦は、リタイアに終わった。直後のコメントは、いかにもボッタスらしいものだった。

ボッタス:続きは来週だな。
ジョン・ハワード:ああ、来週だ。申し訳ない。いくつかのトラブルが重なってしまった。でもまだ、始まったばかりだから。

 これで2回目のVSCが導入された。

サンティ:VSCだ。このままいく。
ハミルトン:ピットインも、ありじゃなかったのか?

 ハミルトンは依然として、チームの戦略に納得していないようだった。

 ピットインしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、前のクルマに追突しそうになっていた。

フェルスタッペン:ブレーキチェックしやがった。ピットロードで、ずっとだ。

 21周目、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)がエステバン・オコン(ハース)に迫り、接触しながらなんとか抜いていった。

21周目
ガスリー:ドアを閉めた!
カレル・ルース:チェックしている。
ガスリー:何かが壊れたみたいだ。あいつ、ずっとこんな運転をしてた。
ルース:了解だ。報告する。落ち着いて、運転に集中しろ。マシンは問題ない。

オコンとの激しいバトルを制してガスリーが10位入賞 コラピントはスタートで危機一髪もペナルティに苦しむ
2026年F1第1戦オーストラリアGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 なにかと因縁のオコンが相手だと、ガスリーもつい熱くなるようだ。オコンの言い分は、もちろん真逆だった。

オコン:ターン3の出口で、しっかりスペースは開けた。でもぶつかってきたんだ。

 レース中盤の22周目。そろそろフェラーリ2台のタイヤ交換のタイミングが迫ってきた。

ハミルトン:僕のタイヤはまだ大丈夫だから、(ルクレールと)同じタイミングでピットインさせないでくれ。

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2026年F1第1戦オーストラリアGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ)

 ルクレールは25周目、ハミルトン28周目にピットに向かった。ラッセルはその直前にハミルトンを抜いて、再び首位に立った。

ラッセル:1ストップでいけると思うよ
マーカス・ダドリー:了解。残り30周だ。

 29周目。8番手を走るアービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)に、オリバー・ベアマン(ハース)が迫っていた。

ピエール・アムラン(→リンドブラッド):他のクルマは、フロントタイヤにグレイニング(ささくれ摩耗)が出ているようだ。

ロナン・オヘア(→ベアマン):オリー、オーバーテイクにあまり電気は使いたくない。普通に走れば、チャンスは来る。相手はルーキーだ。

37周目
ラウラ・ミュラー(→オコン):ターン11でブーストを使って。それで抜けるはずよ。

 その指示通り、オコンはガスリーをオーバーテイク。しかしすぐに抜き返されてしまった。

33周目
ボニントン:レース最後まで、このタイヤでいきたい。
アントネッリ:それはかなり大胆だね。
ボニントン:わかった。モニターし続ける

 この時点では、アントネッリは1ストップ作戦は難しいと思っていたようだ。

 32周目。新チャンピオンのランド・ノリス(マクラーレン)は、フェルスタッペンと5番手争いを繰り広げていた。

ウィル・ジョゼフ:ミディアムで26周いけるか
ノリス:無理だよ。このペースで行ったら10周で壊れるよ。

 結局ノリスは23周走って、34周目にハードに履き替えた。

ランド・ノリス(マクラーレン)
2026年F1第1戦オーストラリアGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 リンドブラッドは、40周目にベアマンに抜かれていた。

リンドブラッド:もう1回、ヤツを攻めよう。

 結局、最後までベアマンを抜きあぐねたリンドブラッドだったが、F1デビュー戦で8位入賞を果たした。

アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)
2026年F1第1戦オーストラリアGP アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)

43周目
ダドリー(→ラッセル):このラップタイムなら、最後まで行けるぞ。

46周目
ジョゼフ(→ノリスに):フェルスタッペンがプッシュしている。今が君を抜くチャンスだとわかってるようだ。

51周目
サンティ:残り7周だ。よくやってるぞ、プッシュし続けてくれ。何が起きるかわからないから。
ハミルトン:集中させてくれ。

 ラッセルがチェッカー。アントネッリが続いた。メルセデスの開幕戦ワン・ツーフィニッシュは、2019年以来だった。

ダドリー:素晴らしい運転だった。よくやった。
ラッセル:わお〜このクルマ、大好きだ。このエンジンも! スタートは、バッテリーがゼロだったけどね。それでちょっとナーバスになっていた。
トト・ウォルフ代表:ジョージ、クルマとパワーユニット、そしてドライバー、最高のコンビネーションだった。

ボニントン:よかったぞ。よく挽回したね。
アントネッリ:ありがとう。スタートの失敗で、レースは終わったと思ったけど。みんな本当にありがとう。

 ウォルフの言う通り、メルセデスが総合力で頭ひとつ抜けていることは間違いない。それをまざまざと見せつけられた開幕戦だった。



(Text : Kunio Shibata)

最新ニュース一覧

2026-03-13更新
2026-03-12更新

最新PHOTO一覧






|TOP|NEWS|