【】【F1ドライバーを支える人々/角田裕毅のマネージャー D.メンチャカ】10歳から交渉人。レーサーから転身したチャレンジャー
1月11日
過酷なシーズンを送りつつ、キャリアを切り開いていかなければならないF1ドライバーたちには、それぞれすぐそばで支える仕事上のパートナーがいる。この連載では、ドライバーの心身をサポートするマネージャー、フィジオ、アドバイザーといった人々に焦点を当てる。今回紹介するのは、角田裕毅のマネージャーを務めるディエゴ・メンチャカだ。
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熱心なレースファンであれば、すでにディエゴ・メンチャカという名前を知っているかもしれない。そしてそれは、彼が角田裕毅のマネージャーであるということだけが理由ではないだろう。
■自ら切り拓いたドライバーとしてのキャリア
メンチャカは元々レーシングドライバーであり、2025年にドライバーマネジメント事業に専念するためにレース活動を終えた。彼は不動産を扱う別の会社も経営している。二つの会社を運営しているという事実は、彼がリスクを恐れず懸命に働く起業家であることの何よりの証であり、それは彼がキャリアを通じて貫いてきたアプローチである。

メキシコ人であるメンチャカは幼少期にカートを始めたが、家族からレースを続けるための支援をほとんど得ていなかったため、スポンサーを探さなければならなかった。10歳の頃からすでに自分自身で打ち合わせに出向き、セルジオ・ペレスの父の助けを得て、レースを続けるために必要な資金を確保した。
シングルシーターへとステップアップした際には、ペレスをはじめ多くのドライバーを支援してきたカルロス・スリムからも支援を受けることに成功し、自身のキャリアを完全に自分でコントロールし続けた。少年のころからレースの現場に両親が同行することすらなく、すべての契約や取り決めを自らまとめ上げていたのである。
その後、ジュニアキャリアは順調に進み、さらなる成長を求めてヨーロッパへ渡った。2016年にはユーロフォーミュラ・オープン選手権でランキング4位を獲得し、翌年にはワールドシリーズ・フォーミュラV8 3.5でトップ10入りを果たした後、GP3へと進んだ。
しかし、そこでシングルシーターとしてのキャリアは停滞する。一方でメンチャカはスポーツカーやGTカーでは高い競争力を維持し、約2年前にはインターナショナルGTオープン選手権で3位という好成績を残した。
その頃には、彼のドライバーマネジメント事業も拡大し始めていた。
■マネージャー転身とF1への扉
始まりは偶然だった。かつて自分自身が歩んできたのと同じような形で、若いドライバーを手助けし始めたのがきっかけである。コロナ禍の最中、ヨーロッパに渡ろうとしていた若いメキシコ人ドライバーの父親から、息子のキャリアを導いてほしいと依頼された。報酬を取り決めて支援を始めると、わずか2カ月後には別のドライバーからも同様の相談が舞い込み、ドライバーマネジメントとしての第一歩が踏み出された。
しかし、メンチャカ自身がキャリアの転機だったと語るのは、ノア・ストロムステッドとの出会いである。テオ・マーティンに所属するドライバーひとり、カンポスに所属するドライバーひとりをサポートしていたメンチャカは、スペインF4のテストにおいて、カート経験なしでF4参戦を目指していたストロムステッドのアプローチに驚かされた。

メンチャカは自分が関わっていた両チームで彼のテストを実現させ、ストロムステッドは才能あるドライバーたちを相手に序盤から最速タイムを記録し、その存在感を強く印象づけた。当初はサポートを申し出つつ、別のマネージャーを勧めていたが、ほどなくしてメルセデスからストロムステッドと契約したいとの打診を受け、彼のマネジメントの世界はF1の領域へと一気に広がった。
それに伴い、より大きな責任や契約に対応するため、経験豊富な人材を周囲に揃えるようになった。そして、共通の弁護士を通じて角田裕毅との面会が実現した。メンチャカは、角田はキャリアにおいて新たな方向性を必要としていると考え、率直で歯に衣着せぬ助言を与え、その翌日には新たなマネージャーになるよう依頼を受けた。
フルタイムのF1ドライバーを担当する立場となったメンチャカは、2025年の序盤は圧倒されるような状況だったと認めている。レッドブル関連の非常に多くの人々とやり取りする必要があり、重要な窓口が誰なのかを見極めるまで時間を要したという。
メンチャカのマネジメント哲学は、シンプルかつ正直であることだ。判断や期待値を明確にすることを重視しており、ヘルムート・マルコやマックス・フェルスタッペンのマネージャーであるレイモンド・フェルミューレンから学ぶ点は多かったと語る。メンチャカは、自分はまだマネージャーとして学びの途上にあると考えているのだ。

現在の担当ドライバーは約6名で、新たにマクラーレンのドライバー育成プログラムに加入したレオナルド・フォルナローリ、そしてF3に参戦するストロムステッドやテオフィル・ナエルらが含まれている。メンチャカは、角田のキャリアの次なる段階を用意し、彼を再びF1グリッドへ戻すことを目標としている。それだけにとどまらず、レースへの情熱に突き動かされた大きな構想も抱いているとメンチャカは語っており、将来、彼自身がチームを率いる姿を目にする可能性もあるかもしれない。
(Chris Medland)

