レッドブルCEO、ホーナーの功績に感謝も「歴史に頼り続けることはできない」代表交代の理由に“変化の必要性”を挙げる
レッドブルの権力階層が感傷的な雰囲気を醸し出すことは滅多にないが、このエナジードリンク会社のCEOを務めるオリバー・ミンツラフは、クリスチャン・ホーナーが20年間F1チームの指揮を執った後に突然解雇された理由を明かした。
今年7月の第12戦イギリスGP後にホーナーがチーム代表を解任され、レーシングブルズの代表を務めていたローレン・メキースが後任となったことは、F1パドックに衝撃を与えた。6度のコンストラクターズタイトルと8度のドライバーズタイトルは、ひとつひとつ積み重ねて建てられたミルトンキーンズの王朝だ。

しかしその重いトロフィーキャビネットでさえ、雰囲気が悪くなり、役員室が落ち着きを失ったとき、彼を救うのに十分ではなかった。ホーナーが不正行為の疑惑を執拗に否定したにもかかわらず、前兆は明らかだった。“ホーナー時代”は期限切れを迎えていたのだ。ミンツラフは、この決定は無謀でも反応的なものでもなかったと主張する。
「我々はこの措置を100%支持しているので、リスクとは呼ばない」とミンツラフは『De Telegraaf』に語った。
「我々は何かをしなければいけないとわかっていた。私は、よく言われるような雇っては解雇するタイプのマネージャーではない。つまり、そうして人をただ解雇するような人間ではない」
ミンツラフはホーナーに対して敬意を抱いていたものの、チームを舵取りする上でノスタルジアに左右される余地はなかったと示唆した。
「クリスチャンはチームで素晴らしい実績を残し、多くの成功を収めてきた。私を含め、この会社の誰もが彼の功績に感謝している」
「しかし、これはプロフェッショナルな組織の一部でもある。歴史に頼り続けることはできない。我々は、ページをめくって新たな章を始めるべき時が来たと感じた。それは簡単な決断ではなかったが、決断を急ぐこともしなかった」
メッセージは明白だった。レッドブルは記念碑ではなく、勢いを重視するのだ。

ミンツラフはまた、12月9日にチームを退団した元モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコによる最近のコメントにも強く反論した。マルコは、レッドブルの共同創設者であるディートリッヒ・マテシッツの死後、ホーナーが権力を集中させようとしたと示唆した。また、ホーナーが長く留まりすぎたために、マックス・フェルスタッペンの2025年のタイトル獲得の望みが損なわれたとさえ主張した。
「クリスチャンについてのこれらの発言は、ヘルムートの責任だ」とミンツラフは語った。
「私は、クリスチャンについて否定的なことは何も言えない。それは、彼がレッドブルにとって大きな意味を持つからだ。しかし、物事がうまくいかない時が必ず来る。そのときは会社として決断を下さなければならない」
「誰かにもっと時間を与えるのか、それとも新しいリーダーが必要な時期なのか? 我々は変化の時が来たと感じた。私はヘルムートの発言に同意しない。組織内で物事が変化するのは当然のことだ。おそらくマルコ博士も年月とともに変わったのだろう」
「あらゆることが5年前とは違うというのは、ごく普通のことだと思う。クリスチャンとヘルムートは、2005年の創設以来、長年にわたって素晴らしい協力関係を築いてきた。つまり20年以上の話をしているのだ」
「リーダーシップチームが長期間同じままである他の大規模スポーツ組織の例を、いくつか挙げてみてほしい。つまり、ふたりとも今はもういないということを、非常に否定的に捉えることもできる」
「しかし、彼らがここでこれほど長い間一緒にいて、これほど多くのことを成し遂げてきたことは、比類のないことだと言えるだろう。時には物事を一新する変化が必要だ」
典型的なレッドブルのやり方において、決断は容赦がないが計算されたものだ。感謝の意が表され、ある章が終わり、将来が優先される。缶は開き続ける──タブを掴む手が変わるだけだ。
