2025.12.22
【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:決して諦めない姿勢で世の中に向けて強いメッセージ
(c)XPB Images
ラスベガスGP、カタールGP、アブダビGPの3連戦で連勝し、見事な追い上げを見せたマックス・フェルスタッペン。しかし、選手権タイトルは2点及ばずランド・ノリスの後塵を拝してしまった。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーが第24戦アブダビGPの週末を語る。
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マックス・フェルスタッペンは、ラスベガス、カタール、アブダビの3連勝で2025年シーズンを締めくくったが、それでもなお一歩及ばなかった。ヤス・マリーナ・サーキットでの最終戦で、ランド・ノリスがちょうど必要なだけの順位、つまり3位に入って、選手権タイトルを手中に収めたのである。マクラーレンを駆るこのイギリス人ドライバーは、最終的にフェルスタッペンの総得点を2点だけ上回った。その結果、マックスは実に1457日にわたって占めてきた王座を明け渡すことになった。
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フェルスタッペンはスポーツマンらしく、ノリスに歩み寄ってタイトル獲得を祝福した。その後、彼はこの1年を振り返ってこう語っている。「シーズン終盤のグランプリでは、できることをすべてやり切った。最終戦を迎えた段階では、もし僕が勝っても、2位以下の成績次第ではタイトルを防衛できないことがわかっていた。それはもう自分ではコントロールできないことだから、ある意味、こういう結末も予想はできた」
(c)XPB Images
「いま何よりも強く感じているのは、タイトルを失った悲しさではなく、このチームが最終戦まで選手権を争ったことを誇りに思う気持ちだ。選手権リーダーのオスカー(ピアストリ)に104点の差をつけられたとき、僕がまだタイトルを防衛できると考えた人は、それほど多くはなかったはずだ」
「本当に厳しい時期もあったけど、僕たちは決してあきらめなかった。僕にとっては、それがとても重要なことだった。レッドブル・レーシングのチーム内だけでなく、世の中全体に向けて『あきらめるな。さらに努力を続けろ。そうすれば、いずれ状況は好転する』というメッセージを示せたからだ」
「それが何位であれ、いつも最善の結果を残すことを目標にして、ひとつひとつのレースに臨んでいた。もう一度タイトル争いに加わるには、シーズンの残りの週末を完璧に過ごす必要があり、僕らは何度もそれをやってのけた。その事実こそが、このチームの優秀さを雄弁に物語っている」
「同時に、ある程度の手助けが必要であることもわかっていた。たとえば、他のチームがマクラーレンからポイントを奪ってくれるとか、マクラーレンが何らかのトラブルに陥るといったことだ。シーズン最終盤には、早めのクリスマスプレゼントをふたつほどもらったが、結局のところ、それだけでは足りなかった」
「すばらしいシーズンを送ったランドとマクラーレンに敬意を表したい。彼がいまどんな気持ちでいるか、僕にはわかるような気がする。子供の頃にF1ドライバーになるという夢を持ち、実際にこのモーターレーシングの頂点まで来たら、次の夢はグランプリレースで勝つこと、ワールドチャンピオンになることだ。僕らはみんな、そこを目指して努力してきたし、その過程では多くの犠牲を払ってきた。そして、ついにその目標を達成したときには、本当にすばらしい気分を味わえる。きっとランドも同じだと思うよ」
わずか2ポイント差で敗れたマックスに、「あれさえなければ……」という後悔はないだろうか。「唯一後悔しているのは、スペインでジョージ(ラッセル)に対して取った動きだ。あんなことをするべきではなかったし、あの経験を今後の教訓にするつもりだ。ただ、あれがタイトルを失う直接の原因になったとは思っていない。シーズン途中に僕らがどのあたりの位置にいたか、思い出してほしい。時には上から4番目のチームだったこともあったんだ。僕が一番強く感じているのは、このすばらしいチームでドライブしたことを誇りに思う気持ちだ。チームメンバーの全員が、ここまで挽回してみせたことに満足していいと思う。そして、2026年にはまた新たな気持ちで戦いを始めるんだ」
(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)
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