2025.12.22

2026年は角田裕毅と別々の道を歩むも「彼の決定を見守り、サポートしていく」/ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー


2025年F1第24戦アブダビGP 角田裕毅(レッドブル)&渡辺康治HRC社長
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 2025年シーズンの最終戦アブダビGPを前に、オラクル・レッドブル・レーシングは、2026年にマックス・フェルスタッペンのチームメイトとしてアイザック・ハジャーを起用すること、そして角田裕毅はテスト&リザーブドライバーという形でチームに帯同することを発表した。ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、この発表について、角田のシート喪失を残念だと語る一方で、2026年もこれまでのように支援を続けていくと語った。

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──まずは角田裕毅選手の件についてお尋ねします。

渡辺康治HRC社長(以下、渡辺社長):「今回、角田裕毅がレギュラーシートを取れなかったということに関しては、残念です。ホンダとレッドブルのパートナーシップは2025年限りで、2026年は別々の道を歩みますが、2025年いっぱいはパートナーですから、パートナーとして、2026年も角田裕毅には4つあるレッドブル・ファミリーのどこかのシートに座るだけの力があるとプッシュしてきました。速さは見せていたと思うのですが、結果を残せなかったということでレッドブルもいろいろと悩んだと思いますが、このような判断を下す要因になったのだと思います。何度も言いますが、ドライバーラインアップはチームが決めることです」

──第20戦メキシコシティGPでうかがったときは、「これから予定されているレッドブルとのミーティングでも角田選手について話し合われるだろう」と言っていましたが?

渡辺社長:「角田裕毅の2026年シーズンのシートに関してレッドブルと本格的に議論したのはメキシコシティGPからです。(12月2日の)発表直前まで、いろいろと議論を重ねてきましたが、第23戦カタールGPの週末に決定を聞きました」

──そうなるとカタールGP前のメキシコシティGPと第21戦サンパウロGP、そして第22戦ラスベガスGPのレース内容が重要な判断基準となったわけですが、その3つのレースではチーム側はミスを繰り返していました。そのことはどのように思われますか?

渡辺社長:「それは極めて残念です。ただ、チーム側はそれらのミスを自分たちのミスと認めているので、そのあたりは考慮したと思いますし、考慮して然るべきだと考えています」

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー
インタビューに応じるホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長

──気になっているのは、12月5日(金)の第24戦アブダビGPのフリー走行後に行われたヘルムート・マルコ(元モータースポーツコンサルタント。12月9日に退団を発表)の囲み取材で、マルコが「レーシングブルズはレッドブルにとって若手にチャンスを与える場所なので、6年目のドライバー(角田)を起用することは我々のDNAにそぐわない」とメディアに語っていたことです。それが事実だと、角田のレーシングブルズ復帰はかなり早い段階から芽がなかったことになりますが?

渡辺社長:「そもそものVCARB(レーシングブルズ)のコンセプトは若手を発掘して育成し、レッドブルに乗せるというものなので、それを踏まえてのコメントだと思います。ただ、我々とレッドブルのディスカッションのなかで、『角田裕毅は来年6年目なのでVCARBには乗せません』ということを条件に出されたことはありませんでした。むしろ、私の理解ではいろいろな可能性があったと思っています」

──そうなると、レッドブルが最終的にあのような判断を下した理由はなんだったのでしょう?

渡辺社長:「ドライバーの選定については、さまざまな観点を考慮します。それを踏まえて、レッドブルが判断したと理解しています」

──もうひとつ気になっているのは、角田選手が12月4日(木)の囲み取材で「(レッドブルと)契約があったので、ほかのチームと交渉することができなかった」と言っていることです。2026年からのテスト&リザーブドライバーの契約でも、同じようなオプションをチーム側が持っていたとしたら、角田選手の今後はレッドブル次第になってしまうのですが、その件については承知していますか?

渡辺社長:「聞いていますが、そこは言えないです」

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー
2025年F1第24戦アブダビGP チームの写真撮影に参加したレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めたヘルムート・マルコと、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長

──渡辺社長は常々、「角田選手は立派なプロのドライバーなので、ホンダとパートナーを組んでいるチーム以外でレースしてもまったく問題ありません」と語っていました。それはいまでも変わりないですか?

渡辺社長:「変わりないです。今回、アブダビで裕毅に会ったときも、『絶対に諦めません』と言っていました。我々がこれから裕毅に対してできることは、そんなにはないですけど、これまで同様、彼の決定を見守り、サポートしていくだけです。F1ドライバーとしての生命が絶たれたわけではないので、まずは2026年の開発&リザーブドライバーとしての仕事をしっかりとこなして、レッドブル・ファミリーで再びレースをする道を探ってほしいと思います。それと同時にほかのチームでレースする機会を探っていってもらいたい」

──以前、トヨタとパートナーを組んでいるハースから誘いがあってもホンダとしては問題ないと言っていましたが、アブダビGP直前には2026年からトヨタがハースのタイトルスポンサーになることが発表されました。それでもハースへの移籍の障害になることはないですか?

渡辺社長:「ならないです」

──将来、仮にトヨタがハースを買収したとしても?

渡辺社長:「少なくとも、社長である私個人としては我々にノーと言う権利はないと考えています」

──今後の角田選手との関係はどうなるのですか?

渡辺社長:「我々は2026年からアストンマーティンとパートナーを組むので、レッドブルのテスト&リザーブドライバーとしてではなく、角田選手個人として我々のイベントに参加できないかをこれからレッドブル側と話し合うところです」

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー
2025年F1第24戦アブダビGP グリッドで握手をかわす角田裕毅(レッドブル)とHRCの渡辺康治社長


(Text : Masahiro Owari)

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