2点差でタイトルを逃したフェルスタッペン。アントネッリの影響は否定、ラッセル事件への指摘にはいら立ち
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)はF1最終戦アブダビGP決勝が終わると、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を探しに行き、メディア対応に入った直後のフェルスタッペンを呼び止め、何度も謝罪した。アントネッリは、自分がフェルスタッペンとランド・ノリス、オスカー・ピアストリのドライバーズタイトルの行方に意図せず関与してしまったと考えていたようだった。
第23戦カタールGP終盤、アントネッリはミスをして、ノリスにポジションを奪われた。それについて、フェルスタッペンのレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼと、モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコは、アントネッリが故意にノリスに譲ったという内容の発言をし、アントネッリはSNS上で、激しい誹謗中傷にさらされた。

レッドブル陣営による非難は誤ったものであることは明らかで、チームは発言を取り消し、FIAはアントネッリへの誹謗中傷を強く非難する声明を発表する事態にまで発展した。
アントネッリへの批判は根拠のないものであったにもかかわらず、彼は自身のミスが選手権の行方に影響を与えたことに居心地の悪さを感じていたようだ。
アブダビ後、F1 TVの映像では、フェルスタッペンがインタビュー対応を始める前にアントネッリが彼を引き止め、何度も「ごめんなさい」と謝罪する様子がはっきりと確認できる。これに対してフェルスタッペンは、自分が2ポイント差でタイトルを逃した原因はアントネッリにはないとして、何度も「問題ない」という言葉を繰り返した。
カタールでアントネッリがノリスの前を維持し、ノリスが5位に終わっていたなら、フェルスタッペンとノリスは同点だったが、その場合は、マクラーレンはアブダビでチームオーダーを出し、ノリスをピアストリの前に出すだけで、タイトルを確保することができた。
わずか2ポイント差で5連覇を逃したとあって、どの瞬間が最も大きな敗因だったかという話題が持ち出された。フェルスタッペンは、シーズン最後のプリントメディア向けセッションで、スペインGPの出来事が持ち出されると、明らかに不快感を示した。
バルセロナでのレース終盤、ジョージ・ラッセルと4位を争っていたフェルスタッペンは、ラッセルを抑え込もうとするなかでターン1でコース外へはみ出し、ラッセルの前でコースに戻った。ペナルティを避けるため、レースエンジニアのランビアーゼからポジションを返すよう指示を受けたフェルスタッペンは抗議しつつも、ターン4の立ち上がりで減速し、ラッセルを先に行かせた。しかし強い不満を持っていたフェルスタッペンは、次のコーナー進入で突然加速し、メルセデスの側面に接触した。
この行為により、フェルスタッペンには10秒のタイムペナルティが科された。5位でフィニッシュしたものの、最終的には10位に降格され、シーズン終盤に決定的となる9ポイントを失う結果となったのだ。

このインシデントについて見解を問われると、フェルスタッペンは強い反発を示し、「君たちは、僕のシーズンで起きた他のすべてのことは忘れて、バルセロナのことだけに言及するんだね」と語った。
苛立った様子のフェルスタッペンは「どうせその話が出ると思っていたよ。君は僕に向かってバカみたいな笑みを浮かべている」と付け加えた。その上で、「これはレースの一部だ。結局のところ、チャンピオンシップは24戦を通して戦われるものだし、後半戦では早めの“クリスマスプレゼント”をたくさんもらった。だから、そういう点についても疑問を呈することはできるだろう」と締めくくった。
