2026年F1新システムの正式名称が発表に。『オーバーテイク・モード』『ブースト・モード』『アクティブエアロ』が登場
FIAとF1は、2026年のF1レギュレーションに登場する新しいシステムの名称を発表、その説明を行った。2026年のF1には新たなパワーユニット(PU)および空力システムが導入され、マシンが完全に異なる姿へと生まれ変わる。

最初に公表された2026年の技術規則と競技規則で使用された用語が、ファンにとって極めて分かりにくいものであるため、テレビ解説者は、その用語が何を意味するのかをより簡単な言葉で説明せざるを得なくなり、極めて複雑な状況を招くということを、FIAは以前から認識していた。

そうしてシステム名の見直しを行った結果、『Xモード』や『Zモード』といった呼称は廃止された。12月17日、F1は、主要用語として、『オーバーテイク・モード』、『ブースト・モード』、『アクティブエアロ』、『リチャージ』を挙げ、それぞれについての説明を行った。

F1は、『オーバーテイク・モード』について、次のように説明している。「前方を走るマシンの1秒以内にいるドライバーが、追い抜きを仕掛けるために追加のパワーを展開できるようにする機能。これはDRSに代わるシステムであり、コース上でのオーバーテイクを支援するもの。戦略的ツールとして、一気に使い切ることも、1周にわたって分散して使うことも可能である」
これは他カテゴリーですでに採用されているシステムと同様のもので、ドライバーに大幅なパワーの増加をもたらすことで、追い抜きや防御を助け、あるいは予選において可能な限り最高のラップタイムを生み出すことにつなげる。
『ブースト・モード』についてF1は、「エネルギー回生システム(ERS)からのエネルギーを展開する、ドライバー操作型のツールであり、コース上のポジションに応じて攻撃にも防御にも使用できる。ボタンを押すだけで、コース上のどこにいてもエンジンとバッテリーから最大出力を得ることができる」と説明している。
『オーバーテイク・モード』が、現在のDRSと同様に自動的に作動する、あるいはECUの設定によって事前に定められるのに対し、『ブースト・モード』はドライバー自身が作動および解除を行い、最も戦略的なタイミングで使用することになる。
『アクティブエアロダイナミクス』として、2026年F1マシンには可動式空力パーツが採用される。これは、トラックの様々な部分でドラッグとダウンフォースのレベルを調整するために使用される、可動式のフロントウイングとリヤウイングだ。
「特定の高速セクションにおいて、『コーナーモード』と『ストレートモード』向けに設計されたフロントおよびリヤウイングエレメントの角度を動的に調整可能とするもの」とF1は『アクティブエアロ』について説明した。
「これにより戦略的な適応性が高まり、コース上でのグリップ増加を通じてマシンのパワーを最大限に活用できる」

『リチャージ』という機能では、「ドライバーは、ブレーキング時に回収されるエネルギーや、ストレートエンドでスロットルを戻した際、さらには部分的な出力しか使わないコーナーにおいても、バッテリーを充電できる」との説明がなされている。
新用語の説明と同時に、FIAとF1は、2026年の新世代F1マシンの最新版レンダリング画像を多数公開した。
