離脱したマルコの役割は分割か。引き継ぎ候補にベッテルの右腕やミンツラフCEOの名前
ヘルムート・マルコが2026年末まで有効だった契約を残し、レッドブルのモータースポーツ活動から突如離脱することになったため、同社の経営陣は、この1971年のル・マン優勝者が過去20年間担ってきた役割のすべてを埋めるという、小さからぬ仕事を抱えることとなった。
まず第一に、レッドブルは、若手ドライバープログラムの新しいリーダーを見つける必要がある。なぜなら、どの若手をレッドブルの傘下に入れ、どの若手を解雇するかについてすべての決定を下していたのは、モータースポーツ・アドバイザーを務めていたマルコだったからだ。
広く知られているように、他のF1チームは将来のスター選手を選ぶ際に、パフォーマンス、これまでの進歩、潜在能力、家族の状況、身体的・精神的評価などの分析にもとづき、科学的なアプローチを取っているが、82歳のマルコのアプローチはシンプルだった。あるレースで特によい成績を収めたドライバーを見つけたらその場で契約し、日常的に若手ドライバーを担当しているグループに引き渡すのだ。
すでにFIA F2やFIA F3に参戦しているレッドブルのジュニアドライバーたちは、4度のF1王者であるセバスチャン・ベッテルの元レースエンジニア、ギヨーム・ロケリンの貴重なサポートを受けているが、経験豊富なロケリンの役割はマルコが行っていた活動の一部をカバーするべく拡大される可能性がある。
彼の冷静で分析的なアプローチはレッドブル・レーシングの新経営陣に非常に高く評価されており、ロケリンの役割にはアイザック・ハジャー(レッドブル)、リアム・ローソン(レーシングブルズ)、アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)のF1での任務についての指導も含まれるかもしれない。

マルコは、レッドブル・リンクとオーストリアGPの運営においても重要な人物だった。彼はサーキットからそう遠くないグラーツの非常に裕福な家庭出身で、その地域でのあらゆる政治的、財政的コネクションを持っているのだ。それらタスクはレッドブルの経営陣が担う可能性が高いだろう。なぜなら、そのような環境に対処するためにモータースポーツの知識を持っている必要は実際にはほとんどないためだ。
そしてもちろん、レースチームと会社の株主との橋渡し役を務める人物が必要だが、サッカー担当マネージャーだったオリバー・ミンツラフがこの任務を自ら遂行しようとする可能性が高まっている。
レッドブルGmbHの最高経営責任者(CEO)であるミンツラフは、F1プロジェクトとより密接な関係を築きたいと考えており、この巨大なプログラムとレッドブル帝国を運営するふたりの株主との直接的な橋渡し役になることで、自身の安定を確保したいと考えているからだ。
2026年初頭までには、レッドブルの新しいモータースポーツ組織について、いくつかの発表が行われるものと予想されている。旧体制からの抵抗はなく、チーム代表のローレン・メキースはメインチームを自分の思うように運営できるさらなる自由を享受することになる。
