2025.12.16
【F速プレミアム】
2026年のF2に参戦するマリ・ボヤのアストンマーティンでの未来/スペイン人ライターのF1コラム
(c)XPB Images
スペイン人の若手のなかでF1グリッドに最も近づいているホセ・マリア・ナバロン・ボヤ。現在アストンマーティン・アカデミーの一員となり、2026年からはFIA F2に参戦する。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがこの若いドライバーについて語る。
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2025年F1シーズンが終了したので、アストンマーティンについて少し話をしたい。なお、エイドリアン・ニューウェイの新たなチーム代表としての役割、そして近い将来クリスチャン・ホーナーがその役割に就くのではないかという噂について取り上げたいのは皆さんのご想像のとおりだが、実のところ、私はそれほど注目されないかもしれない、最近の興味深い契約ドライバーに焦点を当てたいと思う。
もちろん私が話しているのは、アストンマーティン・アカデミーの最初のメンバーであるマリ・ボヤことホセ・マリア・ナバロン・ボヤのことだ。現在、彼はF1パドックで最も注目を集めているスペイン人ドライバーのひとりだ。特に2025年にFIA F2に参戦したジョセップ・マリア・マルティがレッドブル・ジュニアチームから脱退してフォーミュラEに移って以降、その注目度は高まっている。これにより、特にボヤのキャリアの進歩の状況を考慮すると、彼はF1グリッド入りに最も近い、若いスペイン人の才能の持ち主という、うらやましい立場に立つことになる。
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マリ・ボヤは、スペインとフランスの国境に位置する人口1000人ほどの町レスで2004年に生まれ、カートで成功を収めた後、2020年にカーレースのキャリアをスタートした。最初のステップはスペインF4で、ボヤはデビューシーズンで2位につけた。続いてフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権に2年間参戦した後、2023年にFIA F3にデビュー。平行してユーロカップ-3にも出場してランキング2位につけた。
まさにその同じ年、彼はマカオGPでの初アタックで周囲に衝撃を与え、ルーク・ブラウニング、デニス・ハウガー、ガブリエレ・ミニに次ぐ4位という見事な成績を収め、現在のF1で傑出したドライバーとなっているアイザック・ハジャーを破った。しかし、マカオでの彼の活躍はそこで終わらなかった。2024年は7位、そして2025年はトップとの激戦の末2位でフィニッシュした。
この間にボヤは、スペインのチームであるカンポス・レーシングと非常に実りある関係を築き、彼は今年のFIA F3での3年目のシーズンで重要な役割を果たした。そういう意味では、3度目の挑戦でランキング3位になったという結果は、F1への階段を上る上で最もエキサイティングな才能の持ち主のひとりというには少々物足りないかもしれない。しかし、ボヤの成長と彼が得ている支援は、そう遠くない将来に最高峰クラスでレースをすることになるかもしれないという、特権的な立場に彼を位置づけるには十分だ。
そして、2026年に向けた大きなサプライズのひとつは、マリ・ボヤがカンポス・レーシングからプレマ・レーシングに移籍し、F2に初挑戦することを決めたことだ。その理由の一部は容易に理解できる。カンポス・レーシングはレッドブルと提携しているため、カンポス・レーシングのシートはレッドブルが支援するドライバーのものとなるだろう。だが、それだけではない。
マリ・ボヤは、家族が経営する会社と彼自身の予算から直接財政援助を受けられる幸運なドライバーなのだ。ボヤに近い人物と話をしたところ、彼の年間予算は約700万ユーロ(約12億7700万円)前後で推移している。これは、ちょうど1年前にアンドレア・キミ・アントネッリが行ったのと非常によく似た形でボヤがF2に挑戦できることを意味する。
言い換えれば、そしてこれはドライバーが該当のカテゴリーでレースをする場合の鍵となることなのだが、広範囲にわたるテストプログラムに参加する計画があることにつきる。昨年、私は当時まだF2にいたフランコ・コラピントとこの話題について議論したが、彼は、一部のドライバーがほぼ毎週、前世代のF2マシンでテストを行っており、多額の予算を持つ新人は恵まれないドライバーよりもずっと早く習熟できるのだと率直に語った。
しかし、そうしたことを効率的に行うには、実行できる技術的能力を備えたチームが必要だ。プレマはそのようなチームのひとつであり、実際、昨年アントネッリとともに計画を実現した。したがって潤沢な予算と、ボヤが所属するチームを考えると、まさに彼は同じことを行うのに最適な立場にいるということになるだろう。もちろん、ボヤとプレマのタッグがどれだけの競争力があるのかという疑問はある。
近年プレマは、F2ではこれまでのような無敵のチームというわけではなくなっており、ボヤ自身も輝かしいパフォーマンスを発揮するのに時間がかかりすぎることが多かった。F3からステップアップした彼には、メッセージを送る新たな機会が与えられた。もし彼がデビュー戦で速さを発揮すれば、F1の専門家たちから注目されることになるだろう。そういう意味では、2026年シーズンは彼にとって非常に重要な1年となるだろう。
最近では、ボヤは先週末にアストンマーティン・アカデミーの一員としてロサイルを訪れ、シルバーストンのチームがレースの週末を通してどのように活動しているかを観察し、そのすべてを吸収していた。そして、F2で私たちが気に入っていることがひとつあるとすれば、それは十分に準備されたドライバーによるうれしいサプライズがあることだろう。来年、このカテゴリーには多くの素晴らしい才能あるドライバーたちが出場することになるため、私たちはきっと楽しい時間を過ごせるだろう。だが、スペインの人々は誰を応援すべきかすでにわかっている!
(Alex Garcia/Translation: AKARAG)
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