マクラーレンのスキッド摩耗による失格、レッドブルのタイヤ空気圧設定ミス。不手際が相次いだラスベガス【トップチーム密着】
2025年シーズンも大詰めのF1第22戦ラスベガスGPでは、トップチームに信じられないような不手際が相次いだ。
そのなかで、最も大きなミスを犯したのがマクラーレンだった。レース後の車検で、車体底面にあるプランクアセンブリの厚さが、最小の厚さである9mmを下回っていることが判明したからだ。スチュワード(審議委員)はマクラーレンから代表(スポーティングディレクター)を召喚。マクラーレンの代表3名が立ち会って、再測定が実施されたが、数値は初期測定よりもさらに低いものであり、規定違反が決定的となった。
マクラーレンは、予想以上の強いポーバシングが発生したこと、初日のフリー走行が赤旗中断により短縮されたこと、2日目の悪天候によるセットアップ不足を理由に挙げ、情状酌量の余地があると訴えたが、スチュワードはこれを退け、最終的に失格処分を決断した。今シーズンはすでにルイス・ハミルトン(フェラーリ)が第2戦中国GPで、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)が第4戦バーレーンGPで同様の違反で失格となっており、2025年シーズンだけで3例目だった。
マクラーレンが説明したように、今回の違反には不運な面が重なっていたことも発生を誘発した理由となっていることは確かだ。ただし、それは他チームも同じ。そのなかでマクラーレンだけが失格となった背景には、ドライバーズチャンピオンシップでレッドブルのマックス・フェルスタッペンと激しい戦いが続いているプレッシャーが関係していたと考えられる。

そのレッドブルもまた、予選前にフェルスタッペンのチームメイトである角田裕毅のウエットタイヤの空気圧設定で大きなミスを犯すという失態を演じた。チームからその詳細の説明がないものの、角田によれば、「簡単に防げただけに残念です。しかも、かなりレベルの大きなミスで、衝撃的だったのでなんとも言えないです」というほどのミスだった。このことから推測すると、多少内圧が高かったり低かったというレベルではないことが想像できる。

タイヤの内圧はテレメトリーでもモニタリングされているので、それほど大きな設定ミスを犯していたとしたら、なぜ走り始めてからエンジニアがすぐに気が付かなかったのか。タイヤ担当スタッフのミスだけでなく、それをエンジニアたちが気が付かなかったことのほうが責任は重いと感じる。
そんななかで、マクラーレンやレッドブルのような致命的なミスを犯さなかったのがメルセデスだった。マクラーレンの失格によってジョージ・ラッセルが2位に、アンドレア・キミ・アントネッリも3位に繰り上がり、全チームで最多となる33点を獲得。コンストラクターズ選手権2位争いで、3位のレッドブルに40点差をつけた。
