気落ちしたハミルトンに信頼を寄せるフェラーリ代表「レース直後に感情的になるのは普通のこと」
フェラーリF1を率いるフレデリック・バスール代表は、ラスベガスGP後のルイス・ハミルトン(フェラーリ)の落胆を重要視しない姿勢をすぐに見せた。同氏は、7度の世界チャンピオンが遅かれ早かれ事態を好転させると確信していると主張し、彼の敗北主義的な口調は、ひどい週末の終わりにクルマから降りてすぐにマイクとテレビカメラの前に立たされた結果に過ぎないと述べた。
「ルイス(・ハミルトン)がラスベガスで10位という結果に満足していないのは当然だ」と語ったバスール。
「フェラーリは、ラスベガスでの10位と6位(編注:マクラーレン勢の失格により8位と4位に繰り上がった)には満足していないが、今は来週のカタールでもっといい仕事をするべく協力し合うための取り組みを行っている。それがレースチームの通常の生活だ」
「マックス(・フェルスタッペン/レッドブル)がハンガリーGPで11位だったことを思い出してほしい。だが、これほど劇的な扱いではなかった」
バスールは次のようにつけ加えた。「我々はこのアプローチを維持して何度も戻り、何度もプッシュし、さらにいい仕事をしようとする必要があるが、フラストレーションを感じるのは当然のことだ。もし、レースを10位で終えた後で、私とルイスがこのようなフラストレーションを感じていなかったら、もっと心配していただろう」

40歳のベテランドライバーはレース後、非常に落ち込んだ様子で次のように語った。「ひどい気分だ。史上最悪のシーズンで、どれだけ努力しても悪化するばかりだ。マシンについてあらゆることを試しているのだけどね」
ハミルトンは自身のレースについて、「スタート後、バランスに苦しんだ。ブレーキには本当に苦労していた。フロントがロックしたり、リヤがロックしたりする。その中間、つまりちょうどいいバランスの状態がまったくなかった」と説明した。
「僕は(キック・ザウバーのニコ・)ヒュルケンベルグに追いついていたが、ペース的には一番遅く、とくにスピードがあったわけではなかった。その後、ウイリアムズからダメージを受け(編注:アレクサンダー・アルボンが『SF-25』のリヤに接触した)、それ以降はすべてが変わってしまった」
フェラーリがマニュファクチャラーズ選手権で2位を取り戻す可能性について、ハミルトンは次のように述べた。「ラスベガスでのレースはひどい週末で、またしてもそのリストに加わった」
「何ポイント獲得できるかさえわからないが、この調子と自分のパフォーマンスを見ると、僕たちは終わりだと思う」

バスールはハミルトンの口調の背景にある状況にも言及し、「厳しいレースを終えてからわずか5分後にTV取材のコーナーに行くのは、彼らにとっても大変つらいことだ。週末のこの段階ではアドレナリンや感情が高まっているため、厳しいコメントをするのも完全に理解できる」と指摘した。
「人間である以上、セッションの直後に感情的になるのはごく当たり前のことだと思う。チームラジオ(無線)もそうだ」
「しかし、もっとも重要なのは、彼らがテレビ取材の場で何を言うかではなく、彼らが月曜日の朝にチームとともにより良い結果を出すために、チームをプッシュする際に何をするかだ。これは取材で話すことよりも、ドライバー本来の仕事だ」と結論づけた。