リア・ブロック、ウイリアムズF1アカデミーから離脱。ラリー追求へ「黄金のチケットのような経験」
女性限定のF1サポートシリーズへの参戦に向け、2023年末よりウイリアムズ・レーシング・ドライバー・アカデミーに所属していたリア・ブロックが、プログラムからの離脱を表明。「モータースポーツでの残りのキャリアで何を続けたいのか、難しい決断をしなければなりませんでした」と語り、今後はシングルシーターを離れラリードライバーとしてのキャリアを追求する。
故ケン・ブロックの娘として、偉大な父の足跡をたどることがつねに期待されてきた彼女だが、F1アカデミーではシリーズの規定により、ドライバーは最大2シーズンしか参戦できない。
そんなリアは、誰よりもオープンホイールの経験が少ない状態で16台(1ラウンドにつき15台のパーマネントエントリーと1台のワイルドカード)のフィールドに飛び込んだが、ARTグランプリでのデビュー戦を含む2戦、わずか4レースを終えただけでF1アカデミー初のポイントを獲得した。
それ以降、参戦初年度の2024年はマイアミで開催された第2戦で10位でフィニッシュしたのを皮切りに、4戦連続でポイント圏内での入賞を果たすと、シーズン後半にはシンガポールで2回の4位フィニッシュを含む、さらに3回のトップ10を記録した。
翌年の今季2025年には、ザントフォールトで2位に入り初の表彰台を獲得。続く第2戦では、前年好調だったシンガポールでふたたび躍動。キャリア初優勝を果たした。
「オープンホイールに挑戦してみたかったのは、私にとって未知の領域だったから。若い頃にカートを少しやった程度で、オープンホイールレースを実際に体験したことはなかったしね」


そんな19歳の彼女は、自身のインスタグラムに投稿した動画でこのニュースを発表し「黄金のチケットのようなこの経験を活かして、ウイリアムズ・レーシングで働き、F1パドックに立ち、F1の週末やF1アカデミーでレースをすることができたのは本当に素晴らしい経験でした。この2年間は何物にも代えがたいものです」と感謝の思いを続けた。
実際、父の才能を受け継いだ彼女はすでにルーズサーフェースで優れた実力を発揮しており、2023年にはARA米国ラリー協会のオープン2WDクラスでタイトルを獲得したほか、電動ワンメイクオフロード選手権のエクストリームEや、現在は廃止された北米ナイトロクロス・シリーズなど、さまざまなカテゴリーで好成績を収めている。
以前、北米のモータースポーツ専門サイト『RACER.com』のインタビューに応じたリアは、今後のキャリアに関し「どこに行きたいのか、まだよくわからない」と認め「F1、WRC、あるいは世界ラリークロスなど、何らかの世界選手権に参戦したいと思っている」と語っていた。
そしてこの2年間、オープンホイールレースに挑戦した後、フォーミュラ・ウインター・シリーズやスペインとイタリアのF4にも参戦し、昨夏のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)では、ウイリアムズがチャンピオンシップを獲得した『FW08』と『FW14B』のコクピットに座り、往年のF1マシンによるデモンストレーション走行も担当した。
それでも彼女は、難しい決断を経て、今後のキャリアの道としてラリーへの復帰を決めたようだ。
「言うまでもなく、ラリーはずっと私の一番の愛であり、いつでも楽しんでいるもの。2026年に向けて、ラリーという目標を追求することを最終的に決めました」

