2025.11.23

【決勝日レポート】
【F1ラスベガスGP決勝の要点】前戦を凌ぐ強烈な走り。ペナルティを乗り越え5位掴んだアントネッリ


2025年F1第22戦ラスベガスGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
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 日本時間11月23日に行われた2025年F1第22戦ラスベガスGPの決勝レースは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転勝利を飾った。しかしそれ以上に印象的だったのが、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)の5位入賞だった。

 前日のウエット路面の予選を17番手で終えたアントネッリは「グリップがぜんぜんなくて、最後はロックさせてしまった」と、7月のベルギーGP以来となる、今季3度目のQ1落ちを振り返った。

 決勝レースではただひとり、ソフトタイヤ(レッド/C5)でのスタートを選択する。序盤に少しでも順位を上げる戦略だったが、その気持ちが強すぎたのか、ジャンプスタートで5秒ペナルティを科されてしまう。リプレイ映像ではシグナル消灯前に動いたようには見えず、アントネッリ本人も「え? どういうこと?」と無線で訊き直すほど微妙な違反だった。

 スタート直後、前方ではランス・ストロール(アストンマーティン)、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)らの多重クラッシュが発生。アントネッリはターン1で大きくアウト側にはみ出しながら、事故を回避。13番手まで順位を上げた。

 ところがアントネッリはバーチャル・セーフティカー(VSC)が入った2周目、早々にピットに向かいハードタイヤ(ホワイト/C3)に履き替えた。マシンにダメージがあったようには見えず、VSCを利用しての早めのタイヤ交換だったようだ。実際、タイムロスを最小限に抑えたことで、15番手でコースに復帰した。

2025年F1第22戦ラスベガスGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 そこから目の覚めるようなペースで周回を重ねたアントネッリは、ミディアムタイヤ(イエロー/C4)スタートの上位勢がピットインする間、21周目には10番手に。わずか4周後の25周目には、6番手まで順位を上げた。コース上でのオーバーテイクはフランコ・コラピント(アルピーヌ)。エステバン・オコン(ハース)の2台だけだったが、いくらハードタイヤとはいえ、デグラデーション性能劣化は周回のたびに進んでいたはず。

 それでもアントネッリのペースは衰えるどころか、速さを増していった。折り返し点の25周目以降は1分35秒前半を刻み続け、31周目には4番手に。40周目には1分34秒台に突入し、毎周のように自己ベストを更新し続けた。

 レース終盤は背後に迫るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)との戦いとなった。36周目以降は1秒以内のDRS圏内でずっと追われ続け、0.2秒まで迫られることもあったが、アントネッリはストレート立ち上がりで引き離す走りで、巧みにかわし続けた。

 43周目、この時点で7番手カルロス・サインツとの差は4.8秒。5秒ペナルティを加算すると、7位に終わることになる。アントネッリはここからさらにペースを上げ、1分34秒台前半のタイムを連発。カルロス・サインツ(ウイリアムズ)との差を5秒以上に広げると、チェッカー3周前の48周目には1分33秒998の自己ベストを叩き出した。実にフェルスタッペン、ランド・ノリス(マクラーレン)に次ぐ、総合3番目のタイムだった。それも46周を走ったハードタイヤで、である。

 その上、チェッカーを受けた時には6番手ルクレールの差も5秒19まで広げることに成功し、アントネッリは5位入賞を果たしたのだった。

 前戦サンパウロGPでの、フェルスタッペンを抑え切っての2位表彰台も、とんでもなく素晴らしいレースだった。しかし今回は、それを凌ぐ走りだった。そしてアントネッリのベストレースは、間違いなくこれが最後ではないだろう。

2025年F1第22戦ラスベガスGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)


(Text:Kunio Shibata)

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