2025年F1第21戦サンパウロGP 角田裕毅(レッドブル)

【】クラッシュによりウイングを旧型に変更「ラップ自体はまずまず」不可解なグリップ不足と格闘【角田裕毅F1第21戦展望】

11月8日

 2025年F1第21戦サンパウロGPはスプリント・フォーマットで開催される。そのため、練習走行は金曜日のフリー走行1回目のみとなり、60分間のこのセッションはいつも以上に重要な時間となる。

 そのセッションが今回は、さらに重要度が増していた。理由は、サンパウロGPの週末の天候だ。金曜日と日曜日はドライコンディションが予想されるなか、土曜日は雨の予報となっているからだ。

 通常であれば、金曜日のフリー走行では、フリー走行後に行われるスプリント予選と土曜日のスプリントに向けた準備に充てることを優先する。なぜなら、スプリントがスタートすると同時に、パルクフェルメ・ルールが解除され、予選とレースに向けたセットアップは、スプリントを走ったデータを元にやり直すことができるからだ。

 ところが、サンパウロGPの週末は土曜日の雨の確率が高いため、ウエットコンディションのスプリントの走行データは、ドライコンディションが予想される日曜日のレースのためのセットアップ変更の参考にならない。そのような状況のなかで、今年のサンパウロGPのフリー走行が開始した。

 しかし、開始からわずか6分で、ハードタイヤを履いた角田が4コーナーの出口にある縁石に乗った直後にコントロールを失ってスピン。マシンは止まりきれずにタイヤバリアに当たってしまった。角田は自力でピットに帰還できたものの、マシンをチェックするため、すぐさまガレージに押し戻された。これにより、60分間しかないセッションの半分以上の時間をガレージのなかで過ごすことになり、セットアップをする時間を失った。

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第21戦サンパウロGPフリー走行1回目 角田裕毅(レッドブル)

 失ったのは、時間だけではない。チームによれば、マシンのダメージは、映像で確認できたフロントウイングだけでなく、じつはリヤウイングに及んでいた。残り25分になったところで、ようやく走行を開始したものの、角田のマシンに装着されたフロントウイングはクラッシュする前につけられていた最新型ではなく、3世代前のスペックに戻されていた。つまり、時間だけでなく、最新型のフロントウイングも失ってしまった。

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第21戦サンパウロGPフリー走行1回目 角田裕毅(レッドブル)

 コースインした角田に与えられた旧型のフロントウイングに合わせるセットアップ時間は、約25分。ただでさえ、短縮された練習時間がさらに半分以上減ってしまったことは、予選に向けて理想的な状況ではなかった。

 スプリント予選で大きなミスをしたわけではないにもかかわらず、角田は18番手に終わり、SQ1で敗退した。

「これまでと同様、予選でのラップ自体はまずまずだったと思います。だから、この結果は不可解。とにかく、グリップがなかった。その理由はいまはわからない」

 走行時間と最新のフロントウイングを失った角田。ようやく深めてきたRB21への自信まで失っていないことを祈りたい。

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第21戦サンパウロGP 角田裕毅(レッドブル)


(Text : Masahiro Owari)