2025年F1第18戦シンガポールGP オリバー・ベアマン(ハース)

【】混乱を回避しプレッシャーに耐え、ミスの許されない市街地コースで入賞を手繰り寄せたベアマン【ルーキー・フォーカス】

10月13日

 ハースのルーキー、オリバー・ベアマンが2025年F1第18戦シンガポールGPで9位に入賞した。

 9番手からスタートしたベアマンだったが、スタート直後にアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)をアウト側から抜こうとした際、1コーナーで接触。しかし、ここでのベアマンの冷静な対応が、ポイント獲得につながっていく。

 1コーナーでハジャーに押し出される形となったベアマンは、これ以上の混乱を回避するために、ランオフエリアに逃げるという選択を行う。さらにコースアウトしたベアマンはすぐにコースに戻るのではなく、レース前に決められていた1コーナーでコースアウトしたドライバーの合流地点へ迷わず向かって行き、2コーナーの先に設けられていた合流地点からコースに復帰。結果的に接触によって失ったポジションをひとつにとどめた。

【ルーキー・フォーカス】
2025年F1第18戦シンガポールGP アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)と接触したオリバー・ベアマン(ハース/写真左端)は、ランオフエリアの指定されたゾーンを通過してコースに復帰した

 その後、「マシンバランスに苦しんでいて、特に5コーナーでオーバーステアがひどくて、前半は厳しい状況だった」と言うベアマンだったが、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)からのプレッシャーをピットストップまで耐え続けたことで、ポイント獲得の可能性が大きく広がった。

【ルーキー・フォーカス】
2025年F1第18戦シンガポールGP ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)からのプレッシャーに耐え続けたオリバー・ベアマン(ハース)

 23周目にピットインしたベアマンは、3周前にピットストップしていたハジャーをオーバーカットすることに成功。26周目にはまだピットインしていなかったアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)をバックストレートエンドでオーバーテイクし、その後再びポイント圏内に復帰する。

 レース終盤はピットストップに手間取ったフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)とも激しいバトルを展開したベアマン。惜しくもアロンソを攻略することはできなかったが、9位でチェッカーフラッグを受けた。この入賞はベアマンにとっては今シーズン、市街地コースでの初のポイント獲得。ミスが許されない市街地コースでルーキーとして着実に成長している姿を披露した。

 このシンガポールGPでは同じイギリス人のランド・ノリス(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)ら、ほかのイギリス人ドライバーもすべてポイント圏内でフィニッシュしていたので、ベアマンも含めて4人のイギリス人ドライバーがポイントを獲得した。

オリバー・ベアマン(ハース)
2025年F1第18戦シンガポールGPドライバーズパレード オリバー・ベアマン(ハース)

 イギリス国籍のF1ドライバー全員がトップ10フィニッシュしたのは、第3戦日本GP、第4戦バーレーンGPに続いて今シーズン3回目だった。

 シンガポールGPで2点を追加したベアマンはドライバーズ選手権で18ポイントとし、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)と並んだ。最高位はともに6位(1回)で、2番目にいい成績となる8位がベアマンが1回に対して、ボルトレートは2回あるため、順位はボルトレートが18位でベアマンは19位となっているが、入賞回数ではベアマンがボルトレートの4回を上回る6回の入賞を飾っている。ドライバーズ選手権では20ポイントのピエール・ガスリー(アルピーヌ)と角田裕毅(レッドブル)との差も2点しかなく、ドライバーズ選手権16位争いも最後まで目が離せない。



(Text : Masahiro Owari)