2025.10.02

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:毎年苦戦していたサーキットで2連勝「次のシンガポールでどこまでやれるか興味深い」


Race winner Max Verstappen (NLD) Red Bull Racing RB21 takes the chequered flag at the end of the race.21.09.2025. Formula 1 World Championship
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 F1第16戦イタリアGP、第17戦アゼルバイジャンGPで2連勝を飾ったマックス・フェルスタッペン。以前の速さが戻ってきたレッドブルはシーズン後半戦でどんな走りを見せてくれるだろうか。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがイタリア、アゼルバイジャンの2連戦について語る。
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 やはりマックス・フェルスタッペンは頼りになる。アゼルバイジャンGPは風が強く、比較的涼しいカスピ海沿岸のバクー市街地コースで開かれ、ポールポジションからスタートしたレッドブル・レーシングのエースが優勝を飾った。モンツァでのイタリアGPに続いて、2戦連続のポール・トゥ・ウィンだった。

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 フェルスタッペンはひとつのミスも犯さなかった。自身46回目のポールポジションを獲得したあと、35回目のファステストラップと通算67勝目を記録しただけではなく、6回目の「グランドスラム」(ポール、ファステスト、全周回をリードして優勝)も達成したのだ。今季に限って言えば、鈴鹿、イモラ、モンツァに続く4勝目である。

 マックスは週末を振り返って、こう語っている。「何から何まで、文句なしの週末だった。クリーンなレースだったし、ずっとリードしていたおかげでタイヤをいたわることもできた。バクーでのドライブは決して楽ではない。特に突風の不意打ちを受けたりするような時にはね。でも、すべてがうまくいった。チームのみんなのためにも、勝てて本当に良かったよ」

 レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコも大絶賛だった。「チームの全員が素晴らしい仕事をした。勝てた理由のひとつは、スタートでハードタイヤを選んだことにあったと思う。トップを走り続けたマックスは、自分でペースをコントロールすることができた。彼はまさに私たちが期待していたペースでドライブしてくれた」

 グランプリも残り7戦となったが、マルコは「この調子で戦い続ければ、コンストラクターズ選手権を2位で終えるのも不可能ではない」と感じている。アゼルバイジャンGPを終えた時点で、4位のレッドブルと3位のフェラーリとの差は14点、2位のメルセデスとの差は18点だ。

 フェルスタッペンがRB21の速さを引き出せるようになった理由のひとつは、チーム体制の変化にあるとマルコは言う。

「新任のチーム代表、ローレン・メキースは現実的な考え方をするエンジニアで、シミュレーションの結果よりも自分の経験を重視する。その結果として、金曜の作業がより充実したものになり、週末全体に良い影響を及ぼしている」

 マックスはここ2レースで一気に50点を加え、ドライバーズ選手権では2位のランド・ノリスとの得点差を44点とした。選手権リーダーのオスカー・ピアストリは、フェルスタッペンを69点リードしている。

 フェルスタッペンには、大方の予想に反してタイトルを防衛できるかもしれないという、一筋の希望の光が見えているのだろうか。「希望には頼らないことにしている。69点の差はやはり大きいよ。僕としてはタイトルのことなど考えず、シンプルにいつものやり方を続けるだけだ。アブダビの最終戦まで、ひとつひとつのレースで全力を尽くして、あとは状況の成り行き次第ということだね」

「モンツァは毎年苦戦していたサーキットだけど、今年は勝つことができた。バクーもあまり得意としていなかったのに、やはり勝てた。そうなると興味深いのは、僕らがシンガポールでどこまでやれるかだ。あそこもまた、過去にはあまり好成績を残していないコースだから」

 マルコは言う。「マクラーレンのドライバーたちにプレッシャーをかけ続けねばならない。そうすることで、まさにアゼルバイジャンで見られたように、彼らはミスを犯しがちになるだろう。私たちは、過去の戦績から言えば不得意なサーキットだったモンツァとバクーで勝った。もしシンガポールのようなコースでも競争力を発揮できたら、またタイトル獲得の可能性について考えてもいいかもしれない」

2025年F1第16戦イタリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第16戦イタリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)


(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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