2025年F1第18戦シンガポールGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

【】アントネッリのメルセデス残留もほぼ確定、代表が「100%ここに残るだろう」と発言。ラッセルの交渉後に揃って発表へ

10月2日

 メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、2026年にドライバーのアンドレア・キミ・アントネッリが、メルセデスのパワーユニットを使用する他のチームに一時的に移籍するという噂を否定した。

 ウォルフとアントネッリは、イタリアのF1放送局『Sky Italia』との長時間のインタビューを一緒に受け、若手ドライバーのルーキーシーズンを分析した。パドックの一部で広まっている噂について問われたウォルフは、「アルピーヌとウイリアムズに関する憶測はまったくのナンセンスだ」、「彼は2026年も100%ここに残るだろう」と述べた。

 マックス・フェルスタッペンが2025年シーズン末にレッドブルを離れるというオプションを行使しない意向を明らかにした瞬間から、メルセデスが2026年シーズンに向けてアントネッリとジョージ・ラッセルを確保するつもりであることは明らかだった。レッドブルは6月末の第11戦オーストリアGP終了後の時点で、コンストラクターズ選手権でトップ3圏外だったため、世界チャンピオンのフェルスタッペンはチームを離れるオプションを行使できる立場にあった。

 彼のマネジメント陣は確かにオプションを行使し、フェルスタッペンを一時的に市場でフリーエージェントの立場に置いた。父ヨスとともにマックス・フェルスタッペンのマネジメントを担当するレイモンド・フェルミューレンは、当時オランダの報道陣に対し、この決定を認めずに「開かれている選択肢を選んだからといって、それを行使するわけではないが、一定の期間内にそうしなければ、それ以降は選ぶことはできない。つまり、市場で柔軟性を持つために多くのオプションは行使されるものの、最後まで実行されることはない」と説明した。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP 今季4勝目を挙げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 以前報じられたとおり、2026年のメルセデスのラインアップがラッセルとアントネッリになるという公式発表が遅れているのは、ラッセルとの交渉のためだ。ドライバーもチームも来年に実行可能な代替案を持っていないため、現在の契約を延長せざるを得ないが、ラッセルは2027年以降の新たな契約を獲得するにあたって、報酬を最大限に上げ、比較的有利なパフォーマンス条項を獲得しようとしている。一方ウォルフは、年間1200万ドル(約17億6700万円)程度とみられる彼の現在の報酬に近い水準を維持し、ラッセルに有利なパフォーマンス条項を契約に含めないでおくことを望んでいる。

ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP 2位に入賞したジョージ・ラッセル(メルセデス)

 アントネッリに関しては、チームで2年目を迎えるのに十分な働きと進歩を見せたと、ウォルフの目には映っている。ウォルフは、レッドブルの上層部ほど感情的に反応しない傾向がある。レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコと比べて、ウォルフのレースに対するアプローチは大きく異なり、アントネッリには新たなフェルスタッペンになる可能性があると常に考えている。

 アントネッリが第17戦アゼルバイジャンGPに向けて準備できたこと、そしてルーキーにとっては難しいコースとして悪名高いバクーで彼が発揮したパフォーマンスはウォルフを安堵させたが、彼は両方のドライバーについて同時に発表したいと考えている。それがアントネッリの将来についての公式声明が出ていない理由だが、この最新のインタビューにおけるウォルフの明確な言葉は、新人アントネッリの将来に関する噂に終止符を打つのに十分であるはずだ。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)


(Text : GrandPrix.com / Translation:AKARAG)