アルボンがレッドブル復帰に消極的な理由。マルコから打診も、ウイリアムズ残留を希望
アレクサンダー・アルボンは、2026年のレッドブルのセカンドドライバー候補のひとりと考えられているが、彼自身はレッドブルに復帰することに極めて消極的であり、ウイリアムズで走り続けることを望んでいる。
クリスチャン・ホーナーが去り、今は、モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコが、レッドブルのドライバー選択において決定権を持っている。過去数シーズンは重要な決定を行う権利を与えられていなかったマルコだが、現在は、現チーム代表のローレン・メキースと相談しながら、ドライバーを決定する立場にある。
マルコは、2020年末にアルボンの代わりにセルジオ・ペレスを起用した後、アルボンに十分なサポートと時間を与えなかったことを後悔していると公然と認め、その後、2023年末や2024年末には、レッドブル復帰の可能性についてアルボンに打診していた。
当時はホーナーがすべての重要な決定を下しており、彼はペレスの続投を望んでいた。しかしホーナーが去った今、決定権を得たマルコは、アルボンをレッドブルに呼び戻すことを考え、より積極的に話し合いを行おうとしている。
アルボン本人は、2019年シーズン途中にトロロッソからレッドブルへ昇格された際に非常に苦労したと公然と語っており、苦戦している角田裕毅を助けようと時折連絡を取っているとも明かした。
レッドブルでの困難についてアルボンは「当時、苦しんでいたが、自分の経験値も、人間としての成熟度も、その状況からどう抜け出せばいいか理解できるレベルには達していなかった」と最近語った。
「でも今はそれが分かるし、同じ感情を理解できる。裕毅とはよく話をするよ。できる限り彼を助けたいと思っている」
アルボンによると、問題は「多方面に分かれている」のだという。
「僕は、F1キャリアが始まってわずか6カ月後にレッドブルに加わった。今振り返ると、自分が窮地に立たされていたことが分かる。快適に感じられないマシンに乗り、どう対処すればいいか分からず、経験もないため、自力で抜け出せなかったんだ」
「裕毅は難しい状況にある。ガレージの反対側には、おそらく誰よりも優れたF1ドライバーがいる。これは大げさではなく、本当にそう思う。彼(フェルスラッペン)は、快適でないマシンでも乗りこなせるし、多くの問題を隠すことができる。彼には、そうしたマシンを運転できる力があるんだ」
アルボンに近い情報筋によると、彼はいくつかの理由からウイリアムズで長期的に走り続ける決意を固めているという。
第一に、アルボンは、ウイリアムズに居心地の良さを感じており、自分が最高のパフォーマンスを発揮するために不可欠な良好な作業環境を作り上げている。第二に、レギュレーションが大きく変わる2026年、メルセデスが最も競争力のあるパワーユニットを作り上げると予想されており、アルボンはウイリアムズがマクラーレンやメルセデスのワークスチームに接近できると信じている。一方で、レッドブルの自社製パワーユニットの競争力は未知数だ。
そして第三は、ウイリアムズでのキャリアで自身の評価を再び上げることに成功したアルボンとしては、2026年にフェルスタッペンの隣で走ることですべてを台無しにするリスクを負いたくはない、ということだ。アイザック・ハジャーやアービッド・リンドブラッドといった若手が翌年にシートを奪おうと虎視眈々と狙うなかで失敗すれば、キャリア存続が危うくなる可能性があるため、これはもっともな考えといえるだろう。