2025.09.19

フェルスタッペンは水曜日に交換を決断。モンツァで投入したふたつの新エンジンが入賞に繋がる:ホンダ/HRC密着


2025年F1第16戦イタリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
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「私の記憶のなかでは、これほど遅いタイミングでパワーユニットを入れ替えたことはなかったと思います」

 第7戦エミリア・ロマーニャGP以来、9戦ぶりに勝利したレッドブルにパワーユニットを供給するホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)は、第16戦イタリアGPで4基目のパワーユニットを投入した経緯をそう語った。

ホンダ/HRC密着
2025年F1第16戦イタリアGP グリッドで作業を見守るホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャー

 今シーズン、ここまでの15戦を3基のICEで賄ってきたマックス・フェルスタッペンとレッドブル。ペナルティなしで投入できる最後のフレッシュエンジンとなる4基目は、HRCにとって切り札だった。

 当初、チームはイタリアGPよりも次の第17戦アゼルバイジャンGPで4基目を投入する予定でいた。昨年のイタリアGPはマシンバランスに苦しみ、フェルスタッペンは6位と完敗していたこともあり、フレッシュエンジンの効果が期待できない可能性があったからだ。

 オランダGPを終えた翌々日の火曜日、イタリアGPへ向けた準備作業を開始するこの段階で、HRCはユーズド・エンジンをメンテナンスしていた。しかし、水曜日になって、チームがフレッシュエンジン投入の決断を下し、HRC側に報告。4基目のエンジンに補器類を装着する作業を開始したのは、水曜日となった。

 こうして開幕したイタリアGPで、フェルスタッペンはフレッシュエンジンのパワーを存分に発揮。予選で第12戦イギリスGP以来となるポールポジションを獲得した。さらにレースでは一度は首位の座を明け渡したものの、ホームストレートで豪快にオーバーテイクしてトップに立つと、その後は影を踏ませぬ走りでポール・トゥ・ウイン。今シーズン3勝目を飾った。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第16戦イタリアGP 優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 折原GMにとって、このレースでもうひとつうれしい結果があった。それはアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)が10位に入賞したことだった。じつはハジャーはある問題を抱えていたため、予選後にパワーユニットを交換し、ピットレーンからスタートしていたからだ。

 折原GMはこう説明する。

「週末トラブルがあって、何度か対策を講じていたのですが、トラブルが出たり出なかったりしていたので、対策していたものが効いているのか自信が持てませんでした。レースでも発生するリスクがあったため、チームと相談の上、この予選結果(16番手)なら、ニューを入れて万全な状態でレースをしたほうがいいと判断しました」

 それでもハジャーは冷静なレース運びを披露。前を走るオリバー・ベアマン(ハース)とカルロス・サインツ(ウイリアムズ)の接触にも助けられて、ポジションアップに成功。10位でチェッカーフラッグを受け、今シーズン7度目のポイントを獲得した。

 理由は異なるが、モンツァで投入されたふたつのフレッシュエンジンが結果的に入賞することとなった。

ホンダ/HRC密着
2025年F1第16戦イタリアGP ピットレーンでスタートを見守るハジャー担当のホンダ・レーシング(HRC)のスタッフ


(Text:Masahiro Owari)

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