
【】「これが最後のチャンス」夢のF1参戦を目指すハータ。自身の速さを信じて、インディカーを離れるリスクを選択
9月15日
NTTインディカー・シリーズの最も輝かしいスターのひとりであるコルトン・ハータは、アメリカでの成功したキャリアを後にして、未知の世界に大胆な一歩を踏み出そうとしている。彼は将来フルタイムのシートを得る希望を抱き、キャデラックのF1プログラムにテスト兼開発ドライバーとして参加するのだ。
これは慣例とは異なる決断だ。レースでの優勝経験のあるドライバーが、自ら進んでジュニアカテゴリーに降りるケースはほとんどないが、ハータはF1を目指すにあたって、2026年シーズンにFIA F2に参戦する予定なのだ。
アンドレッティ・グローバルからインディカーに参戦していた25歳のハータにとって、この賭けは明白だ。夢を追いかけてすべてをリスクにさらすか、あるいは、どうなっていただろうかと疑問に思いながらキャリアを過ごすかだ。
「僕がこれまでに(F1に)どれだけ近づいたかということは、みんなが知っている」とハータは最近、ポッドキャストの『Off Track with Hinch and?Rossi』で振り返った。
「これはF1に参戦できる最高のチャンスだと思う」
■F1参戦に向けた「最後のチャンス」
ハータは、インディカーの栄光をヨーロッパの性能試験場に置き換えるという挑戦を、決して軽視しているわけではない。
「言うまでもなく、リスク要因がある……」とハータは認めた。
「僕にとって、これは信じられないほど難しい決断だった。なぜなら、自分が何を置いていくことになるかわかっているからだ。僕は素晴らしい人たちと、調子のいい日なら勝つことができる信じられないほど競争の激しいチャンピオンシップを置いていくことになる。そして、F1ではそうならないこともあるとわかっている。競争するにはクルマが必要だ」
「簡単なのはインディカーに残ることだ。それが僕にとってシンプルなことだ。同じような人生を送ることになるだろう」
「これはリスクであり、僕の夢でもある。だから、これが最後のチャンスだと思った。それをやってみたいし、そのチャンスをつかみたい。僕にとって、それは自分の夢のために戦うことだ」

■自分自身に賭け、速さを信じる
キャデラックが2027年、あるいはそれ以前にハータにレースシートを与えるという保証はないが、彼はひるんでいない。2023年に阻まれたアルファタウリ(現在のレーシングブルズ)でのチャンスとは異なり、スーパーライセンスポイントはもはや障壁ではない。今重要なのは、コース上で彼の価値を証明することだ。
確実性のなさを恐れているかと問われると、ハータはきっぱりと答えた。
「いや、僕はそうではない。レーシングドライバーは常に自分自身に賭けている。僕にとって、これは自分自身に賭けているもののひとつに過ぎない。僕は自分自身を信じている。自分ならそうするための十分な速さがあると信じている」
「簡単にいくだろうと言っているわけではない。グランプリレースとインディカーレースの違いを理解するのは大変な作業になるだろうが、そのために力を尽くし、100%取り組むつもりだ」
「すでに言ったように、これはとても大きなリスクだが、自分がそれをできると思わなかったら、僕はインディカーに留まっただろう。でも僕は自分自身を信じているし、自分は十分速いと信じている」
■「インディカーとの永遠の別れではない」
ハータはF1に目を向けているものの、インディカーへの扉を永遠に閉ざしたわけではない。ハータは、スケジュールが合えば1戦限りでインディアナポリス500に出場することも可能かもしれないと示唆した。
「もしそれが理にかなっているなら、僕は間違いなくそうすることに前向きだ。でも理にかなっていなければならないだろうね。キャデラックF1からF1に参戦するという究極の目標を阻むことはできない」
そして、ヨーロッパでの冒険の結果がどうであろうと、ハータはインディカーとの関係は終わっていないと主張している。
「これは決してインディカーとの永遠の別れということではない。僕は自分のキャリアのどこかの段階で、インディカーに戻ると思っている。なぜなら、ただそれが好きだからだ」
現在ハータは全力で取り組んでいる。キャデラック、F2、そしてどちらに転ぶかわからないF1の夢において、コルトン・ハータは自分自身にこれまでで最大の賭けをした。

(Text : autosport web/ Translation:AKARAG)