2025年F1第16戦イタリアGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

【】アントネッリ、母国で9位入賞もスタートでのミスが戦略に影響「フリーエアーに出たらペースが落ち始めていた」

9月15日

 メルセデスの副テクニカルディレクターを務めるシモーネ・レスタは、F1第16戦イタリアGPでアンドレア・キミ・アントネッリが苦戦したことについて、スタートでのミスや、またそのミスによって戦略が限られてしまったことを明かした。

 地元ファンの前で輝きを見せるというアンドレア・キミ・アントネッリの望みは、イタリアGPのスタートでは叶わなかった。アントネッリは、最初のシケインに到達する前にポジションを4つ失い、グリッド上では有望だった6番手から、ポイント獲得圏内のギリギリの位置にまで落ちてしまった。レスタは、アントネッリのスタートについて、次のように述べた。

「クラッチポジションに関して、彼は目標を正確に捉えることができなかった」

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2025年F1第16戦イタリアGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 これは19歳のアントネッリにとっては非常に高くつくミスだった。FP2の序盤に不必要なコースオフを喫したものの、見事にリカバリーし、予選ではより経験豊富なチームメイトのジョージ・ラッセルにわずか0.043秒差のところまで追いついたのだ。スタートでのミス以降、アントネッリは20周以上も角田裕毅(レッドブル)の後ろで抑え込まれた。アントネッリが角田を追い抜いたとき、角田の前のルイス・ハミルトン(フェラーリ)はすでに9秒もリードしており、彼は追いつくには遠すぎた。さらに悪いことに、アントネッリは長時間トラフィックのなかにいたことでフロントタイヤをひどく傷めてしまったため、チームが戦略面で彼を助けるあらゆる試みがすでに失敗に終わっていた。

 レスタによると、「(アントネッリは)スタート練習ではかなり安定した流れだったものの、クラッチポジションに関しては目標通りに進めなかった」、「スタートの最初の段階でホイールスピンがかなり発生し、ターン1を終えた時点で10番手まで後退してしまった」ということだ。

 チーム代表のトト・ウォルフがアントネッリのレースを「期待外れ」と評したが、レスタは「非常に難しい局面だった」と複雑なスタート手順に理解を示した。

「当然ながら、その瞬間の勢いは高まっているし、プレッシャーは大きい。タイヤを適切な温度に保つこと、クラッチ操作を非常に正確に行うこと、そしてライトが消えた後できるだけ早くクルマを始動できるような反応時間がとても重要だ。つまり、それはとても複雑な瞬間だ。プレッシャーは大きく、すべてのことを正しくやらなければならない」

2025年F1第16戦イタリアGP メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム
2025年F1第16戦イタリアGP メルセデスのトト・ウォルフ代表(後列)、アンドレア・キミ・アントネッリ(前列左)、ジョージ・ラッセル(前列右)

 それでもレスタは、アントネッリが角田の後ろを20周以上走っていたことから、チームの戦略がほぼ限られていたことを隠そうとはしなかった。ようやくフリーエアに入ったとき、「キミのペースはその時点ではよかったが、細かく見てみると、少しペースが落ち始めていたのがわかった」と説明した。

「先にピットストップをして、レース序盤に我々と戦ったクルマのことを懸念していた」

「彼らの後ろに下がって、また彼らをオーバーテイクせざるを得なくなるのが嫌だった。キミをピットインさせる決断はそれが主な理由だった」

 結局、アントネッリはアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)にひとつポジションを奪われ、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)の後ろに下がってしまった。また、アルボンを芝生に押し出したことでペナルティを受け、アントネッリは最終的に9位でレースを終えた。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)&角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第16戦イタリアGP ポジションを争うアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)と角田裕毅(レッドブル)


(Text : Grandprix.com / Translation:AKARAG)