2025年F1第16戦イタリアGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

【】「我々は長い間F1に留まるつもりだ」ルノー新CEOがF1を初訪問。アルピーヌの長期的な参戦を明言

9月13日

 ルノーの新CEOフランソワ・プロボは、アルピーヌが「長期間にわたりF1に留まる」と宣言し、同チームのF1での将来に関する憶測をふたたび鎮めた。

 プロボのコメントは、彼が7月下旬にCEOに就任して以来、エンストンのチームに対する初の公的な支持表明となる。ルノーの経営が不安定な時期に、ルカ・デメオの後任として同社の舵取りを担ったプロボは、先週末第16戦イタリアGPで初めてF1のパドックに姿を見せた。プロボは、フランスの放送局『Canal+』のインタビューで、チーム買収の噂は絶えないが、アルピーヌがF1へコミットし続けることを再確認することの重要性を強調した。

「私の訪問の主な目的は、我々がF1に残ることを再確認することにある。我々は長い間F1に留まるつもりだ」とプロボは語った。

 プロボは、アルピーヌのリードドライバーであるピエール・ガスリーの2028年までの新契約が、チームを安定させる上で重要な節目になったことを指摘した。

「これも非常に前向きな兆候だ。我々は新たな時代に入りつつある。それはパフォーマンスの時代だ。しかし、何よりも安定性の時代となるだろう。ピエールの献身はこのことをよく示している」

スティーブ(・ニールセン)がマネージングディレクターに任命されたのもよい例だ。つまり、我々は大きく前進してきた」

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2025年F1第16戦イタリアGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

■長期契約は「自然に決断できた」

 アルピーヌがコンストラクターズランキングの最下位に沈む厳しいシーズンにおいて、チームの重荷の多くを担ってきたガスリーは、F1での長期的な将来をアルピーヌに託せることを非常に喜んだ。

「特にフランス人として、フランスの自動車会社でドライブすることはとても誇らしいことだ。2023年に加入して以来、このチームが将来に向けた最適の場所だと常に感じてきた」と、ガスリーは先週末のレース前に語った。

「フラビオ(・ブリアトーレ/エグゼクティブアドバイザー)の僕へのサポートと信頼、フランソワのF1プロジェクトへの献身、そしてエンストンにいる人々のおかげで自然に決断できた」

 ガスリーは2025年に入ってからチームの全20ポイントを獲得している。一方でチームメイトのフランコ・コラピントは、シーズン途中でジャック・ドゥーハンと代わって以来、まだポイントを獲得していない。迫り来る2026年のルール刷新に集中するため、シーズン中の車両開発はすでに中止されており、エンストンのチームは事実上今シーズンを諦めている。

ピエール・ガスリー&フランコ・コラピント(アルピーヌ)
2025年F1第16戦イタリアGP ピエール・ガスリー&フランコ・コラピント(アルピーヌ)

 プロボは、ルノーが2025年上半期に日産株の93億ユーロ(約1兆6043億円)の評価損を含め112億ユーロ(約1兆9322億円)の損失を計上するなど、微妙な時期に指揮を執ることになる。金融の混乱により7月にルノーの株価は急落し、アルピーヌのF1での長期的な存続可能性についてうわさがさらに加熱した。

 しかし、ガスリーの契約が締結され、ブリアトーレが舞台裏でリーダーシップを再編し、スティーブ・ニールセンが新たにマネージングディレクターに就任することから、プロボは「アルピーヌはどこへも行かない」と主張している。今のところ、少なくともルノーの旗はF1の地にしっかりと根づいている。そしてアルピーヌは安定性を新たなモットーに旅を続けている。



(Text : autosport web / Translation:AKARAG)