2025年F1第16戦イタリアGP 優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

【】レッドブルに訪れた変化。“エンジニア”のメキース体制では「ドライバーの声により耳を傾けるようになった」とマルコが明かす

9月13日

 レッドブルは、2025年F1第16戦イタリアGPで、チームがローレン・メキース代表の体制になって初めて勝利を挙げた。レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、チーム内では雰囲気が変わり、ドライバーの意見がこれまで以上に受け入れられていると語った。

 レッドブルの勝利への復帰は、盛大に祝われた。マックス・フェルスタッペンですらその瞬間にとらわれ、マシンから降りた瞬間の彼の反応は、この勝利が彼にとってどれほどの意味を持つかを物語っていた。過去4年間、フェルスタッペンはグランプリ優勝をほとんど祝わなかったが、それは彼があまりにも勝利に慣れすぎていて、また勝利を飾っても特に感情が湧き上がらないからだ。

 しかし、今回の彼の反応はまったく違った。フェルスタッペンは、RB21から降りるとすぐにメカニックとエンジニアに向かって全力疾走し、彼らの腕のなかに飛び込み、テクニカルディレクターのピエール・ワシェとともに表彰台で祝った。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第16戦イタリアGP表彰式 優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 マルコは、チームの雰囲気が改善されているかと聞かれると、「そのとおり! 我々はふたたび笑っている! レッドブルの昔の精神が戻ってきた」と、はっきりと答えた。チームの雰囲気が変わった理由のひとつは新代表のメキースにあるかと問われると、マルコは「ローレンがいれば、我々は正しい進路を進める」と説明し、「今年はさらに多くのレースに勝つつもりだ」と大胆に主張した。

 マルコと前代表のクリスチャン・ホーナーの関係がここ数年かなり緊張していたことは周知の事実であり、明らかにマルコはかつての宿敵のいない環境において仕事を楽しんでいる。第12戦イギリスGPまでの状況と比べて、メキース体制になって運営方法が変わったかと問われると、マルコはホーナーの名前を挙げることなく、チーム内では物事がよりスムーズに進んでいると述べた。

「異なっているのは、準備が違うということだ」

「ローレンは優秀なエンジニアなので、常にペースを上げることを目標としている。シミュレーションが示すものは何でも取り入れるが、それをマックスの経験や我々のレーシングエンジニアの経験と組み合わせている。予測可能でドライブしやすいマシンを作る、それが成果物となる」

「エンジニアたちはドライバーの声にもっと耳を傾けるようになった。これほど速くて経験豊富なドライバーがいるなら、それは正しいやり方だと思う。彼はそれをドライブしなければならない。そして、トップスピードが向上していることが重要だった。我々はマクラーレンを離せると思った」

「他にもいくつか変更がある。ドライバーの意見が受け入れられている」

ローレン・メキース代表(レッドブル)
2025年F1第16戦イタリアGP 優勝を喜ぶローレン・メキース代表(レッドブル/写真左端)

 ここでマルコが言及していたのは、FP3の終わりに決定されたセットアップ変更のことだ。若いエンジニアリングチームは、フェルスタッペンを納得させられないセッティングを望んだが、フェルスタッペンは、その方が速くて受け入れられるという理由から、より極端なセッティングにすることを主張した。メキースは、フェルスタッペンと角田が異なるセットアップでレースをしていたと認め、そのことが、予選以降に両者に生じたペース差を説明する一助となるかもしれないと語った。

 マルコは、フェルスタッペンとメキースの関係がチームの立て直しの鍵となったと主張し、「技術チーム全体がよりオープンになり、物事を議論し、シミュレーションの結果を鵜呑みにすることがなくなった」と述べた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第16戦イタリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)


(Text : Grandprix.com / Translation:AKARAG)