サインツとの接触で出場停止が近づいたベアマン。12カ月の累積ペナルティポイントは10点に
2025年F1第16戦イタリアGPにおいて、ルーキードライバーのオリバー・ベアマン(ハース)は、レース中にカルロス・サインツ(ウイリアムズ)と衝突したことで、レース出場停止の危機に瀕している。
決勝レースでのベアマンは、わずかにポイント圏外のところを走っていたが、1週間前に前戦オランダGPでトップ10入りを果たような好ペースを見せていた。しかし、モンツァの高速シケインであるロッジアでサインツに対してとった大胆な防御の動きは、散々な結果に終わった。双方のマシンが接触してスピンを喫し、ポイント獲得の望みは打ち砕かれたのだ。
このインシデントについては予想通り、スチュワードによる調査が行われることになった。ビデオと車載カメラの映像にもとづいて、彼らはコーナーを進む権利はサインツにあったと判断した。彼らの報告書は明白で、スチュワードは次のように裁定を下した。
「87号車のドライバー(ベアマン)は、自分の位置を譲るのではなく内側のポジションを守ったため、衝突を引き起こした。スチュワードは、87号車のドライバーが主に過失を犯したと判断し、このようなインシデントに対する標準的なペナルティを適用する」
ベアマンは10秒のタイムペナルティを受け、最終順位をサインツに次ぐ12位に落とした。さらに重大なことに、スチュワードは彼のスーパーライセンスに2点のペナルティポイントを追加したため、12カ月間の合計が10点という危うい数になってしまった。F1のレギュレーションでは、12カ月以内に12ポイントのペナルティポイントが累積されると、自動的に1レース出場停止となるが、これは昨シーズンに、当時所属していたケビン・マグヌッセンに降り懸かった出来事だ。
ベアマンにとってこのペナルティの痛みは、ポイント獲得を逃したという思いによってさらに大きくなった。このインシデントについて尋ねられると、20歳のベアマンは「まだ十分に見ていない」としつつも、入賞を逃すことになって残念だったと記者団に語った。
「確認する必要があるが、いいレースをしていたので残念だ」
「間違いなくポイント圏内だった。僕は(キック・ザウバーのガブリエル・)ボルトレートのすぐ後ろで、(レーシングブルズのアイザック・)ハジャーの前にいた。だから、今日は簡単にポイントを獲得できたと思う」
出場停止寸前まで追い込まれた接触についてさらに質問を受けたベアマンだったが、まだ調査していないと繰り返した。
「僕はそのインシデントを見ていない。感情を抜きにして見返すまでは辛い」
ハースがコンストラクターズ選手権で9位と低迷するなか、ベアマンのスピードと競争力は明るい材料となっており、彼はより経験豊富なチームメイトのエステバン・オコンに匹敵するか、彼を上回る結果を出すことが多い。しかし出場停止処分の脅威が迫っているため、この若いドライバーはそのような処分を受けるふたり目のF1ドライバーにならないよう、慎重に歩みを進めなければならない。