マクラーレンの“入れ替え指示”をトト・ウォルフが疑問視。ヘルムート・マルコは笑って一蹴/F1第16戦
マクラーレンは、イタリアGPの終盤でオスカー・ピアストリにランド・ノリスを先行させるよう強いるという物議を醸した決定を下したが、パドックでこの一件を支持する者はほとんどおらず、最大のライバルであるレッドブルとメルセデスが、まずその決定について疑問を呈した。
レッドブルでは、この件について話すことに同意したのはヘルムート・マルコだけだったが、彼はすぐにマクラーレンの行動を嘲笑した。
この状況をどう思うかと聞かれると、マルコは作り笑いを見せ、「とても公平だ。彼らには独自のルールがあるから、彼らにとっては良いやり方なのだろう」と答えて、インタビュアーを見ながら声をたてて笑った。
レース中にマックス・フェルスタッペンは、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼからマクラーレンが順位を入れ替えたと聞かされ、その決定を嘲笑していたという。フェルスタッペンは無線で「何だって? ただピットストップに時間がかかったせいで?」と返し、ランビアーゼは「我々には関係ないことだったね。自分たちのことに集中するだけだ」とフェルスタッペンに語った。
レッドブルは、起用ドライバー同士のクラッシュをそれなりに経験している。最初はセバスチャン・ベッテルとマーク・ウエーバー、その後はダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンとの間で衝突が起きた。フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの間でも何度かインシデントがあり、レッドブルがドライバーたちをうまくコントロールできなかったことは明らかである。そして、以前ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグを走らせていたメルセデスについても同じことが言えるが、トト・ウォルフはこの問題について独自の見解を持っていた。
メルセデスF1のチーム代表は、これが「非常に興味深い質問」であることを認め、「正しいも間違いもないが、どうなるか見守りたい」と述べた。そして、先週日曜日の決定がノリスとピアストリが今後レースに臨むにあたって、比較的大きな影響を与えるだろうと予想している。
「一度前例を作ってしまうと、それを覆すのは非常に難しいだろう。もしチームがまたミスを犯し、それがピットストップによるものではなかった場合、彼らは交代させるのだろうか? そして同様に、チームのミスを理由に、追いつこうとしているドライバーがポイントを失うのがフェアではないことも確かだ。今日の結果が正しかったかどうかは、シーズン終盤に選手権がヒートアップするにしたがってわかるだろう」
10年前にメルセデスが対処しなければならなかった問題との類似点を問われると、ウォルフは「私はマクラーレンのショーには出演していない」と警告したが、「当時は、コンストラクターズ選手権王座が保証されるほどのギャップがあったので、その流れの範囲内でレースをさせるだけだった。レースは正々堂々と行い、互いに接触しないようにすることがルールだった。当時は、接触しても我々がコントロールするようにしていたが、2016年にはレースを過剰に管理しようとするよりも、自由に戦わせる方がよかったのかもしれないね」と認めた。
しかしウォルフは、ハミルトンとロズベルグの性格に大きな違いがあったことも認め、次のように説明した。「マシンにはルイス(・ハミルトン)とニコ(・ロズベルグ)というふたりのまったく違う人間が乗っていた。彼らは、互いに容赦なくレースをする獰猛なふたりの戦士だった。チームが管理するのが非常に困難なときもあった。今のマクラーレンではそうしたことが見られないから、そこは大きな違いかもしれないね」