F1 CEOのスプリントフォーマット推進意見にドライバーたちは冷ややか「劇的に変える必要はない」
F1のステファノ・ドメニカリCEO(最高経営責任者)がグランプリのフォーマットを根本的に変える提案をモンツァで行ったが、これを聞いたトップドライバーのほとんどはその提案を歓迎しなかった。
トップドライバーの中には、スプリントレースのコンセプトに徐々に慣れてきたと認めた者もいたが、彼ら全員がシーズンあたり6レースは充分すぎると述べている。また、レースの短縮やリバースグリッドを導入するといったドメニカリの考えに、パドックのドライバーで熱意を示した者はひとりもいなかった。
ドメニカリは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)でさえスプリントレースにはもう反対していないと述べたが、当のF1ワールドチャンピオンは次のように自身の考えを明確にした。
「スプリントレースについて僕がどう考えているかは誰もが知っていると思うが、レースの長さについては問題ないと思っている。他のスポーツと同じで、エキサイティングなレースになることもあれば、まったく退屈で眠ってしまうような内容になることもある。それがスポーツというものだ」とフェルスタッペン。
「いつもエキサイティングなものにすることはできない。毎回のように刺激的だと、かえって退屈になってしまうからね。僕はどちらかというと保守的な人間だ。すべてのチームのレベルが近づくことのほうが重要だと思う。そうすれば競い合いが増えるからだ」
「でも全体的にシーズンを見ると、マクラーレンは除くとして、それほど悪くはない。ただ、これらのクルマを追いかけることが、ふたたびちょっとした問題になりつつある。DRSトレインみたなものに閉じ込められてしまうことがあるんだ」
スプリントイベントに何かよい点はあるかと問われると、フェルスタッペンは微笑んで「そうだね、良い点はある。皆がもっと稼ぐようになっている」と認め、次のようにつけ加えた。
「それについての僕の意見は知られているだろう。だが、僕は彼らがなぜそうするのかということも理解している。当日をさらにエキサイティングなものにするためだ。サーキットに来たファンが、フリー走行で周回しているクルマよりもレースをするクルマを観るほうが興奮するのは理解できるからね」
「僕たちにとってフリー走行は、もちろん依然として非常に重要だ。それがファンの視点からすると、少し退屈に感じることも理解している。とはいえ、F1は1950年代からずっとこのようにしてきた。だから、スポーツは進化していくものだと理解しているが、あまりクレイジーにするべきではない。僕からすると、スプリントレースというのはすでに充分クレイジーなものだと思う」
チャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、フェルスタッペンの意見に同意する一方で、「それについて、僕に確固たる意見はない」と慎重な姿勢を示している。
「6時間かけて何も起こらないようなレースもあれば、あと20周あれば何かが起こるのにと思うようなレースもある。よくわからないけれど、劇的に変える必要はないと思う」とピアストリは述べた。
「このような形ですごく長い間続いていることだし、F1ファンはレースを観るときに何が起こるかわかっている。だから、僕の意見では変える必要はないと考えている」
シャルル・ルクレール(フェラーリ)も、提案された変更について完全に認識していなかったと認めつつ、次のように述べた。「大幅な変更が必要だとは思わない。現状でとてもうまく進んでいると思う」
「スプリントレースに関しては、すでに開催されているスプリントレースの数に僕はある程度満足している。だけど、それは単なる個人的な好みだ。残りの部分については、彼が何を言ったのかをよく知らない。そのことについてコメントする前に、ぜひ彼と話してみたい」
決して意見を控えることはしないフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、サッカーを例に挙げて、なぜ変化が必要ないと考えているのか説明した。
「おそらく変更する必要はないが、ステファノ(・ドメニカリ)は誰よりもよく知っている。だから、彼が必要だと考えるのであれば、この種の決定については彼を信頼してよいだろう。でも、よくわからない」と警告したアロンソは、続けて次のように述べた。
「サッカーの試合を例に挙げてみると、サッカーの試合は少々長い。テレビの前に座っているとき、僕は90分間完全に集中して見ているわけではない。キッチンに行って、戻ってくるときもあるし、気が散る瞬間はつねにある。それに60分間のサッカーの試合などについて話をしている人はいない。つまり、これは社会と子どもたちの問題であり、スポーツの問題ではない。だから、おそらく変更は必要ないだろう」
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、スプリント形式が好きだということは認めているものの、レースの短縮プランには乗り気ではないようだ。19歳のF1ルーキーは「うまくいくとは思えない」と断じ、次のように説明した。
「今のロングレースでは、手持ちのタイヤでワンストップ戦略を採っている。レースを短くするためには、ピットストップなどに関して、さらに多くのルールを導入する必要があるだろう。けれど、そうしたところでそれほど大きな変化はないと思う。それに長いレースなら、レースを組み立てる時間も増えると思う」